日蓮の手紙 2022年2月 (NHK100分de名著)

著者 :
  • NHK出版
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784142231362

作品紹介・あらすじ

時に激しく、時に優しく。多彩な手紙から浮かび上がる日蓮の素顔とは

数々の迫害に耐えつつ、「法華経の行者」としての生涯を貫いた日蓮。他宗や幕府を盛んに批判したため、激烈なイメージが付きまとうが、信徒たちに送った手紙には、家族を失った人の悲しみに寄り添う深い思いやりや、病と闘う人への励まし、人間関係や職場でトラブルに直面したときの対処法など、人間味あふれる実像がにじみ出ている。また、女性信徒の悩みに答える手紙も多く、月経を不浄なものと見なす価値観に異を唱えたり、女人成仏についての思想を語るなど、当時としてはたいへん先進的な女性観も披露している。相手の立場や性格を考慮しながら具体的に書き分けられた多様な手紙を手がかりに、日蓮の生涯と信念を読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • 剛毅で大胆にして、繊細な日蓮の「人間像」と「人間観」に迫った好著と思われます。100分de名著シリーズには、同著者の『法華経』も収めれられているので、併読されることをお勧めいたします。

  • 2022年大好評だったらしい企画で、2023年3月の一か月間放送がありました。
    この時に私は初めて視聴しましたが、とてもとてもよかったです。何よりも植木先生の講義内容がわかりやすかったです。100分de名著のテキストは必ず買い、事前に読んでおきます。番組は約30分程度なので、詰め込まれた内容であるため、なかなかその時間では端折られる部分も多い。補強のために事前にテキストで一読すると理解の仕方がものすごく違います。

    これを機に私は、我が家の宗教である日蓮宗についてきちんと学んでいこうと思いました。

    原始仏教に興味を持つ一歩でした。
    日蓮の強固の姿勢が世のなかに受け入れてもらえるまでの苦悩と数々の苦難に向き合う前向きさと強さ。まなぶべきことの多い人だと思いました。何よりも、釈迦の教えに忠実に向き合い、男女平等を説いた、そして説き続けたという姿勢に感服。今も昔も人間の考え方行いはそんなに変わるものはないのだということを知りました。

  • 2022年のアンコール放送らしい
    Eテレで

    1,人間 日蓮の実像
    手紙でいろいろアドバイスしてた。厳しい人生であった。圧力かけられたりもしてた

    2, 厳しい現実を生き抜く
    挑発に乗るな 心の財 発言と身振り 誤解されても恨むな 魔のささやき 自己に目覚めると葛藤が生まれる 葛藤を乗り越え社会に貢献する

  • No.30/2022

    『日蓮の手紙』植木雅俊

    ✂︎✂︎✂︎

    大乗仏教の代表として挙げられる「法華経」
    その教えを広めた人物が日蓮

    以前に大乗仏教は釈迦の教えを否定することで生まれたと書きましたが
    「法華経」は釈迦の教えに回帰する思想らしい

    印象に残った考えは
    「今を大切にして今いる場所で仏になる」

    大乗仏教の「神秘的要素」と
    釈迦の「合理的な要素」が合わさった
    思想なのかなと思いました
    有名な芸術家が帰依することにも納得です

    手紙から日蓮の人柄が伝わり
    親近感が湧きました

    非常に勉強になりました!!

    ✂︎✂︎✂︎
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  • 日蓮の思想が日蓮の手紙に沿って解説される。日蓮が月経を科学的・生理的なものとして意味を与えずに唯物的に解釈している点など現代の観点から好感が持てる点は多い。現代性を重視し今の姿を受け止めることを重視した結果なのだと思う。西洋的な文脈でいう反プラトン的というかイデアを否定するような思想といえるんだろう。世直しの思想という面を持つので合理性を重視し彼岸を求めないという背景があるのではないかと思う。
    本書について言えば、現代的な思想と一致しているからいいんですよ、というトーンではなく、この辺りに現代の観点から見ても可能性がありますよという点が示されていると良かったと思う。

  • 硬いイメージの日蓮上人の人間的な一面が伺える作品でした。やはり最後は人間生きている間にいかに立派な行いをするか、が問われています。感謝。

  • 「日蓮の手紙」植木雅俊著、NHK出版、2022.02.01
    105p ¥600 C9415 (2022.03.06読了)(2022.01.26購入)

    【目次】
    【はじめに】行間からにじみ出る人間味
    第1回 人間・日蓮の実像
    第2回 厳しい現実を生き抜く
    第3回 女性たちの心に寄り添う
    第4回 病や死と向き合う
    日蓮略年譜

