ファウンデーションの誕生 下 (ハヤカワ文庫 SF ア 1-34 銀河帝国興亡史 7)
- 早川書房 (1998年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150112370
感想・レビュー・書評
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読み進めるうちにそれなりにハマったので下巻は★4で。
セルダンの辛さが、胸に沁みる。
私はこの銀河帝国シリーズではほとんど解説を読まなかったのだけど、
この『ファウンデーションの誕生』下巻だけは読みました。
まーシリーズ最後の一冊ということで。
で、解説されている方が、
人類の在り方としてアシモフが描いている方法に(つまりガイアに)、
納得できていないと知ってちょっと嬉しい。
なぜなら私も納得できないから。
私はアシモフは好きだけれど、これだけは反対。
さてでは『ネメシス』『永遠の終り』に進もうか、
と言いたいところなんだけれど、
読まなくてはならない本が山積みしているのでアシモフは暫しお預け。
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ファウンデーションができるまでの困難、ドース、ユーゴ、レイチ、マネルラ、そしてウォンダとの別れが書かれる。
滅びゆく帝国とともに、文明が滅んでいくのを、何とかして食い止めようとする努力をするセルダンが、ついにファウンデーションと星界の果てを見出した。
彼の人生は、困難に満ちていたが、多くの人に恵まれていたと思える一冊だった。 -
ついにファウンデーションシリーズが完結し、よく知っているところへたどり着いた。これまでの知識を持ってもう一周してみようとも、新たな世界に進もうとも思った。自分にとって折に触れて見返したくなる名作となったことは間違いない、と思った。
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ふたつのファウンデーションの誕生は、灯台もと暗しだっだ。
60歳から晩年のセルダン博士は有名人としてのリスクと金策に悪戦苦闘。資金援助と連れてくる仲間達の働く場所を提供してくれ、老人だから時間がない、早くお願いしたいと銀河帝国図書館の評議員ジョナーロ・ママリーへ訴え出ても昔と違ってけんもほろろ。
「時の進行を、だれが止めえましょうか?評議会はあなたが同僚を連れてくるのを許さないだろうと思います。くさびの先端は危険だというじゃありませんか――初めは小さくても、やがて重大なことに結びつくんですよ、教授」 -
権力との緊張関係が生じ、面白味が増した。主人公ハリ・セルダンは公務員的な形式主義を嫌悪する。「宴会は嫌いだし、スピーチはその倍くらい嫌いだ」(59頁)
同僚の研究者は社交を嫌悪する。「訪問者はどうしても邪魔になるし、思考の糸が断ち切られますから」(121頁)。これはマンション投資の迷惑電話が有害な理由である。これは対面や電話のような同期的なコミュニケーションよりも電子メールのような非同期のコミュニケーションが優れている理由でもある。電子メールを出したことを連絡しなければメールを見落としてしまうと逆切れする人物がいるが、非同期のメリットを理解していない。
権力者は心理歴史学を政権に都合よく利用しようとする。「われわれの政権が永続し、帝国に平和と繁栄をもたらすと、だれかが予言しさえすればよいのです。大衆はこれを信じて、それが予言どおりに成就する予言―つまり自己達成的予言―になるのを助けるでしょう」(71頁)。
これは『ファウンデーションへの序曲』の皇帝と同じである。「未来を予言するにはおよばない。未来を選ぶのだ―良い未来を、有用な未来をな―そして、その未来を招来するように、人間の感情と反応を変化させる予言をすればよい」(アイザック・アシモフ著、岡部宏之訳『銀河帝国興亡史6 ファウンデーションへの序曲 上』ハヤカワ文庫、1997年、31頁)。
ディストピアを描くSF作品は現実の予見と見られることがあるが、21世紀の日本政府は近いことを行っている。国土交通省の建設工事受注動態統計はデータの合算や二重計上という不正が行われていた。これによって実際よりも受注を多く見せていた。統計を見た人は実際よりも景気が良いと誤った認識を有してしまう。 -
セルダンが老いていき、おなじみの姿に近づいていくのはある種の安心感があった。だが、そこに到達するまでに彼が失ったものを考えると胸が痛む。巻末の解説にもあるように、今作はファウンデーション成立後の作品と性格を異にしている。SFという面だけでなく、セルダンの焦りや後悔といった感情を精緻に描く人間ドラマとしても最上の作品だと思う。
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図書館で借りた。名作
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少しづつ展開が見えてきた。
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ファウンデーションの誕生(下)―銀河帝国興亡史〈7〉 (ハヤカワ文庫SF)