神のいない世界の歩き方: 「科学的思考」入門 (ハヤカワ文庫NF)
- 早川書房 (2022年6月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150505905
作品紹介・あらすじ
神様ではなく、科学を信じる「知的な勇気」を持つこと。進化生物学の大家がやさしく語る、不合理はびこる現代社会へのメッセージ
感想・レビュー・書評
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【感想】
神は存在するのか?神を信じる必要はあるのか?神は人間の道徳や生命の起源に関係しているのか?
「進化論」を否定する人が4割近くもいるアメリカ社会において、科学的な根拠や論理的な推論を用いる、という行為は意外にも難しい。そうした中、「無神論者」「科学者」という立場から、明快かつ挑戦的な回答を提示するのが、筆者のリチャード・ドーキンス及び本書『神のいない世界の歩き方』だ。本書は、ドーキンスの代表作『神は妄想である』の続編とも言える一冊で、若い世代を対象に書かれた現代の無神論についての入門書である。
本書は12の章から構成されている。おおまかには、
第1章~第2章:古代から現代まで、さまざまな宗教や神々の歴史を概観し、人間がなぜ神を創造したのか、神の概念がどのように変化してきたのか、聖書やコーランなどの聖典がどのようにして書かれ伝えられてきたのかを考察する。
第3章~第12章:神の存在は科学的にも哲学的にも立証できず、生命の起源、目的、自然現象、人間の心、意識、感性、想像力、文化といったあらゆる自然的・人間的要素は「神によって定められたものではない」と、繰り返し検証していく。
となっている。
副題に「『科学的思考』入門」とあるとおり、筆者が軸足を置くのはサイエンス、中でも「進化論」だ。
進化論は神や宗教に対する無神論の立場を支持するための重要な科学的理論である。当たり前のことだが、進化論は生命に目的や意味を与えていない。対して「創造論」――神がそのようにデザインした――という立場であれば、「神は何故そのような器官を?」「神はどうしてもっと便利な形状にしなかったのか?」という「神の意志」に疑問を呈さざるを得なくなる。一方で、進化論は生命の多様性や複雑性、適応性や美しさなどを「自然選択」というメカニズム一つで説明する。一応、進化論も「なぜその形に?」という疑問が残るような形態進化はあるものの、「共通の祖先から複雑化していく過程」を説明する進化論のほうが、格段に説得力がある。そうした基本的な科学理論から神の存在や聖書の記述を否定し、世界の見方を捉え直そう、というのが本書のあり方である。
本書は、「進化論を信じていない&神と聖書を信じている」アメリカ人向けに書かれた本である。そのため、神の存在を証明しようとする論証や神の存在を否定する論証といった、日本人には耳馴染みの無い主張も出てくる。そうした未知の考え(間違ってはいるが)を、「進化論支持者」というスタンダードな立場から覗ける、という意味でも面白い一冊だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ふむふむふむ。なかなかグッドでした。
読む人が読んだら大炎上しそうな内容でしたが、根拠を明示しながらの説明は首尾一貫としており、こういうスタンスもありだよね、と私は思えました。
特に最後の結論には納得感があり、非常に勉強になりました。
宗教が良い方向へ働いているうちは神はいてもいいと思いますが、悪い方向へ働いてしまったとしたら、それは神のいない世界を歩き始めるべきではないかと思います。
日本人は無神教的で、海外の宗教問題への意識が希薄であるという話を聞いたことがあり、私もその自覚はあるので、他者が大切にしていることを踏みにじりたくはないなあと思っていましたが、戦争やテロまで繋がって実害が出ている場合は、話が違います。
しっかり勉強して冷静に価値判断してほしいものです。 -
うーん、相変わらずドーキンスの語り口は楽しく読める。
生物学におけるダーウィンの進化論が揺るがされる現代アメリカにおいて、多様な生物が分岐し、DNAを自然淘汰のうちに自由自在に枝を伸ばしてきた、地球上生きとし生けるものすべての生物の歩みを、論理的かつ実際的な見地でもってドーキンスは神のいない世界を肯定的に再度捉えなおす。
神への攻撃の仕方が有無を言わさない理詰め感で容赦ない。
YouTubeの動画は全部見ましたよ。
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神様はいないんだよってことを論理的、科学的に説明した本。
日本ではあまり感じないし、自分自身もキリスト教信者じゃないので、人間含めこの世は神様が作ったんだとか、聖書は事実とかピンときてないんだけど、世界にはそう信じてる人もなかなかの数いて、ドーキンスがこの本含め、神様はいないだろって言いたくなる気持ちはわかる。信じるのはいいんだけど、他の人の生活に干渉するのはまずいと思うから。
んでもってこの本は、解説でも書いてあったけど、どうやらティーンエイジャーが対象で、「神は妄想である」の入門編らしく。言われれば口調とかそんな感じだなと思った。私は科学がめっちゃ苦手で、後半のDNAだのなんだのの話になったところは飛ばし読み気味になってしまったけど、前半は興味深く読みました。
みんなが住みやすくお互いを思いやれる世界になるといいな。 -
神さまはあまりにたくさんいて、とても気ままで、実際のところどんな仕事をしてるのかもよく分からない。世界を前進させてきたのは神ではなく、いつも科学だっただろう? 脱宗教と科学への信頼のメッセージ。〔「さらば、神よ」(2020年刊)の改題〕【「TRC MARC」の商品解説】
関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40296385 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/788422 -
はじめてのドーキンスさん著作。
『利己的な遺伝子』を読む前に…と思って。
丁寧に神様の存在や聖書のエピソード、有神論を科学的に否定していくので、大丈夫かこれ…と思いながら読み進める。後半はちょっと疲れていた。
ただ説得力はあるというか、道徳の涵養に宗教が強く影響しない人生を送ってきた人は、受け入れやすいんじゃないかなぁと思った。(自分がそうなので)
『利己的な遺伝子』を読むかどうかは迷ってるけど、いつかは手を出すと思う。 -
前半パートでは、神の存在を歴史的な視点から暴いていく。神や経典を信仰する人に対して、いろいろな矛盾を指摘していく。
後半パートでは、神の存在を信じる人に対して、地球上のさまざまな創造物や地球・宇宙などが「それを作ったのは神の仕業ではない」ということを科学的に解説する本。 -
ドーキンス博士の無神論者としての良心の書だと思う。宗教に関しては、どうしても及び腰になってしまう科学者が多い中で、しっかり科学者としての立場を貫いている。
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開始:2022/8/22
終了:2022/8/26
感想
神のいない世界。人間はわからないこと、空白を恐れるが救いの神はいない。あるのは科学の進歩の可能性のみ。勇気をもって空白へダイブしたい。