がんから始まる生き方 (NHK出版新書 591)

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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140885918

作品紹介・あらすじ

医者や患者の未成熟さから日本人の死生観までを議論し、がん診断後の生き方を大胆に提案する、かつてない「がん体験指南書」!

感想・レビュー・書評

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  • がんの当事者、相談された側、治療する側の3者の随筆と対談。
    柏木さんのがん体験を中心に、実際の治療の進み方や、
    治療の在り方、人生観や死生観など、
    地に足の着いた話が続いていろいろと参考になる。
    がんは不治の病ではないが、ずっと様子を見ながら付き合っていく病。
    私が自分の乳がんを治療していた時期のこと、
    そして今現在、がんと闘っている友人のことなど思いながら読む。
    痛みを押さえるモルヒネの使用が日本ではとても少ないというのも、
    我慢することを美徳と考える気質が影響してるんだろうな。
    QOLの向上も、迷いや不安も、口に出して求めていっていいし、
    主治医やスタッフの方たちと信頼関係を作りながら、
    ゆだねるところはちゃんとゆだねていく。
    医師であっても、自分が実際にがんになればまた別というのも
    この本の中で語られていて興味深かった。

  • 養老孟司氏を中心につながったがん患者と医師の3名が、それぞれの立場からがんについて各々論じ、彼らの鼎談も含めて編集された1冊。

    患者である柏木博氏からは、がんに診断されたときのかかりつけ医とのコミュニケーション不全が自身の不安が助長された、という点を自らの闘病記の中で語っている。かかりつけ医とのコミュニケーション不全を経て不安に思った柏木氏が旧知の養老孟司に相談したことから、氏の教え子にあたる東大病院の中川恵一氏と出会い、治療がスタートしていくが、同氏も医師として、チーム医療のような体制を整備して患者とのコミュニケーションの総量を増やすことの利点を主張する。

    そのほか、中川氏からは日本人のヘルスリテラシーのあまりの低さに対する警鐘や、がんをきっかけに生き急いでいるかのようだった自身の生き方をスローダウンさせたという柏木氏の体験談など、がん体験を巡る良質な一冊となっている。

  • 癌は今やごく普通の病気に格下げつつあるから、あんまり難しく考えなさんなという考えが80過ぎた養老先生の指摘かな。

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著者プロフィール

養老 孟司(ようろう・たけし):1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。同書は450万部を超えるベストセラー。対談、共著、講演録を含め、著書は200冊近い。近著に『養老先生、病院へ行く』『養老先生、再び病院へ行く』(中川恵一共著、エクスナレッジ)『〈自分〉を知りたい君たちへ 読書の壁』(毎日新聞出版)、『ものがわかるということ』(祥伝社)など。

「2023年 『ヒトの幸福とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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