ロミオとロミオは永遠に 下 (ハヤカワ文庫 JA オ 7-2)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 1933
感想 : 178
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  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150308568

作品紹介・あらすじ

「大東京学園」の存在意義に疑問を感じはじめたアキラは、何者かの計略により「新宿」クラスへと降格になってしまう。そこでは、リーダーのシマバラはじめ13人の生徒たちが、学園からの脱走計画に命を燃やしていた。一方、肉親の死に絶望し、20世紀への思慕を募らせるシゲル。それぞれの想いが交錯するなか、学園最大のイベント「大東京オリンピック」の開催日にして、"脱走の特異日"である10月10日が迫っていた-。

感想・レビュー・書評

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  • 大東京学園からの脱走劇、下巻。
    やはり個人的には面白さがわからなかった。

    巻末に、"20世紀サブカルチャー用語大事典"が掲載されていて、あー、こんな映画あったなぁ、これ流行ってたな、などと記憶の彼方にあったものを思い出すきっかけになった。

  • 上巻のラストで、まんまと嵌められてしまったアキラ。最底辺の「新宿」クラスに降格され、シゲルとも離れ離れになってしまった。
    一方のシゲルも、肉親の死の知らせに希望を失っていた。
    年に一度、学園をあげて開催される「大東京オリンピック」の日に向けて脱走計画を練る新宿クラスのメンバーたちだったが…


    上巻はやや冗長に感じたが、下巻はスピード感アップして、1日で読了。

    学園から脱出した先の“外の世界”が、昭和三十九年の東京オリンピック開幕の日、高度成長期の日本だったというラストは意外ではあったけれど、なんとなくおさまりが悪い感じ。
    昭和の歴史を知っているからといって、戸籍すらない高校生たちが無一文で放り出されて、それで…?
    せめて、アキラの兄・オサムたちが何らかの方法で繋がりあっていて、彼らを受け入れてくれる予感くらいは無いと、ハッピーエンドと言い切れないような。

    恩田陸さんも幅広い作風が魅力だけれど、本作は…彼女の作品群の中では、今ひとつかも。

  • 下巻は一気に加速

    『二十世紀少年』の「ともだちランド」のような
    大東京学園で繰り広げられる“大東京オリンピック”

    恩田先生が愛する“愛とサブカルチャー”に
    溢れた高度経済成長期、カオスのはじまりの
    バブル期、その結果が招いた荒廃した未来…

    便利な世の中になったけれど
    現代に比べると昭和は、
    いろんな意味でカラフルだった
    サブカルチャーもサブ・カルチャーだった

    昭和サブカルチャーは永遠に

  • 恩田陸さんやはり作風の幅が広すぎる!他の作品の雰囲気と異なりテンション高めの疾走感あるSFもの。
    近未来の荒廃した地球に残されたのは日本人のみ、文化を取り上げられ、化学物質や産業廃棄物の処理に従事する世界。そう遠くない未来にこんなディストピア日本が待っているのではと思ってしまい、謎の緊張感も持ちつつ読んだ。

    上巻の序盤であさのあつこさんの『NO.6』や山田悠介さんの『DUST』あたりを彷彿とさせられつつ、『麦の海に沈む果実』のような閉鎖的な学園、狂った制度、その中で芽生える友情、青春…やはり恩田陸作品だ。トンネルを掘る2人も、凧で飛ぶ2人も、勿論アキラとシゲルも、永遠であってほしい。

    とはいえ他の作品に比べると私が好きな恩田陸ワールドをあまり感じないなぁと思っていた上巻の終盤の

    『セピア色の郷愁、セピア色の後悔。』

    ああ、これこれ。この感じ。いま自分は恩田陸作品を読んでいるんだ。

    散りばめられているサブカルチャーネタは世代がドンピシャだったらもっと楽しめるだろうなぁ。巻末の20世紀サブカルチャー用語大辞典も面白かった。シラケ世代なんてあったんだ。いつでも外野は好き勝手言うね。
    今自分たちが当たり前と思っているものたちも、未来の人たちからしたら驚くようなものなのかもしれない。新宿ゴールデン街や、ディズニーランド、ポッキー、紅白歌合戦なども廃れたものとして大辞典で解説されているのは不思議な感覚だった。

