地上から消えた動物 (ハヤカワ文庫 NF 88)

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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150500887

感想・レビュー・書評

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  • 主に人間の行いによって絶滅してしまった動物のストーリー。取り上げられている動物は、ドードー、オーロックス、ステラーカイギュウ、オオウミガラス、クアッガ、モア、オオナマケモノ、リョコウバト。後先を考えずに食用にしたり、金儲けのために乱獲したりする話が続き、うんざりしながらも興味深く読み進めることになった。

    絶滅した動物とその絶滅の経緯を語った本は今はたくさん存在すると思うが、この本はその中でも最古参になるのかな。とても読みやすくまとめられている。

    著者は冒頭で、「科学者は”人の手による根絶(エクスターミネーション)”と”絶滅(エクスティンクション)”との間に区別を設けている」と述べている。そういう意味では本書は厳密には、「絶滅」ではなく「根絶」を扱った本である。「絶滅」の途にある動物を「根絶」させたという例もある。

    また著者は、保護活動の紹介にも重点を置いている。絶滅したと思われた後で僅かな個体数が見つかった動物や、絶滅の危機に瀕したところで保護されて絶滅を免れた動物もいる。
    保護活動に懸命に勤しむ人々には敬意を表したいし、機会があるごとに協力していきたい。

    著者のロバート・シルヴァーバーグは元々SF作家だったというのには驚いた。

  • SF作家のシルヴァーバーグが、想像に偏ることなく史料に基づきリアルに動物たちを再現した。ドードー、モア、ロック鳥…19〜20世紀に絶滅した動物たちのオマージュ。100年前は当たり前に存在していた動物たちだが、今文章で読むとなんとも不思議な生き物であることか。今世紀はどの動物が滅んでいくのか。またどんな動物が新たに現れるのか。自分の知識を整理しておくのにとても勉強になる

  • 読書録「地上から消えた動物」5

    著者 ロバート・シルヴァーバーグ
    訳 佐藤高子
    出版 早川書房

    p105より引用
    “ 博物館の館長たちは、即刻その最後の
    五〇羽を駆り集めて、種の保存のため保護下
    に置くよう取り計らったか?
     否である。彼らが求めていたのは、陳列
    ケースに飾るものだった。彼らは剥製をほし
    がり、そのためにはよろこんで高い報酬を支
    払うつもりだった。”

    目次から抜粋引用
    “絶滅の意味するもの
     ドードー
     オオウミガラス
     リョコウバトとヒース・ヘン
     滅亡の門の前に”

     今では見ることが不可能になっていたり、
    居たとしても極めて少なくなってしまった動
    物について記した一冊。
     有名なドードーについてから絶滅を避ける
    ための試みについてまで、絶滅に関わる歴史
    を交えて書かれています。

     上記の引用は、オオウミガラスの絶滅とそ
    の原因の一つについて書かれた一節。
    オオウミガラスの生息地が、火山の噴火で無
    くなってしまい、事実上絶滅したときのエピ
    ソード。
    生息地の水没を免れたオオウミガラスが、
    50羽ほどいたそうですが、この館長たちの行
    為によって、止めを刺されてしまったそうで
    す。
    何とも皮肉な話です。
     大抵の絶滅動物は、美味しかったり脂肪が
    燃料となったりと、人間にとってありがたい
    存在であったのが不運のようです。
    しかし、自分の空腹を満たす分以上に殺さな
    ければ、個体数が急激に減ることをおさえる
    事はできるのではないかと思います。
     大盛りの食事を苦しみながら食べる、とい
    う番組が時々放送されていたりしますが、も
    ういいじゃないかなと思いました。
    それが人の手で増やせるものであったとして
    も、過ぎた欲を見せるのはどうかと思います。

    ーーーーー

  • 大航海時代に船員達の食料となり絶滅した動物達や、あきれるほど多くいた鳥がいつの間にか絶滅してしまった実話物語。どれも人間が増えて勢力を広げる事によって、人間によって絶滅への道を辿った。

  • SF作家が絶滅した動物達の生き様と絶滅に至る道筋を資料に基づき、克明に描いたもの。

    そこで書かれた絶滅種の多くが人間のエゴによって絶滅にまで追いやられる姿に、つくづく人間である事が嫌になりましたΣ( ̄ロ ̄lll)



    そういえば、作品の中に絶滅種を扱っている作品も多々ありますね。

    有名なところでは「アリス」に出てくるドードー鳥。

    アラビアンナイトのロック鳥のモデル・モア。

    最近の作品だと伊坂幸太郎氏の「モゴモゴ・・・(解り易いので言いません。だってタイトルにとっても有名な鳥類学者の名がw)」

    在りし日の姿を文章だけに留める・・・・・・(ノд-。)クスン

    寂しい話です。


    この本の中には「絶滅に瀕し、その後辛うじて生き延びた(人為的に)例」も示されています。

    しかしながら書かれた当初(日本・初版の発行は1983年4月30日となってます)から今に至るまで状況は悪化の一途を辿っているのでは無いでしょうか?

    例えば身近な動物で浮かぶのは虎であるとか犀など・・・。

    動物ですらそうなのですから昆虫や植物の世界ではもっと深刻でしょう?

    知識の持ち合わせていなかった過去の時点と異なり、現在の我々の知識量を総員すれば、道筋は見出せる・・・・・・そう信じたいですね・・・・・・。

    それでも救えなかった例も記されているので楽観は出来ませんがΣ( ̄ロ ̄lll)


    人と環境を考えるサミットを見据える今、人と他の生命の関係も見つめてもらいたいものです。

    その意識を生み出してくれるこの一冊、皆様にお勧めします。

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