- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140884744
感想・レビュー・書評
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真田幸村が築城し徳川家康を苦しめた真田丸が誕生するまでの経緯を描いている。
文献を通じて本当の真田丸へ迫る推理、真田三代、戦国武将との関係、城郭史、歴史遺産を保存する意義の著述もあり千田先生のエッセンスが詰まった良作。
NHK歴史番組でコメンテーターとして発言する時にも感じていたのだが、城に対する思いは勿論、先生は真面目で丁寧であることが分かる作品でもあった。
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真田丸と真田家三代と中世から近世へ白が移り変わることが書かれている
後半内容が繰り返しが多いように思えた -
真田丸を中心とした戦国時代から江戸土時代初期までの城郭を分析した一冊。
これまで真田丸は大阪城の弱い部分を補強した要塞と言われていたが、必ずしもそうではない可能性があることがわかった。 -
真田丸の概要を知ることが出来た
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版元がNHK出版、大河ドラマ「真田丸」の放映に合わせた刊行と、NHKのクロスメディア戦略のために担ぎ出されたような本ではあるけれど、「高低差」好きならまずまず楽しめる。しかし「城郭考古学」の見地からはちょっと信繁を持ち上げすぎのような…。あと「惣構」がどんなものなのか、想像図でもいいから図示してほしかった。
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○目次
第1章:真田信繁と大坂の陣
第2章:真田丸の謎に迫る
第3章:真田氏の城づくり
第4章:戦国の城から天下人の城へ
終章:真田丸を歩く
小生も大学時代にお世話になった城博士の千田先生が真田氏や戦国・織豊期の城郭から、当時の社会や権力の構造などを読み解く。
本書前半では真田丸について述べている。従来は大坂城惣構えの弱点部分に設けられた出丸としての「真田丸」という評価であったが、広島市立中央図書館蔵『浅野文庫諸国古城之図』では独立した城郭として示されていることから従来の見解に疑問を呈する。実態は大坂城惣構えから南約200mの谷間筋を挟んだ独立丘陵上に造られた孤立無援の城郭であり、真田信繁はあえて敵を引きつけて攻撃するという攻めの城であるという。
遺構については発掘が全体的に行われておらず不明な点が多いが、実は南北二段の曲輪で構成され、城郭全体が馬出し機能を持っていたと推定されている。
この城郭の姿から、信繁の外様としての位置づけ等が伺われるとしている。
後半では、タイトルにもある「戦国時代を城で読み解く」ことを主題としている。
城郭研究は在野から盛んに行われてきた歴史があるためどうしても遺構の軍事史的な側面や、「武田の城」「毛利の城「北条の城」等の遺構的特徴ばかりに注目されてきた。しかし、本来の城郭考古学は「城の構造や空間構成を把握することで、そうした城を生み出した社会と権力の構造を読み解いて、物質資料から城の時代を解明する」(p180)ことが重要であると述べられている。
中世から近世へと各地域の権力が序列化・軍制の組織化を行う中で、横堀や馬出しなどの構造を設けていく。地域により濃淡はあるが、近世への移行の地域的特徴として捉えることが重要としている。
後半部分の細かな事例は割愛させていただく。
城郭考古学の成果を上手く活用すれば史料での限界を克服できると近年期待されているので、その研究手法等も大変参考になった。