アラスカ戦線 (ハヤカワ文庫 NV 22)

  • 早川書房
3.43
  • (2)
  • (0)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 23
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150400224

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 読み終わったぞー。思ってたのと違ってた。原題は何故ああなったのか?

  • なんか戦記物っぽいでしょ。
    ページをめくると細かい文字がぎっしりでしょ。
    アラスカ戦線なんて聞いたことがないでしょ。
    全然期待しないで読んだら、これすごく面白かった。

    第2次大戦中のアラスカを舞台に、日本軍とアメリカ軍がそれぞれの作戦を全うするために死力を尽くすのですが、そんな建前というかお膳立ては150ページまで。
    残りはとにかくアラスカという極めて過酷で広大な自然の中でどうやって生き延び、敵を追いつめ、前に進んでいくかの話。
    あくまでフィクションなんです。

    日本側の主人公日高大尉は、武士の家系に生まれた軍人。武士と軍人のメンタルの違いも小説で生かされているから、この設定は実に秀逸。
    十種競技でオリンピックの銀メダルを貰えるほどの身体能力を持ち、自然の中で生活することを好み、異国で現地の人たちの心を掌握することにたけている。
    つまりこの任務を遂行するには最適の人物。

    対するアメリカ側の主人公アラン・マックルイアは、アメリカの自然保護局に勤める役人。本来ならさっさと出世してアラスカのような辺鄙な場所にいるはずのない学歴の持主なのに、デスクワークよりも現場が好きで、アラスカの自然を熟知している山歩きのプロ。

    このふたりの視点で交互に語られるようになってからが俄然面白い。

    日本軍の作戦を阻止しようと追うアランたちは、どんな些細な痕跡も見逃さない。
    ほら、このほんのちょっと湿った石が、こすれた木肌が、日本軍が通ったと彼らに教えている。

    次の章では、追ってくるアメリカ軍を察知しながら、次々と罠を仕掛けていく日本軍。
    さらに次の章では罠を回避して追いつめるアメリカ軍。
    視点が変わるたびに情勢もひっくり返る。

    作者はドイツ人なのね。
    だからどちらかに肩入れすることなく、公正中立に闘いは続いていく。
    欧米人の苦手な日本文化についても、日本に住んでいたこともあってかなり正確。
    最初の頃は日本人が書いた本だと勘違いしていました、私。

    自然の描写、知識も、作者が実際アラスカ6ヶ月暮らしてみただけあって、目の前に迫ってくるほどのリアリティ。

    ずっとわくわくドキドキしながら読めますが、最後の50ページの緊迫感たるや。
    ついに1対1で追いつ追われつする日高大尉とアラン。
    闘いの中で互いに敬意を持ち、卑怯なふるまいをすることなく正々堂々と振舞う二人。
    どんでんどんでんどんでん返し。

    結末については賛否両論あるかもしれません。
    でも、読後感の爽やかなこと。
    血まみれ汗まみれ、泥臭い男2人の闘いの果てが驚天動地&脱力で、読後爽やか。
    フィクションの楽しさを存分に堪能させていただきました。

  • 根本的に古いタイプの冒険小説が苦手。マッチョな男が女子供を守るってパターンに鼻白む。この作品も基本はそんな感じだ。だが途中から俄然面白くなる。
    日米戦争時にアラスカの島を占領した日本軍が、本土攻撃の足がかりにしようとある作戦をたくらむ。それを阻止しようとするアメリカ側の人間は、兵士でなく自然保護局の人間というのが面白い。日本の兵士の描写は陳腐で滑稽だ。それなのに、いよいよアラスカの荒野で日高大尉とアランの戦いが始まるとそんなささいなことは気にならない。日高と仲間たちは任務を全うしようとし、アランやアラスカスカウトの面々は彼らを阻止しようと追い続ける。互いに味方からの援助はなく、食料も装備も武器も徐々に失っていくのに、双方決して諦めない。憎みあっているのではなくゲーム感覚で勝負を競っているようだから、陰惨さがないのが良い。思ったより楽しめた。

  • 当時にしては珍しく、日本兵がカッコいい。

全4件中 1 - 4件を表示

ハンス・オットー・マイスナーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×