中井久夫スペシャル 2022年12月 (NHKテキスト)

著者 :
  • NHK出版
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本棚登録 : 279
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (119ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784142231461

作品紹介・あらすじ

私たちにとって「心の病」とは何か?

治療困難とされてきた統合失調症の実像の解明、阪神・淡路大震災における被災者の心のケアなど、常に人々の苦しみに寄り添い続けた精神科医・中井久夫。優れた文筆家でもあった彼は、一般の人にも響く瑞々しい言葉で記された論文をはじめ、精神科医としての観点で綴られたユニークなエッセイ、医学書にとどまらず詩作品でも高い評価を受けた翻訳など、実に多彩な著作を残している。その中から『最終講義』『分裂病と人類』『治療文化論』『「昭和」を送る』『戦争と平和 ある観察』の5つの著作を紐解いて、そこに込められた独創的な文化論や平和論から、人が社会生活を営む本当の意味について考える。

感想・レビュー・書評

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  • 番組は見ましたが、テキストの方は買いそびれてしまい未読なので、番組の感想ですが…。この番組で初めて中井久夫氏の考えを知りました。

    中井さんの、精神疾患を抱える人へのまなざしがやさしいこと。
    精神疾患をもつ人の能力が重用された時代があったこと。
    対話すること。
    などなど、ストレスフルな今の時代にも もっと注目されていいとおもいます。著書を多数出版されているので、ちゃんと読みたいとおもいました。

  • 名著125「中井久夫スペシャル」 - 100分de名著 - NHK
    https://www.nhk.jp/p/meicho/ts/XZGWLG117Y/blog/bl/pEwB9LAbAN/bp/pDl9BNKV5m/

    100分de名著 中井久夫スペシャル 2022年12月 | NHK出版
    https://www.nhk-book.co.jp/detail/000062231462022.html

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      中井久夫さんが教えてくれたこと(2)医師として 白衣着ず、人として患者に寄り添う | 総合 | 神戸新聞NEXT
      https://www.k...
      中井久夫さんが教えてくれたこと(2)医師として 白衣着ず、人として患者に寄り添う | 総合 | 神戸新聞NEXT
      https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202301/0015967502.shtml
      2023/01/16
  • 面白かったー。

    中井さんが凄すぎて、溜息しか出ない。

    2022年8月に亡くなられた精神科医中井久夫さん。
    中井久夫ファンとおっしゃっている精神科医斎藤環さんのナビゲートで、様々な視点から簡単に軽く迫れる本。

    統合失調症の第一人者であり、かつては治らない分裂病と言われていた病をつぶさに観察し、治る病へと希望の道筋を与え、「病」は能力であると、統合失調症の人たちが活躍した時代があったと、人文科学の視点から論じ、戦争と平和、昭和天皇に関するエッセイまで。

    その知識の幅の広さ、人への優しい眼差し、もうすごいとしか言いようがない。

    「人は平和よりも安全保障感を求める」は、なんだかなるほどなと思った。

    すごい方がいらっしゃったんだなと、ただ思う。

  • 年が明けて、はじめての読書はこちら。

    以前、中井久夫の『いじめの政治学』を読んで、内容の豊潤さと自在に領域を横断する筆の軽やかさに圧倒されたけれど、それを可能にした彼の博識、深い思考力、繊細な感受性のことが、このテキストでよくわかった。

    第3回「多層的な文化が『病』を包む」中の、特定の地域にしか存在しない病がある、という指摘がおもしろい。
    「病」、「治療」という言葉自体に、その文化がもつ、人がどうあるべきかという価値観が自動的に内包されている可能性があるーー。
    思ってもみなかったけれど、こういう視点を持てば、患者という存在に、違った角度から光があたりはじめるように思う。

    「戦争という過程は、軍部が民衆を一方的に統率し、抑圧してつくられるのではなく、忍耐という共通の倫理観を持つ民衆が協力し合ってつくられるのです。」
    と中井の戦争観を解説する、テキスト著者の斎藤環の言葉に、今年が新しい戦前にならないように、と切に願う。
    私なりの平和維持のためにも、今年も少しずつ本を読んでいこう、と思ったお正月でした。


    • snowdome1126さん
      workmaさん

      はじめまして、コメントありがとうございます!
      正義と正義のぶつかり合い……本当にそうですよね。
      自分の身の回りの小さなこ...
      workmaさん

      はじめまして、コメントありがとうございます!
      正義と正義のぶつかり合い……本当にそうですよね。
      自分の身の回りの小さなことでも、意見の異なる相手と共通の目標を見つける難しさを、痛感する日々です。
      それには、自分の頭の中のことを、気持ちを、もっともっと言葉にする力が自分には必要だなあ、とも。

      本がご縁でつながったかたと、熱く語り合えるところがブクログの良さの1つですよね!
      こちらこそ、ときどきのぞかせていただきます(^^)
      2023/01/09
    • workmaさん
      snowdome1126さんへ

      お返事を読んでいると…とても幸せな気持ちになりました(*^^*)

      ところで、Snowdomeがお好き...
      snowdome1126さんへ

      お返事を読んでいると…とても幸せな気持ちになりました(*^^*)

      ところで、Snowdomeがお好きなのですか?自分もSnowdome好きなのでいくつか集めております。
      2023/01/09
    • snowdome1126さん
      おお、ありがとうございます!

