三体2 黒暗森林 上 (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150124427

感想・レビュー・書評

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  • 待ちに待った続編。
    三体艦隊が地球を侵略するために自惑星を出発したあとから始まる。
    主人公は前回のナノマテリアル科学者汪淼(ワンミャオ)から社会学者の羅輯(ルオジー)に代わる。
    迫り来る危機に対応できる唯一の作戦「面壁作戦」が打ち立てられ、その作戦の実行者として4名の「面壁者」が選ばれる。
    それぞれの面壁者が立てた作戦はどのようなものなのか。
    果たしてその作戦で本当に三体艦隊と渡り合えるのか。
    そして面壁者を事前に打ち破るべく忍び寄るテロ組織からの「破壁者」たち。
    彼らは面壁者を止め、三体側に与することができるのか。

    一方で地球全体が緊迫した空気の中、一切やる気にならず面壁者になった特権でやりたい放題のルオジー。
    前作とは異なり、エリートでもなんでもない、普通の学者の彼は、果たしてなんなのか。
    そもそもなぜ面壁者などに選ばれてしまったのか。

    前作とはまた違った緊張感の中、話は着々と進んでいく。

    上巻ということで、話の決着もまだぜんぜんついていないのだけれども、
    ・異星からの攻撃を受けるまでに400年時間がある
    ・時間はあるものの、異星からの妨害により、今後基礎物理学を発展させることができない
    ・地球人のすべての表だっての行動は、すべて監視されている
    という制約を設定に盛り込むと、SF的な部分が俄然地に足の着いたリアリティを持ち出すのだなあと感心した。
    400年猶予があるということは、少なくともいま生きている世代の人たちには何の影響もない。
    「私たちが死んだ後の話なんてどうでもいい」という意見が出てくるのは当然。為政者達はそういう意見を受け止めた上で、未来を救わなくてはならない。
    そんな社会的シミュレーションも含んでいて大変に興味深い。
    また、物理学の発展が阻まれるということで、未来のソリューションも、既知の今の科学の延長で対策する必要がある。
    なので様々な解決策も、突飛な感じがしない。我々が容易に想像でき、「おお、それならいけるのでは!」と思わせてくれる。

    ワンミャオにだいぶイライラさせられたが、前作からの面白さは変わらず。
    どう着地するのか、下巻に期待。

  • ついに始まった三体人に対抗するための地球側の計画。それはあまりに予想外の方法だった。面壁計画、面壁人、破面人、智子、、、SFは概念や未来を描くわけだが、凝り固まった頭をブチ抜くような設定を持ってくる『三体』という作品に脱帽した。遥か先の将来にやってくる三体人に人類の立ち向かい方が問われるわけだが、そんな先のことをどうやって備えるの?という読者の素直な疑問に、作者は斜め上から人類のムーブを示してくる。難しい学問はさておき、物語としてとても練られていて面白い。

  • 最初の慣れない部分を通り越すとハマること間違いなしです!

    物理の好きな友だちにも力強く薦めてしまいました。

  • ちょうど4月の下旬に文庫本が発売されたので、ゴールデンウィークに第二部「黒暗森林」を一気読みした。
    最初、第一部の主人公・汪淼が出てこないので、どうしたのかなーと心配していたのだが、この「三体」は一部、二部、三部とどれも違うお話と考えたほうがよさそうだった。
    汪淼らしき人に大史が言及するシーンがあったので、どうやら百歳くらいまで長生きしたらしいことはわかった笑。
    どんなすごい方法で三体文明を退けるのかと思ったけど、とんちのような一休さん的な展開で、最後は「おおおおおおお」と胸が高鳴った。
    SFでもあるし、ミステリーでもある。
    二部で一応の決着がついている感じもあるので、三部でどうなるのか、6月の文庫本発売まで(待てたら)待ち遠しい。無理になったらもう、単行本で読んでしまうかもしれない笑。

  • 三体人という地球人から見た宇宙人が,ほぼ地球人だった第一作に思うところはあったが,本巻では三体人が一切出てこず,強制的に作られた数百年単位の不利な状況に地球人が利己的に混乱する様子が物語られる.骨子だけ辿ると,これほど長い説明内容が必要か疑問を感じるが,アイデアを全て盛り込み明文化したいのかも知れない.

  • 24.4.24〜5.1
    4月中に読み終えたかったのにあと数ページで眠ってしまった。それすなわち続きが気になって仕方ない状態にならなかったということかな。2巻はよりエンタメと前巻のあとがきにあったので楽しみにしていたけど1巻の方が自分は面白かった。
    史強や文潔が出てきたから時代はさほど進んでないのにワン・ミャオが出てこないのなぜ?と思いながら読んでいて、最後まで出てこなかったので不自然すぎない?死んだ?三体側になった?と想像が膨らむ。

    2巻は何でこんなに自分にはまってないのか考えて、1巻の「ワン・ミャオ頑張れ!史強頑張れ!」の気持ちになっていないからだなと思った。そしてルオ・ジーの何が気に入らないのかわかった。やれやれ系で女には不自由しないしチートな俺っていうなろう系主人公みたいなキャラクターだからだ。
    小説家の恋人に小説を書いてプレゼントしてと言われて、生い立ちから人物像を創り上げてその人に恋をしてしまうのはロマンチックでいいなと思ったけど、面壁者になって実際にその女性を探させて、子どもまでつくって、あまつさえその間人類のために何もしていないというのがどうしても気持ち悪く感じて好きになれない。全然スーパーヒーローじゃない、とてつもなく人間らしいとも言える。

    北海は真っ直ぐだけど愚直という感じではなく、何を考えて行動しているのか計り知れないのが怖くて感情移入は難しいけど、父親にアドバイスを乞い泣いているシーンがあるだけでルオ・ジーよりずっと好感度高いので、続きで何を成し遂げてくれるのか楽しみ。

  • 三体星人が地球に到着するまで400年かかるという時間軸からしたら、当然だけど、1巻目の登場人物から、ほぼ全取っ替え。だけど人工冬眠を使って史強大史にまた会えるとは…あと軽インフルエンザの話、コロナより前に書いてることを考えると凄い。

  • 正直1よりも面白かったし、どんどん思いがけない方向に進んでいって最高

  • 細かい理解は、既にだいぶ怪しいけど、大まかな流れはバッチリ楽しめる。コアなファンのみならず、自分みたいな一般曹でも十分満足できる、ってのが強みだな。

  • 「三体」の続きだが,全編「思考実験」的なお話が進み,世界観に慣れるまで時間がかかった.でも,発想のユニークさは「三体」を受け継いでおり,楽しめた.

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著者プロフィール

1963年、山西省陽泉生まれ。発電所でエンジニアとして働くかたわら、SF短篇を執筆。2008年に刊行された『三体』で人気に火が付き、“三体”三部作(『三体』『黒暗森林』『死神永生』)は中国で2100万部以上を売り上げた。2014年にはケン・リュウ訳の英訳版が刊行され、2015年、アジア人作家として初めてSF最大の賞であるヒューゴー賞を受賞。2019年には日本語訳版が刊行され、11万部を超える大ヒット。

「2023年 『神様の介護係』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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