    ☆関連図書(既読)
    「日蓮」久保田正文著、講談社現代新書、1967.12.16
    「法華経」植木雅俊著、NHK出版、2018.04.01
    「ほんとうの道[法華経] 仏教を読む4」中村瑞隆著、集英社、1984.07.10
    「尼僧の告白―テーリーガーター」中村元訳、岩波文庫、1982.04.16
    「維摩経」釈徹宗著、NHK出版、2017.06.01
    「沈黙の教え―維摩経 (仏教を読む (9))」鎌田茂雄著、集英社、1984.03.10
    「大乗仏典7 維摩経、首楞厳三昧教」長尾雅人・丹治昭義訳、中央公論社、1974.07.20
    「般若心経」佐々木閑著、NHK出版、2013.01.01
    「「色即是空」の研究」山本七平・増原良彦著、日本経済新聞社、1984.10.25
    「わが般若心経」西村公朝著、新潮文庫、2002.04.01
    「ブッダ『真理のことば』」佐々木閑著、NHK出版、2011.09.01
    「寂聴生きる知恵」瀬戸内寂聴著、集英社文庫、1997.03.15
    「「いいこと」がいっぱい起こる!ブッダの言葉」植西聰著、王様文庫、2010.12.20
    「ブッダ『最期のことば』」佐々木閑著、NHK出版、2015.04.01
    「ブッダ最後の旅」中村元訳、岩波文庫、1980.06.16
    「生きて死ぬ智慧」柳澤桂子著・堀文子絵、小学館、2004.10.10
    「お経の話」渡辺照宏著、岩波新書、1967.06.20
    「古代仏教の世界」宮元啓一著、光文社文庫、1989.10.20
    「釈尊物語」ひろさちや著、平凡社新書、1976.05.08
    「釈迦と女とこの世の苦」瀬戸内寂聴著、NHK人間講座、2000.04.01
    ☆関連図書(既読)
    「蒙古襲来(上)」山田智彦著、角川文庫、1991.06.10
    「蒙古襲来(中)」山田智彦著、角川文庫、1991.07.10
    「蒙古襲来(下)」山田智彦著、角川文庫、1991.08.10
    「蒙古襲来(上)」網野善彦著、小学館ライブラリー、1992.06.20
    「蒙古襲来(下)」網野善彦著、小学館ライブラリー、1992.06.20
    「蒙古来たる(上)」海音寺潮五郎著、文春文庫、2000.09.01
    「蒙古来たる(下)」海音寺潮五郎著、文春文庫、2000.09.01
    「時宗 巻の壱 乱星」高橋克彦著、日本放送出版協会、2000.11.20
    「時宗 巻の弐 連星」高橋克彦著、日本放送出版協会、2000.12.25
    「時宗 巻の参 震星」高橋克彦著、日本放送出版協会、2001.03.30
    「時宗 巻の四 戦星」高橋克彦著、日本放送出版協会、2001.07.05
    「「蒙古襲来絵詞」を読む」大倉隆二著、海鳥社、2007.01.15
    「青嵐の譜」天野純希著、集英社、2009.08.10
    (アマゾンより)
    数々の迫害に耐えつつ、「法華経の行者」としての生涯を貫いた日蓮。
    他宗や幕府を盛んに批判したため、激烈なイメージが付きまとうが、信徒たちに送った手紙には、家族を失った人の悲しみに寄り添う深い思いやりや、病と闘う人への励まし、人間関係や職場でトラブルに直面したときの対処法など、人間味あふれる実像がにじみ出ている。
    また、女性信徒の悩みに答える手紙も多く、月経を不浄なものと見なす価値観に異を唱えたり、女人成仏についての思想を語るなど、当時としてはたいへん先進的な女性観も披露している。相手の立場や性格を考慮しながら具体的に書き分けられた多様な手紙を手がかりに、日蓮の生涯と信念を読み解く。

  • 日蓮の話は初めて勉強した。確かに現世に浄土を求めて、男女の差もなく、人間として今を生き抜く仏教ということを初めて知った。

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著者プロフィール

植木 雅俊(うえき・まさとし):1951年、長崎県島原市生まれ。仏教思想研究家。九州大学卒。理学修士(九州大学)、文学修士(東洋大学)、人文科学博士(お茶の水女子大学)。東方学院で中村元氏からインド思想・仏教思想論、水野善文氏からサンスクリット語を学ぶ。著書『仏教、本当の教え』『法華経とは何か』(以上、中公新書)、『ほんとうの法華経』(橋爪大三郎氏との共著、ちくま新書)ほか。訳書『梵漢和対照・現代語訳 法華経』上・下巻(岩波書店、2008年、毎日出版文化賞受賞)、『梵漢和対照・現代語訳 維摩経』(岩波書店、2011年、パピルス賞受賞)ほか。

「2024年 『日蓮の思想 『御義口伝』を読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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