キリスト教の本質 「不在の神」はいかにして生まれたか (NHK出版新書 708)

著者 :
  • NHK出版
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140887080

作品紹介・あらすじ

まるで『カラマーゾフ』の大審問官。これは、現代の「ツァラトゥストラ」だ!全世界で22億5000万人もの信者を有する一大宗教であるキリスト教。しかし、その実態について、日本人のほとんどが理解していないと著者は言う。そこで著者はキリスト教の成立前後に着目し、こう断定する。キリスト教は、神でもイエスでもない、それぞれの教会の指導者の「教え」と、それを「信じ込む」者との関係で成り立っている。そしてその構造は、イエスの時代からすでに始まっており、ありもしない「なすべきこと」を神の教えと信じ込ませた「神なし領域の宗教ビジネス」である――と。ストラスブール大学神学部出身の神学者が、自身の研究の集大成として世に放つ、”あなたのキリスト教観が180度変わる”類書皆無の宗教論!序――キリスト教は西洋文明にとっての本質か第1章 「キリスト教」についてのアプローチ第2章 ユダヤ教の諸段階 〈1〉カナンへの定住――普通の一神教[前十二世紀] 〈2〉北王国の滅亡――本格的な一神教[前八世紀前半] 〈3〉神の前での〈自己正当化〉の排除[前二~前一世紀] 〈4〉「律法主義」への収斂[一世紀末]第3章 キリスト教の成立 〈1〉神に選ばれたイエス 〈2〉さまざまな教会のさまざまな教え第4章 キリスト教と「世俗化」第5章 日本とキリスト教の関係について

感想・レビュー・書評

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  • キリスト教には無数の宗派分派があり、ありもしない独自の教えを宣伝し、宗教集団を作り上げる。効率的に人を集めて大きな社会勢力になることが目的の宗教ビジネス。p.181, 265

  • あなたのキリスト教観が180度変わる! 類書皆無の宗教論『キリスト教の本質 「不在の神」はいかにして生まれたか』発売|株式会社NHK出版のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000782.000018219.html

    加藤隆の最新ニュース:クリスチャントゥデイ
    https://www.christiantoday.co.jp/tags/kato-takashi

    NHK出版新書 708 キリスト教の本質 「不在の神」はいかにして生まれたか | NHK出版
    https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000887082023.html

  • もちろん新書一冊でキリスト教の本質を描くことは到底不可能なのであって、これはあくまでも著者のキリスト教の捉え方、ある一つの視点、ということだと思う。それはある意味挑戦的であり、また革新的でもあり、非常に興味深い観方なのだが、根拠を示さずに断言したり、必要の無い愚痴がはさまれていたりと、読者を選ぶタイプの文章なのがもったいない。この本を読むと怒り出しそうなキリスト教徒にこそ読んでもらうような書き方が出来なかったものかな、と。

  • 非常にためになる。考え方には学ぶ点が多々ある。
    ユダヤ教の起源から聖書の成り立ち、ユダヤの歴史と神の不在の話を絡めて、神の不在に於いてのキリスト教の成立。
    宗教ビジネスとまで言い切る著者の自信と博識には恐れ入るし、なるほどね…と、納得もさせられた。

    最後の一章が無ければ⭐️5つでも良かった。しかし残念ながら「和」を尊ぶ日本人としては、教祖(著書)の言いなりになる羊さんには簡単にはなれそうにない。で、⭐️は3つにさせて頂きました。
    この並々ならぬ溢れる自信が気にならない羊さんにはおすすめ致します。

  • よくわからない。

  • 231121-4-2

  • キリスト教に対し、愛憎相半ばの感情を持っている人、特にキリスト教による人類への寄与と害悪について整理が付かない人にとって、溜飲を下げてくれる内容だと思う。
    一方で、多くのクリスチャンにとっては容認できない主張も多そうである。本書を読んで苦々しく思ったクリスチャン諸姉諸兄は、ぜひ著者がなぜ神学者になったのかを記した千葉大退官記念インタビューに目を通して欲しい。https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/900120359/S03862097-51-P001.pdf もちろん本書を読む前にこれを読めば更に有効だ。

    インタビューでは三天使が加藤氏に神学の道を薦めたことが語られている。これは創世記の記述へのオマージュであろうが、氏の信仰告白と思える。

    神は目撃することができない。故に、智慧で(論理で)見なければならない。これが天使ケルビムのエピソードの要諦であり(ついでに上智大学がソフィアユニバーシティである所以であるが)、神と天使と、イエスの意義に、過激なまでに真摯な著者が辿り着いた、聖書と教会(教団・教派)に対する解釈の必然なのだろう。

    ただし、筆者には智慧の不足している者への愛が足りない。人の能力は不平等に与えられている。論理の目で神を見るという道は、恵まれた者の道である。筆者筆致は、自分の才の特権性に無自覚だ。このことが、親鸞「歎異抄」を経ている日本人の読者への説得力を削いでいる。筆者の真面目さが仇を為している。

    関西人でアホの価値観を体得しているイスラム原理主義者の中田考氏との差が惜しまれる。そう言えばアホの禿げを自称していた親鸞も関西人であった。著者の神学にあと一歩、知の才に秀でぬ者への愛が欲しい。愚かなる者への愛の欠如は、ビジネス宗教の温床であると思う故。

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著者プロフィール

加藤 隆(かとう・たかし)
1957年生まれ。ストラスブール大学プロテスタント神学部博士課程修了。神学博士。千葉大学文学部教授。著書に、『旧約聖書の誕生』(ちくま学芸文庫)、『新約聖書はなぜギリシア語で書かれたか』(大修館書店)、『『新約聖書』の誕生』(講談社学術文庫)など。

「2021年 『キリスト教の幼年期』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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