ソングマスター (ハヤカワ文庫 SF 550)

  • 早川書房
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (524ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150105501

感想・レビュー・書評

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  • 歌の可能性を改めて考えさせられる一作。ソングバードとして世界にその声を響きわたさせるだけでなく、その後の苦難の道のりをさらに世界に還元していく。スケールが大きな話だ。ソングマスター。その言葉から単なる音楽もの?と思いつつ読み始めたが、あっというまに、そのストーリーに引き込まれてしまった。オーソン・スコット・カード恐るべし。久しぶりに読み終えるのが惜しくなるような名作に出会うことができた。

  • とてもとても美しいSF。

    音楽と呼ばれる音波の集まりが、人の心に働きかけ、動かし、導く。ソングハウスはその絶対的な力の持ち主を養成するがゆえに、その目的を宇宙全体の平和に定めている。

    天才的な歌い手(ソングバード)アンセットはその目的を知らずに刷り込まれて、無垢のまま皇帝ミカルのもとへ送られて行く。それは彼自身の幸福とは必ずしも言えなかった。多くの試練を経て、老いたアンセットはソングハウスへ帰る。そして自身の物語を歌う。

    世にソングバードの歌が満ち満ちていき、アンセットの思いが受け継がれていくならば、平和はもたらされるだろう。そんな音楽を愛する人が想像する思いっきりの大風呂敷な物語。

    たぶん映像化(音楽がね)はできないかな…。それだけが残念。

  • その歌声で人々の魂を揺さぶるソングバード。
    そのソングバードに選ばれた
    アンセットという少年の人生が語られてます。
    彼は生涯に5人の男女を愛するんですが、
    特に「ジョジフ」の章は切なくて泣きそう。
    実はあたしの一番好きな本です。

    最初に読んだのは高校生の時。
    その時はフツーに良い話だなーと思っただけだったんですが、
    社会人になってから読み返してみたら
    あまりの素晴らしさに呆然として、
    3日間くらい何も手につかなかったという過去が。
    あたしが死んだら棺に入れて貰うのはこの本!と決めてますw
    (実は3冊持ってる…)

  • 約22年ぶりに再読。
    内容をほとんど忘れていたので、新鮮な気持ちで読めた。
    アンセットの波瀾万丈な一生。
    盛りだくさんな内容で、面白かった。

    2022/07/06読了

  • カードの小説はこれで4作品目。
    短篇集のときはあまり思わなかったのですが、長篇の場合は、苦難あれど最後は前向きな終わり方をしており、とても好感をもって読了できる印象でした(といってもエンダーのゲームと死者の代弁者ぐらいですが。。。)。

    さて、本書。
    全体的に悲しい雰囲気が漂います。それは物語から常に死の香りを感じるからでしょうか。要所要所で多くの登場人物が舞台から去っていきます。意図せぬもの、意図するもの違いはあれど、ひとり去るたびに悲しさが増していきます。ちなみに、個人的にはミカルの去り際が非常に印象的。彼はこの物語でも随一の存在感を持っているかと。
    ただ、ミカルをはじめとした登場人物の去り方は、どちらかというと世代交代の意味合いが強いと感じています。だからでしょうか、彼らの思いがしっかりと引き継がれている描写を見ると、悲しみこそあれどむなしさは感じられませんでした。アンセットの最期も役割を終えたものの境地であり、物語としてしっかりと幕を閉じた印象。

    相変わらずのストーリーテリングで読ませる一冊。500頁超えの大作でしたが、飽きせず楽しむことができました。

  • 少年少女合唱団が「マイスタージンガー」とかの演目を、年齢不相応なキモ美しさで演じている感じ

  • 古書購入

  • 妙なる響きに胸いっぱい♪

     傑作SF歌物語! と言ったら忘れられない『ソングマスター』♪ とびきり素晴らしい歌声とものすごい超能力を授かった人物の、数奇な人生を綴った作品です。

     前半は、老帝ミカルが求め続けてきた、魂を揺さぶる歌い手「ソングバード」としての物語です。寄宿舎を舞台とする少年小説が好きな人も、ツボりそうです。
     ソングハウスの少年たちのなかでも、ずば抜けた逸材だったアンセット。しかし、歌を理解すること、歌で理解すること、歌から理解すること、歌で理解し合うことは、それぞれちょっとずつ違っています。アンセット少年はなまじ歌えてしまうだけに、勘所をつかんでいないらしい……★

     真のソングバードになるためには、ただ感情をまき散らすのではなく徹底して制御しながら歌うように……と、お師匠さまから最後の厳しい修行が施されます。ついにすべてを噛み分ける瞬間が訪れ、歌が溶け合う前半クライマックスには、むせび泣く思い☆

     並みの小説なら、前半で「ブラボー!」と喝采して終わっておきそうです。しかし作者カードは、類いなき美声の設定とようやく行き着いた感動の名場面に、あっさり別れを告げます。
     皇帝の寵愛(?)を得たソングバードを、高みから突き落とす後半。ミカル帝が去り、そして次の実力者が統べる世界で、アンセットの喉に異変が……!? 非常に不思議な成り行きで、大人になったアンセットは新たな歌のかたち、驚くような音楽の使い道をマスターすることになります。
     傷んでしまった天然素材は、周りにあたえる影響力を自覚し、自分の力の使い道を見つけて復活するのです。

     少年時代の歌物語があまりに美しかったため、政治の内幕も絡んで二転三転する展開に、頭がついていくのは大変でした。読後時間が経ってからのほうが、ちょっと分かってきた気がするかな~★

     とにかく、音楽とSFが好きだったら、読み逃すわけにはいかない逸品です!

  • 最後には感動して読み終えた
    表紙   4点佐藤 弘之
    展開   5点1978年著作
    文章   5点
    内容 750点
    合計 764点

  • 歌えなくなったのは、彼だけじゃないんだな、きっと。僕も・私も。

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