      はい、スノードームが大好きです。
      増えるいっぽうなので、さいきんは集めるのはやめていますが^^;
      workm...
      おお、ありがとうございます!

      はい、スノードームが大好きです。
      増えるいっぽうなので、さいきんは集めるのはやめていますが^^;
      workmaさんもお好きとは、嬉しい偶然です~!
      2023/01/09
  • 私たちは、心の病を抱えた人を自分の世界から切り離して他人事のように感じ傾向がある。
    しかし、中井久夫さんは、心の病には誰でもなりうることを説き、自分事として捉えることを、平易な言葉で教えてくれる。

    心の病に苦しむ人のための臨床手法の開発、該博な知識を総動員して安易な類型化を許さず実態を分析しようとする知的な誠実さ、理不尽を許さない正義の心。どれも私に足りないものだが、中井久夫さんの著作に親しむことで、私自身を変えていこうと思う。今まで中井久夫さんを知らなかった自分自身が恥ずかしい。

  • 懐かしかった。しばらく中井さんの新著を見ることはなかったが、かつては、S親和者の記述に、勝手に自分を居場所を見つけたような気がしていた。それは私だけではなかったと思う。

    今年2022年8月にお亡くなりになったとの記事を読み、ついにこの日が来たかと思った。けれども喪主にご子息の名があって、中井さんの人生も決して楽なものでないように見えなかった身としては、少し驚きと安堵を覚えた。

  • 「中井久夫スペシャル」斎藤環著、NHK出版、2022.12.01
    119p ¥600 C9495 (2023.01.04読了)(2022.11.28購入)

    【目次】
    【はじめに】義と歓待と箴言知のひと
    第1回 「心の生ぶ毛」を守り育てる 『最終講義』
    第2回 「病」は能力である 『分裂病と人類』
    第3回 多層的な文化が「病」を包む 『治療文化論』
    第4回 精神科医が読み解く「昭和」と「戦争」
     「『昭和』を送る」「戦争と平和 ある観察」

    ☆関連図書(既読)
    「復興の道なかばで」中井久夫著、みすず書房、2011.05.10
    「心の傷を癒すということ」安克昌著、角川ソフィア文庫、2001.12.25
    「ヒトはなぜ戦争をするのか?」アインシュタイン/フロイト著・浅見昇吾訳、花風社、2000.12.31
    「社会的ひきこもり」斎藤環著、PHP新書、1998.12.04
    「若者の心のSOS」斎藤環著、NHK人間講座、2003.08.01
    「「日本人」とは何者か?」松岡正剛・赤坂真理・斎藤環・中沢新一著、NHK出版、2015.04.25
    「「平和」について考えよう」斎藤環・水野和夫・田中優子・高橋源一郎著、NHK出版、2016.05.30
    「わたしたちの手塚治虫」斎藤環・園子温・ブルボンヌ・釈徹宗著、NHK出版、2018.01.30
    (アマゾンより)
    私たちにとって「心の病」とは何か?
    治療困難とされてきた統合失調症の実像の解明、阪神・淡路大震災における被災者の心のケアなど、常に人々の苦しみに寄り添い続けた精神科医・中井久夫。優れた文筆家でもあった彼は、一般の人にも響く瑞々しい言葉で記された論文をはじめ、精神科医としての観点で綴られたユニークなエッセイ、医学書にとどまらず詩作品でも高い評価を受けた翻訳など、実に多彩な著作を残している。その中から『最終講義』『分裂病と人類』『治療文化論』『「昭和」を送る』『戦争と平和 ある観察』の5つの著作を紐解いて、そこに込められた独創的な文化論や平和論から、人が社会生活を営む本当の意味について考える。

  • 100de名著。初めてテキストを買いました。精神科医の第一人者、中井久夫さん。解説は斎藤環さん。お薦め。

  • 今年亡くなった中井久夫が12月のテーマ。精神科医の斎藤環氏が解説。
    精神分析を対象としているだけにあまり用語になれず頭に入って来にくい印象。統合失調症を中心に病を多様な影響関係のもとで読み解こうとする。文化的な文脈のなかにおいて丁寧に層の重なり合いを読み解こうとされたのが中井久夫だったのだと思う。ただ文化論はややこじつけ感もあるような気がして、取り組み姿勢は理解できるけれど、やや乗れないところ。
    いずれにしても原著への導入としては良い解説になっていてかれこれ学生の時以来、中井久夫を読んでみようという気にさせてくれた。ただ斎藤環はもっとリーダブルに書ける方だと思うので、そこは残念。

  • 初めてテキストを買いました。テキストを読んでから再度視聴するととても分かりやすく、奥深さを味わえました。

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著者プロフィール

斎藤環(さいとう・たまき) 精神科医。筑波大学医学医療系社会精神保健学・教授。オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン(ODNJP)共同代表。著書に『社会的ひきこもり』『生き延びるためのラカン』『まんが やってみたくなるオープンダイアローグ』『コロナ・アンビバレンスの憂鬱』ほか多数。

「2023年 『みんなの宗教2世問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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