リーマン・ショック・コンフィデンシャル(下) (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 早川書房
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150504021

感想・レビュー・書評

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  • 人物の多さと専門用語の多さで、かなり流し読みしてしまった
    史実を知っていれば雰囲気は掴めるものの、会議の内容や、どれだけ重大な決断をしているのかは理解できていない

  • 様々な制約の中、どうにかして自社を、実体経済を生き延びさせようとする人々が生々しく描かれている。
    刻々と悪化する状況に対して、一つ手を誤っただけで取り返しのつかない事態になる、少し前には見劣りして受け容れ難かったオプションすら気がついた時には取れなくなる、など
    状況の変化が目まぐるしくドラマとして面白かった。
    実体経済との結びつきや、資金の流動性を高めるというその役割は理解できる一方で、
    扱っている金額に対して定率でフィーを抜くことを正当化できるほどの価値を金融機関が創出しているのか
    という点に関しては理解できなかった。
    登場人物達は皆災難にあったような自己認識を持っているかのように描かれているが、
    あくまで彼らが彼らの利益のために作り出した金融システムが引き起こした災害であり、被害者にはなり得ないと思ってしまった。

  • Too Big To Fail
    リーマンショックの最中は学生ということで、さわりしか知らなかったけど、勉強になった。三菱の小切手のくだりには痺れた。
    この本に出てくるCEOの中に未だ現役がいるというのもなかなか感慨深い。

  • 一般人には知り得ない舞台裏が丹念に描かれていておもしろい。あの頃のジェットコースター相場が思い出されます。

  • 原書名:TOO BIG TO FAIL

    第13章 誰がリーマンを救うのか?(承前)
    第14章 全CEO招集
    第15章 リーマンの最期
    第16章 AIG倒れる
    第17章 モルガン・スタンレー絶体絶命
    第18章 三菱UFJからの電話
    第19章 揺らぐゴールドマン・サックス
    第20章 ワシントンDCへの最終招集

    著者:アンドリュー・ロス・ソーキン(Sorkin, Andrew Ross、ジャーナリスト)
    訳者:加賀山卓朗(1962-、愛媛県)

  • 上巻ご参照ください。

  •  最初にエピローグを読めばよかった。登場人物が多いので、全体像把握してから読むべきであった。それにしても、リーマンショックと言えば、日本でも仕事面・生活面でも身の回りで影響があったように記憶しているが、アメリカ本土ではリーマンだけでなく大手金融機関が軒並み大変になっていたことは恥ずかしながら知らなかった。エピローグに簡潔にまとめられている。


    「わからない、まったく」ポールソンは疲れた声で言った。頭のなかはまだリーマン・ブラザーズとメリルリンチの運命のことでいっぱいだというのに、AIGのための解決策も考えなければならないのか?

     ミラーは一刻も早く会社を売却する方法を探っていた。この業界は取引先の信頼や信用で成り立っている。リーマンは単独で運営されている時間が長引くほど価値を失っていく。
     
     マックは言った。「わが社はクリーンだ。利益も出ている。過去八日間でさえ大幅な利益をあげている。しかし、そんなことはなんの慰めにもならない。今日の市場では、実際の業績よりも財務に関するデマ、噂、中傷のほうがはるかに影響力を持つ」

     ペック判事は、一世紀以上の歴史を持つ企業に残されたものを救うことの重大さに心を震わせながら、バークレイズとの取引を承認した。
    「ミスター・ミラーに圧力をかけられたから、承認したのではありません」判事は説明した。
    「これが考えられるなかで最適な取引だとわかっているから、承認するのでもありません。私がこの取引を認めなければならないのは、これが唯一残されている取引だからです」

    以下、エピローグより
     たった数カ月のあいだに、ウォール街とグローバル金融システムは、すっかり様変わりした。かつての五大投資銀行は、それぞれ破産したり、身売りしたり、銀行持株会社に変わったりした。住宅ローン二大企業と、世界最大の保険会社が政府の管理下に置かれた。そして10月初めには、大統領のペンが動き、財務省―ひいてはアメリカの納税者が―かつて国の誇りだった金融機関の一部を所有することになった。ほんの数カ月前には、想定することすらむずかしかった救済策だった。

