デューン 砂の惑星〔新訳版〕 (上) (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房
4.17
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感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150120498

作品紹介・あらすじ

老化特効薬と巨大砂蟲の惑星アラキスを舞台に、陰謀錯綜する壮大な未来叙事詩の傑作!

感想・レビュー・書評

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  • ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の映画(Part1)を観て、どうしても読みたくなって買い求めた。思った通りだった。私の生涯ベストの一つである「指輪物語」に追いつかの如くの「ファンタジー」だったのである。

    私がファンタジーに求めるものは二つ。物語の最初から、既に「世界」は完璧に出来上がっていていなくてはならない、というのが一つ。もう一つは、物語の奥の奥に、必ず答えの決まらない「問いかけ」が用意されていること。そしてラストに、ファンタジーだからこそ許される答えを僅かに提示すること。まだ3部作の最初を読んだだけだけど、一つ目は見事にクリアした。

    時は、地球の西暦で教えられる。標準年10191年。0を一つ間違えているわけではない。これも、映画では冒頭に出てくるけれども、原作では「後世」に作られた本の一節で初めて知らされるのに過ぎない。遠い未来の話は、殆ど遠い過去の話とイコールだ。

    「汝、人心(ひとごころ)を持つがごとき機械を造るなかれ」『オレンジ・カトリック(OC)聖典』より
    ‥‥つまり人間社会はAIの洗礼を既に受けて、新しい段階に入っているらしい(著作の頃はまだAI概念は不確かだったけど)。

    砂の惑星は、「香料」を産出するがために、あらゆる争いのもとになっている。冥王サウロンの「ひとつの指輪」の如き存在なのかもしれない。

    主人公ポールは、やがて砂の惑星の民から救世主と呼ばれる。物語の冒頭から、それは決定しているかの如く描かれる。ある時は、「クウィサッツ・ハデラック」と言われ、もう一方の情報では「ムアディップ」と呼ばれる。一方では彼は、アトレイデイス公爵の跡継ぎとして砂の惑星アラキスに降り立ったポール・アトレイデイスなのである。重要な公爵暗殺劇も、物語の冒頭から「後世の」「ムアディップ伝」の中で語られているから、映画で筋書きがわかっていた私以上に、本書読者には驚きが無い展開である。私にとっては、映画ストーリー以上に最初に展開を種明かしをしている物語の構造に、驚きを禁じえなかった。おそらくこの「構造」こそが、「砂の惑星」の魅力なのだろうと、今は思う。

    102世紀の世界ではあるが、魅力的な機械が散見する。トンボのような羽ばたき機は砂上に飛ぶのだとすれば確かに合理的であるし、身体中の水分を殆ど外に出さない循環型スーツも、あり得るテクノロジーである。そして、砂の惑星の主とも言える砂蟲の圧倒的な存在感。ここから宮崎駿が王蟲を創造するのは遠くはなかっただろう。

    映画は2部作と思いきや、殆どこの3部作のうちの上巻のみで終わった。とすれば、映画も3部作なのか?そんな情報はどこにもないし、次が作られる保証さえなかったはずだ。本作のヒット如何に関わらず、どうやらPart2の制作は決定したようだ。とりあえず、それだけが「見える未来」である。

    (得るに時あり、失うに時あり、保つに時あり、棄るに時あり)
    『OC聖典』に含まれる、〈伝道の書〉からの引用だ。
    (愛しむに時あり、悪むに時あり、戦うに時あり、和らぐに時あり)
    (462pのレディ・ジェシカの呟きである)

  • 旧訳版で読んでいたのですが、読み辛くて新訳版で買い直してみたら読み易くで驚きました。
    言わずと知れたSF超大作。映画続編も来春公開で楽しみ過ぎますね‼️

  • パート2の映画公開を控えて、気になっていた「デューン 砂の惑星」。アマプラで映画パート1(デビッドリンチ監督じゃない新しいほう)を観て、このダークさは原作でこそ味合わねばと思い手に取ってみました。
    シリーズ化されているデューンですが、第一弾の「砂の惑星」の小説の発行が1965年と知って、こんな作品が自分が産まれる前に世に出ていたのかと、びっくりさせられました。
    出てくるキャラクターは、救世主として覚醒していく(のであろう)主人公ポールと、「魔女」と呼ばれる母親、わかりやすい敵ハルコンネン男爵など、どいつもこいつもキャラが濃く、それぞれの事情と野望と愛憎を絡め合いながら、裏で“静かな”丁々発止のやりとりを繰り広げていきます。
    すごい世界観なのに、派手なシーンが少なく、確かにこれは映画にしにくいと思うけど、スターウォーズなどに影響を与えたのもよく理解できました。
    強烈に面白い!というわけではないですが、気になる世界観ではあります。
    とりあえず次、中巻読んで、映画のパート2を観てみたいと思います(逆がいいのかな?)。

  • 映画『DUNE/デューン砂の惑星』10・15公開決定 物語の一端が垣間見える日本版特報 | ORICON NEWS
    https://www.oricon.co.jp/news/2199347/full/

    ついに時代が追いついた!『DUNE/デューン 砂の惑星』のキャスト陣を一挙紹介 - フロントロウ -海外セレブ&海外カルチャー情報を発信
    https://front-row.jp/_ct/17429768

    デューン 砂の惑星〔新訳版〕 上 | 著訳者,ハ行,ハ,ハーバート, フランク | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013119/author_HAgyo_HA_2889/page1/order/

