第81Q戦争: 人類補完機構 (ハヤカワ文庫 SF ス 4-4)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150111809

作品紹介・あらすじ

長い年月の果てに、地球は傷ついていた。疲弊した人類は孤立した都市群に追いこまれ、地上を覆う荒れ野では、突然変異した獣や人間狩猟機たちが徘徊するのみ-そこに現われ、その後一万年以上にわたる支配を確立した「補完機構」とはいったい何だったのか?妖しくも美しい補完機構の未来史の中でも、とりわけ伝説的な色彩を帯びた9篇を収録。加えてスミスの多才を示す貴重な非シリーズ作品も収めたファン必読の短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 人類補完機構シリーズ読破。いやぁ面白かった。「青をこころに、一、二と数えよ」題名からしてカッコいいのだけど、とにかく良かった。ヴォマクト家や人類補完機構の成り立ちなど、ほか3冊を読んだ後に読むのが良い。

  • 〈補完機構〉ものではないらしいが、『ナンシー』が出色。

    永遠にも等しい孤独に耐えるために出現する「彼女」。

    将来の見通しがきかない不毛の時代などといわれる現代社会にあってオタクカルチャー界隈で言われる「俺の嫁」「脳内嫁/彼女」と結びつけて考えられなくもないようなそうでもないようななんというか。

    ただ、前2冊『鼠と竜のゲーム』『シェイヨルという名の星』と比べてより寄せ集め感の強い短編集なので、満点評価というほどではない(そもそもコードウェイナー・スミスは一編一編で見ると珠玉といえるものがある一方、まとめるとちぐはぐ感が出てしまうというか)。

  • 表題作に著者が外交官ラインバーガーであった事実を踏まえれば生物としてのヒトが大きく変化でもしない限り“戦争はなくならない(外交の最終的手段であるから)(最終兵器が完成し使用を自制するほど賢明になれば≪潜在化≫するかもしれないが)”という溜息が見てとれる。とくにChinaは将来に西欧世界に挑戦すると予言(彼の未来史では地球地上には中国人以外駆逐される)。「戦争の原因は人口膨張である」それを見据えて『人類補完機構シリーズ』では出産も死も完全に管理された世界を描く。父の勧めで行った第二次世界大戦後の「社会主義国」に作者は何を見たのか“人権を抑圧する社会の方が戦争に勝利する”ではなかったか

  • 第81Q戦争―人類補完機構 (ハヤカワ文庫SF)

  • もちろんエヴァンゲリオンの影響で読んだ。ただしエヴァ的なものを期待していたのとは大違いで、どちらかといえばファンタジー色の強いSFといった感じだった(といってもブラッドベリなんかとは全然違うが・・・)。ただこの短編集が伝説的な色彩の特に強いものを集めたとあるので、機会があれば別のものをもうひとつぐらいは読んでみたい。巻頭の年表は見ているだけでわくわくするのでね。

  • おもしろいと思ったのは、「マーク・エルフ」、「昼下がりの女王」、「ガスタブルの惑星より」……と3つ挙げてみると、気に入った理由は、要するにドイツ語が聞こえたからかもしれない。ガスタブル星の住人で、アヒルそっくりなアピシア人の首領らしき人物の名前「シュメックスト」は、原文では"Schmeckst"だろうか。"Du schmeckst uns."(お前はおいしい。)というスミスの洒落だと思うのだが。挟んだままになっていた1997年2月の早川書房の新刊案内に、「超人気アニメ『エヴァンゲリオン』の原点/人類補完機構シリーズ」という惹句を見つけて、つい笑ってしまった。伊藤典夫訳。一九九七年二月二十八日発行、定価720円(本体699円)。
    収録作品:「人類補完機構年表」(J・J・ピアス編)、「序文」(フレデリック・ポール)
    人類補完機構の物語「第81Q戦争」、「マーク・エルフ」、「昼下がりの女王」、「人びとが降った日」、「青をこころに、一、二と数えよ」、「大佐は無の極から帰った」、「ガスタブルの惑星より」、「酔いどれ船」、「夢幻世界へ」
    その他の物語「西欧科学はすばらしい」、「ナンシー」、「達磨大師の横笛」、「アンガーヘルム」、「親友たち」
    「訳者あとがき」

  • コードウェイナー・スミスの短編集その3。その1とその2
    の選に漏れた作品ということもあって、落ち穂拾いの
    ような短編集となっている面は否めないが、それでも
    十分楽しむことが出来た。

    コードウェイナー・スミス、残すは長編ノーストリリア
    のみ。もったいない気もするけれど、引き続き読んで
    しまいます。

  • 独立独歩、固有の世界を構築するコードウェイナー・スミスが手掛ける人類補完機構。
    当著では次の9つの作品のほか、人類補完機構に属さない5つの物語を収録。どれを摘まんでみてもやはり面白い。

    <人類補完機構>
    ・第81Q戦争
    ・マーク・エルフ
    ・昼下りの女王
    ・人びとが降った日
    ・青をこころに、一、二と数えよ
    ・大佐は無の極から帰った
    ・ガスタブルの惑星より
    ・酔いどれ船
    ・夢幻世界へ

    <その他の作品>
    ・西欧科学はすばらしい
    ・ナンシー
    ・達磨大師の横笛
    ・アンガーヘルム
    ・親友たち

    著者が零したストーリーの寄せ集め的な印象を拭いきれない当著ではあるが、”人類補完機構”を知るにおいては、恐らく当著が最も重要とされるだろう。
    ヴォマクト家、ジウィンツ団、マンショニャッガー…などなど…
    各物語の合間に頻出し、紙面を賑わせていたものの、その出自があやふやであったこれらのワードが当著をもって明らかになるのだ。
    そして、それは人類補完機構がどのようにして生まれたのかを知る術でもある。

    さて、神話にひとしき物語が並ぶ当著のなかで、『青をこころに、一、二と数えよ』が、月並みかもしれないが、やはりこの物語が一番良かった。
    駄目だ。好きなんだこーゆう物語が。
    例えば『星の海に魂の帆をかけた少女』や『クラウン・タウンの死婦人』のような物語が。
    奇想天外な物語の隙間にはさむロマンチックなこれらの物語が!

    相変わらずの興奮で読み進めた人類補完機構。
    先に紹介したとおり当著では、その他の作品も収録されている。
    人類補完機構に属さないとはいえ、面白さが半減するワケでは、もちろんない。『ナンシー』『親友たち』…テーマが似通ったこれらの作品は、その作品が放つ強力なメッセージがゆえに、記憶に深と刻まれました。

  • 何故か真っ先に本棚に並べてしまったお気に入りです

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