- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140911846
作品紹介・あらすじ
「無常」の認識を突き詰めたとき、世界はどのようなものとして立ち上がるのだろうか。仏教の基本教理であり出発点であるこの問いを、インドから日本にいたる大乗仏教の最先端で深め、完成させた思想家こそ道元である。難解でなる主著『正法眼蔵』を具体的に読み解きつつ、そこに描かれた世界観、善悪、因果を明解に示す。大乗仏教の展開や同時代人・親鸞との比較もふまえながら、彼のたどり着いた「さとり」の姿に迫る最良の道元思想入門。
感想・レビュー・書評
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P34
修行とは「さとり」を得るための
手段ではなく、
修行する一瞬一瞬が「さとり」である
P34
つまり一瞬一瞬にこそ永遠が宿る
P59
差異はものごとを捉える観点が
生み出すものであるから
相対的なものにすぎない。
しかし世俗的世界においては
差異は固定化され
そこに序列がもちこまれる -
『正法眼蔵』の「現成公案」巻、「仏性」巻、「諸悪莫作」巻を読み解き、その思想的意義を解説している本です。また、道元と親鸞を比較することで、大乗仏教の中核的な発想について切り込む考察を展開しています。
著者は仏教学の専門家ではなく日本倫理思想史が専門で、佐藤正英のもとで学んだ経歴をもっています。本書は、仏教学の立場ではなく、もうすこし自由な立場から道元の思想に切り込み、その意義を明快に解き明かしています。
著者はまず、道元の思索の出発点に「無常」があったことを指摘します。そのうえで、無常なる世界の真相をとらえた釈尊の縁起説から、龍樹の空観へと展開していくところに大乗仏教の中核的な発想を認め、それを「縁起―無自性―空」ということばで言い表わします。こうした準備をおこなったうえで、『正法眼蔵』を中心とする道元のテクストを読み解き、平等の世界と差別の世界の二重構造との往還をくり返しながら、道元の発想について考察をおこなっています。
かならずしも読みやすい本ではないかもしれませんが、仏教学の基礎的な教養をもたない読者にも道元の思想の意義が理解できるようにていねいな議論がおこなわれており、個人的には興味深く読みました。 -
理解できない箇所もあるが、春日佑芳氏の著作における修証一等と同様に、本書では諸悪莫作について道元思想の理解を進める事ができたと感じている。
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説明がまわりくどく読みづらい。
「空-さとり-吾我-無我-修行」の関係を整理したp78、79が要諦かな。