     ゴールドマンの成功に関する真の疑問は―ほかの会社にも言えるが―次のようなことだ。政府と納税者が、少なくとも暗黙のうちに彼らのビジネスを保証している場合、莫大な利益を生み出すリスク負担に規制当局はどう対応すべきか。実際、2009年下半期におけるゴールドマンの想定最大損失額は、どの日をとっても史上最高の2億4500万ドルに達していた(前年の数字は1億8400万ドル)。ゴールドマンのビジネスはこれまでのところ好調だが、これがまちがった方向へ進んでいたら、どうなっていたのか。好むと好まざるとにかかわらず、ゴールドマンは、国内最大級のほかの金融機関と同様、大きすぎてつぶせないまま残っている。

     たしかに、もし政府が何もせず、破産申請をする金融の巨人たちのパレードを眺めていたとしたら、実際よりはるかにひどい市場の大変動が起きたことだろう。一方で、連邦政府の官僚―ポールソンやバーナンキやガイトナーたち―の一貫性のない決断が、市場の混乱になったことは否めない。ベア・スターンズにはセイフティネットを提供し、ファニーとフレディも救い、リーマンは破産させておいて、結局あとでAIGを救済した。定型はあるのだろうか。規則は何なのか。何かあるようには思えず、投資家が混乱したとき―この会社は救済されるのか、そのまま破綻させられるのか、それとも国有化されるのか―当然ながらパニックが生じた。

     救済措置の後、まださまざまな議論が噴出していたころに、ジェイミー・ダイモンがヘンリー・ポールソンに短い手紙を送った。セオドア・ルーズベルト大統領が、1910年4月にソルボンヌ大学でおこなった”共和国における市民権について”という演説を引用したもので、次のような内容だった。
     
     重要なのは批評家ではない―力ある者がどうつまずいたか、偉業をなしとげた人間がどこでもっとうまくやれたかを指摘する人間ではない。名声は、現に競技場に立つ男のものだ。果敢に闘い、判断を誤って、何度も何度もあと一歩という結末に終わり―なぜなら、まちがいも欠点もない努力など存在しないから―顔はほこりと汗と血にまみれている。しかしその男は、真の熱意、真の献身を知っており、価値ある理念のために全力を尽くす。結果、うまくいえば優れた業績という勝利を得る。しかし、万一失敗に終わっても、それは少なくとも雄々しく挑戦したうえでの失敗である。だから彼の立場が、薄情で臆病な、勝利も敗北も知らない者たちと同じになることはありえない。

  • リーマン・ブラザース、AIG、モルガン・スタンレー、そしてゴールドマン・サックスと立て続けに押し寄せる危機の波の中で、なんとか時間を稼いで、資金調達や担保を探して...と金融危機の中で必死にもがく様が伝わって来る。上巻は今一つだったが、下巻がスピード感もあって面白い。

  • 「よくここ迄詳細に人物の発言や会議内の様子を含めて調べきれたな」というのが素直な感想。
    話は、ベアスタンズ合併後のリーマンが破綻に向かう一部始終、その後市場は更に下がり続け、モルガンスタンレー、ゴールドマン・サックスにまで経営危機が及んでいく。
    まさにリーマン・ショックの裏側。当時の実在のトップ投資銀行のCEOたちや財務省連銀の役員たちが史上最大の金融危機に対し、どのような行動を取っていなのかが詳細に記してあり、読み応えがあった。

    金融危機のさなかのせいか、投資銀行が自社の保有資産価値を全然把握できていないのは何とも間抜けであり、適切な対策を施したとしも、市場は違う反応を示せば結局は危機を脱しないのはなんとも無力だなってという感じがした。また、困ったときはバフェットに支援を頼むことが多いのでやはり信頼が厚いんだなと思った。

    また、モルガン・スタンレーと三菱からの支援を受ける話が出た時に、ポールソンが「日本の銀行は行動が遅く、何も決めれられない。よってその話は信用出来ない」と却下されたのが、まあ一般的な日本の企業に対する印象なのかなと何とも悲しくなった。

    登場人物が多く、全部英語名なので混乱しそうになるが、親切にも巻末に人物表が載っているので、助けになる。

  • リーマン、AIG破綻に至るには多くの利害関係者の欲望、保身、プライド、合理的な判断とそうではないもの等が様々絡み合っていることが良く描かれている。血なまぐさいに人間ドラマの帰結。

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