石牟礼道子『苦海浄土』 2016年9月 (100分 de 名著)

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制作 : 若松 英輔 
  • NHK出版 (2016年8月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784142230662

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石牟礼道子『苦海浄土』 2016年9月 (100分 de 名著)の感想・レビュー・書評

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  • (2016.10.06読了)(2016.08.27購入)
    Eテレの放送も見たし、『苦海浄土』第一部『苦海浄土』、第三部『天の魚』、第二部『神々の村』も読んだので、まとめとして、このテキストを読みました。
    確かにそういうことが書いてあった(復習)、方言で書いてあったからよくわからないままやり過ごしたけどそういう意味だったの(発見)、若松さんの言っていることがよくわからない(難解)、など、いろいろあります。
    『苦海浄土』は、文学といわれるだけあって、一筋縄ではいかないようです。読む人の状況によって受け取り方がいろいろ可能なのだと思います。
    社会問題を扱っているので、重苦しい内容なはずなのですが、生身の庶民たちがたくさん登場してそこはかとないユーモアがあったりしますので、重苦しいだけではありません。
    宇井純さんは、公害に第三者は存在しない、と言っているそうですが、加害者でもあり被害者でもある、チッソに勤めていて家族が水俣病という方もいるので複雑です。

    【目次】
    【はじめに】『苦海浄土』とは何か
    第1回 小さきものに宿る魂の言葉
    第2回 近代の闇、彼方の光源
    第3回 いのちと歴史
    第4回 終わりなき問い

    ●社会に負担(34頁)
    家族に複数の水俣病であることが強く疑われる人物が出ても、全員分を届け出る家族は、ほとんどありませんでした。社会に負担をかけてはならない、病を背負った人々にはそうした思いが強くあったのです。
    ●渡辺京二(41頁)
    書き手にとって自らに劣らない熱意をもって読んでくれる者の存在は何ものにも替えがたいものです。
    ●呪術師(43頁)
    「立ち迷っている死霊や生霊」である水俣病の患者たち、すなわち、語ることを奪われた死者、言葉を奪われ、生きている者たちが表し得なかった思いをよみがえらせ、それに言葉という姿を与えることにほかなりません。
    ●国・会社(44頁)
    国が、会社が命じた、と述べ、あえて非人格的な表現をとり、特定の人間には責任がないかのように語る者たちの言葉を、私たちは今も日々、耳にしている。そこに働いているのは人間だけなのに、人間がやったのではないような表現を押し付けられることがある。
    ●ひとりで闘う(48頁)
    自らの存在を賭して、ひとりで闘おうとする人々がいるのに気がつく、医師の原田正純や公害学の宇井純、思想家の渡辺京二もそうです。
    ●ジェノサイド(59頁)
    水俣病事件は、無差別に人間の生命を奪った大量殺人行為(ジェノサイド)だったことは否めないと思います。

    ☆関連図書(既読)
    「新装版苦海浄土」石牟礼道子著、講談社文庫、2004.07.15
    「天の魚 続・苦海浄土」石牟礼道子著、講談社文庫、1980.04.15
    「苦海浄土 池澤夏樹=個人編集世界文学全集」石牟礼道子著、河出書房新社、2011.01.30
    「水俣病」原田正純著、岩波新書、1972.11.22
    「証言水俣病」栗原彬編、岩波新書、2000.02.18
    「水俣病の科学 増補版」西村肇・岡本達明著、日本評論社、2006.07.15
    「谷中村滅亡史」荒畑寒村著、新泉社、1970.11.20
    「辛酸」城山三郎著、中公文庫、1976.01.10
    「田中正造の生涯」林竹二著、講談社現代新書、1976.07.20
    「沈黙の春」カーソン著・青樹簗一訳、新潮文庫、1974.02.20
    「奪われし未来」T.コルボーン・D.ダマノスキ著、翔泳社、1997.09.30
    (2016年10月8日・記)
    内容紹介(amazonより)
    工場排水中の水銀が引き起こした文明の病「水俣病」について、患者とその家族の苦しみを、同じ土地に生きる著者が記録した『苦海浄土』。「水俣病」という固有名にとどまらず、人間の尊厳について普遍的な問いを発し続ける一冊として、ジャンルに縛られない新たな「文学」として読み解いていく。

  • 胸が震えて涙が止まらなかった。この感受性は私の何を表わしているのだろう、落ち着いてから静かに向き合いたい。ナビゲーターの若松英輔さんの紡ぎだす言葉のひとつひとつに、人の心を震わせる強力な何かがあったのは確か。

  • このテキストを読んでからテレビの放送を録画したのを見た。概要は一緒なのだけど、やはり映像や音声があるのと司会や解説のやり取りなどでテレビの方が分かりやすく感じた。
    テキストには出てこないけど、杢太郎のモデルになった方が表現の手段として写真を撮るようになったというのを紹介したところで何枚か映った写真がとてもよかった。牛が作から顔を出しているところや、黄色や赤のチューリップの鉢植え、少し斜めに写った海など。視力までは奪われなかった患者さんの目に映る、身近な世界。すごく明るい写真だった。
    それから番組の中で特に印象に残ったのは第四回のゲストでいらした緒方正人さん。人間が社会で生きて行く限り誰もが加害者になりうる、というのは肝に銘じておかなくてはと思う。この緒方さんのお話はもっと聞きたかった。

  • 16/09/05。

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