    あとがきも、好きだった。
    解説の以下の文章も納得。
    『つまり、この作品は、ひとつの時代のサブカルチャーをミニチュアのように、ジオラマのようにひとつの空間の中に詰め込もうとしているのだ。』

    SFは恩田作品でなければ読まなかったジャンルなので刺激になった。ホラーが苦手で恩田陸さんの作品は読めないものも多いが、まだまだ深掘りできるぞー楽しみ。

  • 昭和から平成初期までのカルチャーを閉じ込め、タイムカプセルに仕立て上げたような小説でした。
    それは物語の構成とも通じるものがあります。

    恩田さんは「ハッピーエンドのつもりだった…なんだか非常に絶望的な結末に感じ」たとあとがきで書かれています。

    個人的には、喪失感が募るラストでした。
    失われたと感じるのは、カルチャーに対してか。未来への希望に対してか。
    現代は、まるで荒涼とした地雷原を腹這いで手探りに進むようです。何もかも食い尽くしてしまい、あとは滅びるのをゆっくりと待つ虚しさを感じます。
    本当は展望と野心をいっぱいに抱え、欲望のままにコンテンツを消費し続けられたらいいのに。

    『成仏』によって高度経済成長期の日本へトリップが叶ったアキラやシゲルたちが羨ましい限りです。

  • 世界観の把握ができたからか上巻よりも読みやすく、一気読み!昭和のリアル映像のくだりは理解が追いついてないのですが、大東京学園オリンピック会場に昭和が現れ、ゴジラ、キティ、スヌーピーとそうそうたる面々の大乱闘。脱走は命懸けとは言われていたけれども、ここまでがんばったのに脱落するのかと生存率の低さに驚きました。思ってもみなかった黒幕はただただ胸熱。結局、恩田さんにも意味が分かっていないタイトルとのことですが、すっごいキャッチーで私は大好き。映像化してほしい、勢いが爆発してる作品でした。

    [追記]
    (中田先生の授業であらすじしか知らないけど)『AKIRA』、『グレンラガン』の今石作品、(ちょっと毛色は違うけど)『輪るピングドラム』の幾原作品あたりが好きな人はおいしくいただけそう。
    タイトルがBL詐欺?そんなつっこみはナンセンスだな。

  • サブカル!
    わたしの世代ではないはず・・・なのに
    あっ!てなるところが多かった気が・・・

    終盤のスピード感がすごくて一気に読めた。
    新宿メンバーが欠けていってしまうのはつらかったけれど。


    「だから、きっとまた、いつかどこかであんたたちに会えると信じてるわ。
    その時には、必ず声を掛けてね。約束よ」

  • 近未来の男子校。
    下巻は大脱走劇だった。
    私的にはハッピーエンドに思えたので、
    読了感がとても良い。

  • 読み始めたらページをめくる手が止まらなくて
    一気に読んでしまった。
    オマージュが多くて、元ネタを想像しながら読むのも楽しい。
    章タイトルになってる映画は見た事のないものが多かったので見ようと思う。

    知恵も運動神経も意思も必要とされるなんて、私は大東京学園に入ったらすぐ死にそうだ。
    登場人物たちがそれぞれ魅力的で、キャラクターに惹かれていくうちにぐいぐい読まされている感じ。1番好きなのはシマバラかなぁ。みんなに一目置かれる圧倒的リーダー。この登場人物たちのスピンオフが読んでみたいなぁ…できればあまり殺伐としていない設定で笑。

  • 恩田陸氏は時々ポップなノリをやるけど、この『ロミロミ』その最たるものかも。深く考えずに少年たちの脱走劇を応援しよう。

    昭和〜平成初期ネタ連発は、若い人にとっては一周回っておもしろいのかもしれないけどアラフォーの私としては「なんかイタい」と感じてシラけてしまった。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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