2010年宇宙の旅〔新版〕 (ハヤカワ文庫 SF) (文庫) (ハヤカワ文庫 SF ク 1-49)
- 早川書房 (2009年11月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150117337
感想・レビュー・書評
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2010年が始まったとき、〆はこの小説で決まっていた。
2001年が綿密な設定と謎にわくわくしていく古典的な名作だったのに比べ、
この作品はどちらかというとそれの詳しい解説やエンターテイメントの面を強調している。
実際に2010年になってもこの時代の科学力はこの小説に追いついて来れないし、明らかな矛盾が見つかるまでも無い。
そして古臭くもない。
人間の、クラークの想像力にただただ感服するばかりである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1982年の大学3年生の皆さんごめんなさい。2010年の僕たちの悩みは未だに狭い地球の中で、いかに食いっぱぐれないようにするかとか、夢をとるか安定をとるかとか、どうやったらあいつを彼女に出来るかだとか、自分の魅力って何なんだろうかとか、なんであんなやつがとか、世の中結局金なのかとか、社会が悪いとか、自分が悪いとか、顔か性格か金かとか、学歴とか、才能はあるけど運がないだけとか、本気出してないだけとか、あんなもん本当は意味ねえよとか、高校時代に戻りたいとか、中学時代に戻りたいとか、ええい生まれ変わりたいとか、愛って何とか、生きるのはめんどくさいとか、考えすぎだよとか、人生って何だろうとか、まぁそんなとこなんです。でも結構、すごく大事なことじゃないかと思うんです。4年生ときたらそれを冷めた目で見てくるのです。
1982年の大学3年生の皆さんごめんなさい。そうです。そのへんは変わらんのです。宇宙とかそんなん、ちょっとよくわかんないっす。まだまだあなた達とやけ酒で盛り上がることができてしまうんです。同じグチを抱えておるのです。楽しく飲もうぜ!
ああ、でもあなた達ほど景気良くないし、80年代のプラザ合意には恨みがあるのであしからず。
時は2010年。今年読むしかないだろうと、買った。帯には茶番な宣伝文句。
≪巨匠クラークが描いた未来に人類は到達できたのか?≫
しばらくの沈黙の後、ハルは答えた。
「すまないデイブ、世界経済にモノリスが立ちはだかっている。着陸不可能だ。」
―と、いう皮肉が浮かんでしまうわけだが、いやいや、この本から学ぶべきものはそういう話じゃない。クラークの科学技術の発展に対する純粋な希望に目を向けるべきなのだ。いつか人類が宇宙の神秘に出会うであろうということを信じるのだ。
それが今世界の腫瘍を鮮明に映し出すかもしれない。光を当てなければ見えるものも見えない。今も昔も変わらぬ宇宙の法則である。(10.09.22) -
この題名の年になっちゃいましたね。まったくこのお話のような宇宙生活は実現できていませんが。せっかくなので記念に今年中にもう一度読んでおきたいと思います。
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16年前に書かれた2010年の小説。新版には序文、あとがきが追加されている。