- Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150502300
作品紹介・あらすじ
1982年2月4日深夜、嵐の大西洋上でキャラハンの小型ヨットは突然沈没した。この時から海洋史上に残る壮絶なサバイバルが始まった。救命イカダに逃れた彼は、飢えと渇きに苦しみつつも、手製のモリで魚を獲り、頼りない蒸留器で飲み水を確保。だが漂流生活はいつ果てるともなく続き、死は目前に迫ってきた…。遭難者の90%が3日以内に死んでしまうという海難事故から奇跡の生還をとげたヨットマンが綴る極限の手記。
感想・レビュー・書評
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大西洋漂流、奇跡の生還劇。命運を分けたのは準備と幸運と、なんといっても驚異的な精神力か。飢えと枯渇、孤独と絶望、暑さ寒さ、傷の激痛…まさに生き地獄。数々のトラブルを工夫で乗り切る機力もすごい。旅の連れになるシイラやモンガラの魚たち。北極圏の極夜、氷壁でのビバーグなど、いろいろサバイバルを読んできたが、今回のケースも自分なら即死確定。救助される2日前に最後の太陽熱蒸留器が破損している、ギリギリだ。
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いろんな知恵を思い出し学びながら76日間の漂流生活を
生き抜いていく描写がとても面白かったです -
知人に勧められて読んだ。
コロナで寝たきりの時に読んだのもあって夢にまで出てくるほど衝撃的だった!これが実話だなんて信じられない!
スリル満点で面白すぎて一気読みした。
生き延びるための知恵と精神力がとにかくすごい。生きることに対し、これほどまでに貪欲になれたのは何故なのか。普通なら海に一人で投げ出されたら先に精神がやられ長くて3日も持たないそうだ。
シイラ(マヒマヒ)との共生がとても不思議だった。漂流していた主人公に幾度となく襲いかかり、いつ食べられてしまってもおかしくない状況だったのにあるときから突然シイラが味方になったような素振りを見せ始めたのだ。主人公が極限まで追い詰められたことで動物や自然に対する傲慢な態度が完全に無くなったからかもしれない。
私たち人間も生まれたときから死と隣り合わせで生きているのが本来の姿だ。人間の傲慢な態度によって今ではほとんどの生物が人間よりも過酷な環境下で生きている。このままでは人類もその他の生物も滅びるのみ、だ。
大自然をバックにそんなことまで考えさせられる一冊だった。 -
「大西洋漂流76日間」 著者 スティーブン・キャラハン
大西洋の真っただ中で小型ヨットが転覆。
たったひとりで76日間も海を漂流したキャラハン。
飲み水も食べ物もなく救命ボートで漂い続ける。
詳しいレビューはこちらへ↓
https://youyou-bookmovie.blog.ss-blog.jp/2021-09-04 -
小学生のころに何かで読んだような気がして、「蒸留器」「水中銃」という単語からたどりついた。恐らくこの本で合っていると思うが、一部の内容しか知らなかったため、何で読んだのかは不明。知恵と工夫、何より意志の力で苦境に抗い続けるさまはとても真似できないと思わされた。
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大西洋で遭難し、76日間も漂流し奇跡的に生還したヨットマンの日記。「生きる」ことへの飽くなき執念が書かれている。連日、手持ちの道具を駆使して、とにかくどうやったら生き延びられるかを必死で考え抜く。絶体絶命のピンチでも決して諦めない。生きるのに必要なのは「精神力」であることがよくわかった。安易な精神論も危険だが、こういった本との出会いで自殺を選んでしまう人が少しでも減ったら良いのに・・。
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気が遠くなるような苛酷な漂流を乗り越えたことに感動した。筆者のサバイバル術や精神力は圧巻
。自分だったら1日も生きられないなと思いながら夢中で読んだ。情景や感情などの描写も上手。大海原の海で彷徨う絶望の中でも、水や食料にありつけ海が凪いで夕陽が綺麗なときに満たされるところが好きだ。普段の生活がどれだけ複雑で求めすぎているのか考えさせられる側面もあった。 -
著者は恐ろしく強靱な精神力な持ち主である。
それだけでなく自分でヨットを設計し作れちゃうぐらい船や航海術に詳しい。
ヨットレースに参加するぐらいの体力とそれに備えた知識も持ち合わせていた。
彼の漂流記には凄いの一言しかないが、それよりも訳者あとがきで書いてあった「真水の持ち合わせがなく、魚も捕れない場合には、5日を越えない範囲で、1日800~900CCの海水を飲んでおくのが、よい」
これは本当なのだろうか!? -
広い大西洋をひとりゴムボートで漂流、様々な出来事や想いが詳細に綴ってある。
水中銃の修理技術やゴムボートの修理については図解も含めて詳細に説明されていて、
詳細な説明は不要で読みにくいという見方も理解できなくはないが、
破損した用具の修理は生き抜くための最重要課題であり、
修理の失敗は死を意味することをおもえば必要不可欠な細部だとおもわれる。
生きるということは人に課せられた最も重要なタスクであり本能でもあるけれど、
同じく死というのも重要なタスクであり本分でもあると感じた。
ボートに集まるシイラとの内向的な精神的なつながりが印象的。 -
難破してから76日間大西洋を一人いかだで漂い生還した人の実話。
生き残るための技術を持ち合わせていた事は当然なのだが、魚たちが彼を生かそうとしているような印象。彼も魚たちと同化していき、魚の気持ちを想像するようになっていくその精神の変容が大変興味深かった。絶対的孤独な環境と超高ストレスな状態でどこまで自分を保てるか。おそらく彼が全く海の知識がなく、どの方向にどらくらいの速度で何日間流れていけば島にたどり着くという知識がなければ難破後、すぐに死んでいたのではないかと思う。すぐに死なないまでも、初めて船を見つけて信号を送ったが気づいてもらえならえなかったその瞬間に生きる意志がなくなるように思う。漠然とでも構わないと思うのだが、生きるためには希望と知恵が必要だということがよくわかる。ちなみに私はあの状況になった場合、耐えきれずに海の水を飲み悲惨な最後を遂げるような気がする。
シイラという魚を見たことはないが、シイラを介してなにか大きなもの、それは神なのか自然なのか、それとも神とは自然なのか、わからないのだがそういったものに意志があり、私たちはけっきょくその中でちょこちょこ生きているだけなのではないかという気もし、謙虚な気持ちも芽生えてくる。
海は元々そんなに好きではないが、やはり外洋に船で出るなどは恐ろしくやめておこうという気になる。
きついことを言うと、もっといい翻訳者で読みたい。おそらく原作の良さを取りこぼしているように思う。