脱・下流老人: 年金、生きがい、つながりを立て直す (NHK出版新書 685)
- NHK出版 (2022年12月12日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140886854
作品紹介・あらすじ
「ただ、人間らしく暮らしたい」――高齢者の尊厳回復への道筋を示す
人生100 年時代、生きがいや健康のために働き続けようとの掛け声の一方で、低年金に苦しみ、生活を補うため働かざるを得ない老年層は多い。さらに生活保護以下の水準で暮らす高齢者は600万人超もいる。
『下流老人』から7年、賃金は伸びず物価が上昇する中で、今後誰もが直面しうる危機が、老後の貧困である。超低年金、超低賃金、シニア労災等の横行を座視してはならない。
公助(年金)、自助(生きがい)、共助(つながり)の立て直しを訴える著者が、誰も取り残さない社会実現への具体策を提言する。中でも高齢者が安心して生きられる、貧困打開への究極の処方箋とは、全員へ一律の生活扶助費を支給する「最低保障年金」の実現だ。
感想・レビュー・書評
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高齢者の仕事の実態を皮切りに年金生活者の実例を挙げてその実態を明らかにする。国民年金は元々定年の無い自営業者や農業従事者向けで子供と同居するのが前提なので核家族化した現代ではそれだけで老後が賄えるかというとかなり厳しい。また、正社員で企業に勤めて厚生年金で比較的潤沢であっても、自分や家族の病気などがあるとたちまち困窮してしまう状況も描かれている。せっかく就職できた子供がパワハラあってうつになって離職という実例はやや極端な例とも言えなくもないが無いとも言い切れないだろう。
また非正規雇用が多い氷河期世代の今だけじゃなく老後に厳しさが増すことも指摘している。このように非正規雇用が増えて日本の労働者の給与が上がらないことを、「岩井克人 x 孫泰蔵」の対談を引用して「一周遅れてきた株主資本主義」と批判しています。
すなわち四半期ごとに収支を確認し短期的な視野でしか経営できなくなっていることで、賃金というコストを削減し長期的なビジョンで研究開発ができなくなっている。これこそが日本経済の低迷を招いてる糾弾してます。
まさに今の株価の異常な上昇と経済の低迷の見事な説明に超納得です。高齢者問題についての書籍でしたが日本経済についても素晴らしい示唆を頂きました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
このシリーズも二冊読んでおりある程度は免疫があったもののやはり内容は辛辣で考えさせられるものが多かった。
国や社会の仕組み上どうしても貧困になるざるを得ない人も確かにある一定数は居るけど自助努力の有無もやっぱり考慮するべきなと思うのが持論。
周りにあまりにも何もしないで文句ばかり言う人達が多いので。 -
登録番号:1026971、請求記号:367.7/F67
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現代の日本が抱える最も大きな社会問題について、丁寧に他の著書などを引用しながら説明してくれている。
とてもわかりやすくて理解を深めることができた。
この本はあらゆる人に読んで貰いたい。引用されていた本も、改めて読んでみたい。