寒慄【かんりつ】 (ハヤカワ・ミステリ 1968)

  • 早川書房
3.07
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本棚登録 : 47
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150019686

作品紹介・あらすじ

スノーボーダーたちがアルプスのロッジで再会する。共通の知人が失踪して以来、久しぶりに顔を合わせた一同であったが、そこに彼らの過去の秘密を告発する謎のメッセージが。ゴンドラは動かせず、ここから出ることはできない……雪山を舞台にしたサスペンス!

感想・レビュー・書評

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  • 元プロスノーボーダー達5人が、かつて技を競い合った雪山で10年ぶりに再会する。
    ただし、そこには歩行不可能になったオデットと行方不明のサスキアはいない。

    いわゆる、あるある雪山クローズドサークルもので、誘いを掛けたはずの人物は俺じゃないと言い、気づけば10年前の真実を問うかのような不穏なゲームをけしかけられる展開に。

    新鮮味と言えば、テリエ・ハーコンセンやらマクッツイストやらのボード経験者にはたまならないキラーワード。
    確かにこんなスノーボード狂的世界観の小説は今までなかったので、その部分ではテンション上がったけれど、ただこれは一体どれだけの人に刺さるものなのか。

    肝心の本筋は、永遠かと思うような継続する膠着状態と、主人公ミラの謎の負けん気(この状況でバックフリップに挑む!?)と移り気に終始振り回される。
    現在と10年前を行きつ戻りつする構成を取るのであれば、劇的な事実の判明による変化がしばしば訪れるか、モザイクが晴れるかのような展開を期待するものだが、一向に関係者達の糸は絡まり合っていくばかり。

    通底する緊迫感自体は悪くないと思うのだが、その源であるビックバン的色恋沙汰や主人公の主観に左右されまくる疑いの矛先に疲れを感じた。

    うーん、どうしても感情移入できなかった。

  • 自分自身はオーリーで挫折したクチで、たまに近所のコンビニに行くのに乗るくらいになってしまったんだけど、スケートボードのビデオが好きで、インスタやYouTubeでよく見たりする。なかでも失敗して何度もコケるシーンがなぜか大好きで、華麗にトリックを決めているシーンなんかよりもそういったシーンで我知らず「おお、カッケェ!」とブチあがってしまう。何であるかこの感情は?
    我ながらずっと疑問だったんだけれども、本書でもトリックをモノにしようとして恐怖心と戦いながら何度も失敗を繰り返す描写が出てくる。
    スケート・メンタルなんて言葉があるけれども、要するに今の自分の能力以上の事に果敢に挑戦しようという、そういうスタンスがかっこいいんですきっと。

  • 「サスペンス」であり、「(本格)ミステリ」ではない。よって謎解きはないのだが、とりもなおさずつかみはバッチリ。体育会系リア充の世界は、こんな話を好んで読むような(私のような)手合いとはまさしく水と油だと思うが、引き込んで飽きさせないように書けている。
    題材といい、内容といい、もしかしたら「誰しも人生に1本書ける」系の作品なのかもしれないが、佳作であるのは疑いのないところ。読んでいる間は、紛れもなく楽しめる。

    2021/7/26読了

  • 雪深いロッジに招待され10年ぶりに邂逅を果たした5人、そこで起きる事件、誰が何のために?
    設定から”絶海の孤島”ものを想像し、10年前に起きた失踪(殺人?)事件の真相が解明されながら、復讐でも起きるのか…。

    確かにそういう狙いで、10年前と現在が同時進行で描かれるのだが、とにかくダラダラと心情描写が長い。
    それが”事件”に直結すればいいのだが、そこに至るまでの人間関係エピソードがどこまでも続く。しかもその大変が愛憎ドラマで退屈極まりないうえ、5人がボーダーということでスノーボード描写が長いが、これも興味なければ退屈なだけ。
    話がテンポよく盛り上がるのは最後の100ページ位。

    ただし、映像的(雪山)にも(ゲレンデと建物1個で良いから)予算的にも映像化には向いている。

  • 「寒慄」とはまた、見慣れない単語。スノーボードに興味のある層を引きつけるには、タイトルとしてちょっと硬かったような気がする。前半はチャラくて軽くて、あらまあどうしようこれ読めるかなと思ったけれど、ラストまでいくと、なるほどねとなかなかよく出来てたので、最後まで読めてよかった。

  • 元スノーボード選手だった著者ならではの作品。
    シーズンオフのスキー場の山頂のホステルに、10年振りに集められた元スノーボード選手の5人組。誰の招待か謎のまま、雪山に閉じ込められた状況の中で、じわじわと恐怖が進行する。5人の中のひとり、主人公ミラの語りのもと、事件の契機となった10年前の出来事と、現在が交互に語られ、謎が深まりを見せてくる。限られた登場人物の中、犯人は誰か、目的は何か、憶測が裏切られながらも、結末へと迫る展開は心地よい。数少ない登場人物の人となりや心理戦を通じて、犯人に焦点を絞り込めるか、読者への挑戦を受け止めることができるだろうか。

  • まあ 見かけほどでは

  • 雪に閉ざされたアルプス山中のロッジを舞台にしたクローズドサークルのミステリー。一人称で現在と10年前が交互に書かれていて、その整合性の手腕は凄いと思うけど登場人物に魅力を感じない。疑心暗鬼に陥る他のメンバーも全員ステレオタイプで、飲酒してるかケンカしてるか。インドア派の私にはちっとも楽しめなかった。でもこれで犯人が〇〇なら‥と最後まで読んだが‥あくまで個人の思いです。

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