  • 上中下一括感想
    下巻にて

    あー映画館で、観たいよー。

    スターウォーズとナウシカと中世ヨーロッパの大河ドラマ。愛と陰謀の渦巻く韓国王朝ドラマ。
    いろんなものが混じって……

    でもなんだかハマる〜。

  • ドゥニ版の映画が大好きなので,このpart 2公開のタイミング,やっと原作に挑戦。ただでさえ分厚い一冊が上・中・下あるので覚悟して読み始めた。思った通り内容は難しく,映画を観ていなければ完全に理解することは難しかったと思う。
    ただやはり面白い。映画版は勿論だが,原作も砂の惑星の景色が鮮明に見えてくるような気分。

  • 映画『DUNE 砂の惑星』Part1を先に観ていたことが、原作のSF独特の世界観をイメージする手助けになって、思っていた以上に読みやすかった。映画を観たときにも感じたけれど、SFというよりもファンタジー的な要素も強くて、それがこの作品の魅力だと思える。
    映画ではこの上巻よりももう少し先の話が描かれていたが、ポールの未来が視える存在としての覚醒は、映像ではわかりにくかった。ハルコンネンによる陰謀に巻き込まれたアトレイデス家の嫡男という感じで、まだその能力が、目に見える形では現れていない印象だったけれど、原作では明らかな覚醒が描かれていて、今後の展開に期待が高まる。
    3/15にPart2公開予定なので、月末までに残りの中巻、下巻を読み終えてから、映画を観に行きたいと思っている。
    原作も映画もとても楽しみだ。

    • ぶるさん
      SFは架空だから映像にするのが難しい。
      あと、気持ちとか心とか精神とか元々形のないものも難しい。
      本はそういうものは扱うのに向いてるのか...
      SFは架空だから映像にするのが難しい。
      あと、気持ちとか心とか精神とか元々形のないものも難しい。
      本はそういうものは扱うのに向いてるのかもとも思う(^^)
      2024/03/08
    • 小皿さん
      ぶるさんさん
      コメントをして下って、ありがとうございます。
      本当にそうですよね。映像は技術的にいろいろなものを生み出すことができるようになり...
      ぶるさんさん
      コメントをして下って、ありがとうございます。
      本当にそうですよね。映像は技術的にいろいろなものを生み出すことができるようになりましたが、心情を映画で表すことは本当に難しい。
      原作を読み始めて、さらに作品世界の理解が深まったので、残り中巻、下巻を読んで、Part2の公開を心から待ちたいと思います。
      2024/03/08
  • フランク・ハーバートによるSF大河。今年(2021年)に監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ、主演:ティモシー・シャラメによる、最新の映画化作品が公開されて話題となっているので、この機会に手に取ってみることに。(なお、本書は上中下全3巻の大長編作品となっている。)

    砂漠に覆われた惑星アラキス。そこは、体内から排出される水分をも再利用する必要がある程の過酷な環境である一方、莫大な富を生み出す、メラジンと呼ばれる抗老化作用をもたらす香料の唯一の産地であった。
    そんな惑星アラキスを、皇帝の勅命により、宿敵・ハルコンネン男爵家に代わって支配することとなったアトレイデス公爵家。表面上は皇帝の公認の下で、宿敵から要地を奪取することとなったが、それは皇帝と男爵による、アトレイデス公爵家を滅ぼすための策謀であった。罠だと知りつつも公爵家の当主・レトは、惑星アラキスに乗り込む―――。
    一方、惑星アラキスへの移住前夜、公爵家の世継ぎとして育てられたレトの息子・ポールは、鋭い洞察力や"絡り声"と呼ばれる人を操る特殊な話術を身に着けた"読真師"<ベネ・ゲゼリット>と呼ばれる者の、教母と呼ばれる人物から<クウィサッツ・ハデラック>について聞かされる。「いつの日か、ひとりの男が現れる。その男は、"読真ドラッグ"の力を借りることで、"読真師"の教母にも覗くことが出来ない、肉体自体に受け継がれた男系・女系両方の"記憶"を、一度に俯瞰することが出来る。その者こそが<クウィサッツ・ハデラック>―――。」

    砂漠に覆われた過酷な惑星、そこの原住民"青い目"のフレメン、砂中を支配する圧倒的スケールのサンドワーム、"読真師"<ベネ・ゲゼリット>、"演算能力者"<メンタート>...etc、キーワードを挙げたらキリがない程の魅力的な設定、壮大なドラマが読む者を離さない。

    男爵家、そして"裏切り者"によって急襲を受け、壊滅したアトレイデス公爵家。母・ジェシカと共になんとか生き延びたポール。<クウィサッツ・ハデラック>として覚醒し始めたポールは再起を図るべく、砂漠の住民・フレメンの居住区へと向かうのであった―――。(次巻へ続く)

  • デュニ・ヴィルヌーブ監督の新作「DUNE 砂の惑星」を観て、原作を未読だったことをハゲシク後悔。さっそく上中下3巻を取り寄せ、読んでみたら...コレが面白かったのなんの!!!
    なるほど、スターウォーズに繋がる要素もあれば、宮崎駿「風の谷のナウシカ」の世界観やキャラクターに通ずる要素もあり、連綿と受け継がれる地球規模のSFの系譜に頭を垂れたくなる気分。どうして今まで読んでおかなかったんだろう!
    願わくば、映画「DUNE」の後編の製作も必ずや実現されますように!

  • 離散までのストーリー(上巻)の読了までの道のりが長かったです。それを越えると楽しめます。

    • 魚雷屋阿須倫さん
      私が読んだのは、矢野徹氏さんの訳で、表紙と挿絵が石ノ森章太郎氏でした。
      私が読んだのは、矢野徹氏さんの訳で、表紙と挿絵が石ノ森章太郎氏でした。
      2019/12/04
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