プーチンはアジアをめざす 激変する国際政治 (NHK出版新書)

著者 :
  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140884485

作品紹介・あらすじ

ウクライナ危機が生んだのは、冷戦以来とも言われる深刻な米ロ対立であった。国際政治はなぜここまで緊迫化してしまったのか?日本が取るべき道はどこにあるのか?すべてのカギを握るのは、プーチンが舵を取る「脱欧入亜」戦略である。クレムリン内外に通じる著者が、日ロ関係を含む国際政治の大変動を展望する一冊。

感想・レビュー・書評

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  •  ロシア政治論を専門とする著者(法政大学教授)が、プーチン大統領を軸にロシアを、またロシアを軸に国政政治の「いま」と「これから」を論じたもの。
     非常によくまとまった、優れた概説書である。ちょうど一年前に出た本だが、いま読んでも十分新鮮な内容だ。

     この著者の本は『日本冷戦史』というのを読んだことがあるが、本書よりもずっと論文臭が強い本だった。それに対して、本書は大変わかりやすく読みやすい。
     巻末に「編集協力 宮島理」とあるので、おそらく、優秀なフリーライターである宮島理(ただし)が著者の話をまとめたものだろう。著者本人が文章を書いていたら、これほどわかりやすくはならなかったはずだ。

     専門家を著者とした一般書で、奥付などに「編集協力 ◯◯◯◯(ライターの名前)」という表記があった場合、たいていはそのライターが名義上の著者の話をまとめた「聞き書き」なのだ。
     もちろん、例外もある。ホントの「編集協力」(資料集めとかデータ取材とか)だけをして、名義上の著者が実際の文章も書いているケースである。

     ま、それはともかく、本書は大変ためになる本であった。
     プーチンが強権的ではあっても優れた政治家であることがよくわかるし、日本人にとってはわかりにくいウクライナ危機の背景がすっきりと理解できる。

  • ロシアが侵攻した背景を理解するために読んだ。

  • 【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1章 シー・チェンジの国際政治/第2章 ウクライナで何が起こっているのか/第3章 ロシア外交の核心/第4章 素顔のプーチン/第5章 プーチンはアジアをめざす/第6章 変貌する国際政治地図

  • 大変読みやすく、1日で読破できる。読みやすさでいえば★5だ。
    2014危機については、ロシア寄りの解説となっている。ウクライナ側からの立場の記述が少ない。マイダン革命についても、ネオナチによるクーデターとしての側面を強調している。この部分は他の書籍で補う必要がある。ただ、「ロシアから見たクリミア危機」を理解するにはうってつけともいえる。
    プーチンの素顔に迫った部分や、アジア外交の分析については、大変勉強になった。日露外交や北方領土についての叙述も参考になる。

  • ☆ロシアは日本との和解を望んでいる、としているが、そうなっていない

  • 2014年2月に起こったウクライナの政変に端を発するウクライナ危機によって、欧米諸国とロシアとのあいだに緊張が走った。ロシアのプーチン政権はどのような舵取りをするのか、そして日本との関係はどうなるのか。著者はロシアとウクライナの国家成立の歴史から現在の政治情勢までを非常にわかりやすく説明しながら、今なぜロシア外交が東方へシフトしているのかを繙いていく。筆者の見立てでは、プーチンが進めるユーラシア主義に基づくアジア重視外交は、特に日本に対する接近を強めていくであろうとみている。そして今こそロシアと日本のあいだにある北方領土問題の解決を進めるべきであることを強調する。
    日本は中国との関係改善が進まないなかで、北東アジア諸国の多角的な関係を考えれば、日米同盟だけにたよるのではなく、ロシアとの関係を改善していくことは、間違いなく重要であろう。ロシアが求める技術協力と日本が必要とするエネルギー資源が結びついて新たな日ロ間の経済関係が生まれる可能性を示唆している。
    出版は2014年12月でありながら、9月のウクライナとEUの自由貿易協定まで触れている。最後の方は、やや筆を急いでいる感じもするが、日ロ関係の行く末を見通す書をこれだけタイムリーに世に出した意義は大きい。
    思えばロシアに興味を持ったのは、大学時代に下斗米先生のロシア政治の講義を受けたことがきっかけであった。先生の話は分かりやすい。ロシアや東欧の歴史や政治は日本から見ると複雑でわかりにくい。いつも明快な言葉で教えて頂き感謝です。

  • なかなか宗教や人種についての土地勘ができぬので苦しんだが、良い一冊であった。
    浅羽先生とこで推薦されてたけど、やはり二国間関係を考えるというのはあまり現実的ではないというか、有効ではなくて、多国間での見通しを持った上での二国間関係とならねばならんが、外務省はどうもスクールごとのセクショナリズムが強いと聞きますし、どうすりゃいいのやら。
    そして、ウクライナもユーゴスラビア並みとは言わないけどなかなか解決の難しい入り乱れ方なのね…

  • すみません。
    まったくもって、帯のプーチンの写真がかっこよかったからとジャケ買いしました。

    下斗米先生の書かれるものなので読みやすく、分かりやすいだろうと信じています(何

  • 隣国ロシアの今後の進む道について、ロシア国内で生活してる人が書いてる本。

    この本の通りだとすると、今後何かと日本にアクションを求めてくるだろうと思う。

    その時に適切に対応できるように準備しておかなければならないかもと思う

  • ロシアは近くて遠い国、知らないことだらけですね!。
    プーチンさんと言うキャラは実は結構好きです。

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著者プロフィール

法政大学法学部国際学科教授。
1948年生まれ。東京大学法学部卒業、同大学法学博士。成蹊大学教授をへて1988年より現職。専門:ロシア政治、ソ連史、冷戦史。
主な著書:『ソビエト政治と労働組合─ネップ期政治史序説』(東京大学出版会、1982年)、『ソ連現代政治』(東京大学出版会、1987年/第2版、1990年)、『ゴルバチョフの時代』(岩波新書1988年)、『「ペレストロイカ」を越えて─ゴルバチョフの革命』(朝日新聞社、1991年)、Moscow under Stalinist Rule, 1931-34(Macmillan, 1991)、『スターリンと都市モスクワ─1931~34年』(岩波書店、1994年)、『独立国家共同体への道─ゴルバチョフ時代の終わり』(時事通信社、1992年)、『ロシア現代政治』(東京大学出版会、1997年)、『ロシア世界』(筑摩書房、1999年)、『北方領土Q&A80』(小学館文庫、2000年)、『ソ連=党が所有した国家─1917~1991』(講談社、2002年、2017年文庫版『ソヴィエト連邦史』予定)、『アジア冷戦史』(中公新書、2004年)、『モスクワと金日成─冷戦の中の北朝鮮1945~1961年』(岩波書店、2006年、露版、2010年)、『図説 ソ連の歴史』(河出書房新社、2011年)、『日本冷戦史─帝国の崩壊から55年体制へ』(岩波書店、2011年)、『ロシアとソ連 歴史に消された者たち─古儀式派が変えた超大国の歴史』(河出書房新社、2013年)、『プーチンはアジアをめざす 激変する国際政治』(NHK出版新書、2014年)、『日ロ関係史─パラレル・ヒストリーの挑戦』(共編著、東京大学出版会、2015年)、『宗教と地政学から読むロシア─「第三のローマ」をめざすプーチン』(日本経済新聞出版社、2016年)。論文に「クバン事件覚え書」(『成蹊法学』No.16、1982年)、「労働組合論争・再論─古儀式派とソビエト体制の視点から」(『法政志林』No.1-3、2016年)など。

「2016年 『ロシアの歴史を知るための50章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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