ブルデュー『ディスタンクシオン』 2020年12月 (NHK100分de名著)

著者 :
  • NHK出版
4.26
  • (75)
  • (65)
  • (27)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 1070
感想 : 78
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (99ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784142231201

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • テレビ番組「100分で名著」。今回はブルデューの「ディスタンクシオン」。ブルデューは聞いたことはあったが、著作に関する本を初めて読んだ。
    なるほど確かに夢も希望もない話だと受け取る人もいるかもしれないが、個人的にはそう思わないし、この解説本の著者も決してそうではないと仰っている。確かに学校以前も環境で学校生活がある程度規定されてしまっているかもしれないし、趣味でさえ環境の影響で必然的に選び取っているのかもしれない。ただハビトゥスは後天的に変えうる。そして、ブルデューの論は昨今流行りの自己責任論を超克していけるのではないか。自己責任論を克服しながら、後天的に変えられるものを変えていく。そういう風に捉えるのは決して的外れではないはず。
    そして、有限の中を無限に生きること。それこそが自由なのだという点は大事にしていきたい。もちろん、権力者が有限を振りかざして民衆を抑圧しようとする時には断固戦っていかなければ。

    解説本ながら、大変面白く読めました。

  • ハビトゥス、界、文化資本。
    私たちの趣味は、社会的に構造づけられている。
    自分とは異なるハビトゥスにも他者なりの合理性があると考えること。それが理解につながる。
    みんながこのブルデューの理論を理解していれば、思い違いによるすれ違いや無駄なハレーションはずっと少なくなるのではないだろうか。

    評者とほぼ同い年の著者の、カウリスマキやグレン・グールドが好きだと言う身もふたもないハビトゥスの告白が.妙におかしく、Bill Evans逆にいいよね、なんて言う言い方も恥ずかしいけれどよくわかる。ハビトゥスを言い当てられることの、ある種の恥ずかしさは何なのだろうな。

    それにしてもあの読みにくい大著を、ちょっと読んでみようと思わせる、卓越した解説。こういうレビュー論文を書きたいものだ。

  • 面白かった。テレビを見ながらまたこのテキストを読んでみたい。

  • ハビトゥス 日本語では「氏育ち」になるのかな 違う部分があるだろうけどどうみるか 日本の場合はフランスほど強固な伝統や体制はなく、あって成金の豪華趣味ということなのかもしれないが

  • ぼくはブルデューも岸政彦も嫌いですが、社会学がやっていることの一端は知って欲しいので、見て欲しいです。

  • 美術館に行くようになったのは「稲妻の一撃」だと思っていたけど、よく考えると、モダン建築が好きで、コルビュジエの建築目当てで国立西洋美術館に行くようになったのだと思い出して落ち込んだ。
    結局僕は、そこそこ文化資本には恵まれている方で、それを増殖させる機会を逃さなかったに過ぎない。

  • 《もしみなさんが『ディスタンクシオン』を読んで、自分のやっていることを台無しにされたような気分になったのであれば、自由の神話にとらわれているのかもしれません。本質主義的な「稲妻の一撃」にとらわれている。》(p.98)

  • 20/11/25。

全78件中 61 - 70件を表示

著者プロフィール

岸政彦(きし・まさひこ)
1967年生まれ。社会学者・作家。京都大学大学院文学研究科教授。主な著作に『同化と他者化』(ナカニシヤ出版、2013年)、『街の人生』(勁草書房、2014年)、『断片的なものの社会学』(朝日出版社、2015年、紀伊國屋じんぶん大賞2016)、『質的社会調査の方法』(石岡丈昇・丸山里美と共著、有斐閣、2016年)、『ビニール傘』(新潮社、2017年)、『マンゴーと手榴弾』(勁草書房、2018年)、『図書室』(新潮社、2019年)、『地元を生きる』(打越正行・上原健太郎・上間陽子と共著、ナカニシヤ出版、2020年)、『大阪』(柴崎友香と共著、河出書房新社、2021年)、『リリアン』(新潮社、2021年、第38回織田作之助賞)、『東京の生活史』(編著、筑摩書房、2021年、紀伊國屋じんぶん大賞2022、第76回毎日出版文化賞)、『生活史論集』(編著、ナカニシヤ出版、2022年)、『沖縄の生活史』(石原昌家と監修、沖縄タイムス社編、みすず書房、2023年)、『にがにが日記』(新潮社、2023)など。

「2023年 『大阪の生活史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岸政彦の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×