パンチとジュディ (ハヤカワ・ミステリ文庫 クラシック・セレクション)
- 早川書房 (2004年3月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150704131
感想・レビュー・書評
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「金」にまつわるミステリー事件では、往々にして捜査する側の内部組織が疑われるがその一つだ。いくつかの証拠に、アリバイ等を用意するのはお手の物、だがやはりミスはどこかで発見され疑問を持たれ、解決に向かう。この小説のミスは偽金で挟んだ本物紙幣束を見抜いたこと、複雑化させる人物・証拠・アリバイなど人柄からの陽動心理作戦だ。
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翻訳ミステリって、馴染みのない文化やワードもあったりして読みづらいから、読んでるうちに寝落ちしてしまうケースが多い。(つまらないからじゃなくて、面白いんだけど寝ちゃう、みたいな)
でもこの本は、前半は一気に読み進められた。もう、ケンを勘弁してあげてー、ってくらい色々な事件が起こって、ちょっと笑っちゃうくらいだった。
そしてほんとに翌朝結婚式なんてできるの?なんて思ってたけど最後もきっちり終わって良かった。ミステリというより、アドベンチャー的な感じだった。 -
結婚前夜に元調査員の男がある人物について調査して欲しいという依頼を受ける。
調べを進めていくうちに殺人事件に遭遇し警察にも疑われ逃亡していくどたばた劇の色が強い作品。
毒薬をすり替えた者を軸にH・M卿たち四人の推論を披露する終盤が謎解きものとしてわくわくする要素。 -
『貴婦人として死す』が思いのほか面白く、またもやカーター・ディクスンに挑戦。とにかくヘンリー・メリヴェールのキャラクターが最高。いやったらしさの一歩手前、何ともいえずめんどくさいんだけど憎めないおもろいおっさん。良い。
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H・M卿シリーズです。
物語は「一角獣の殺人」の続きとなります。
ケンはイヴリンとの結婚式前日にH・M卿に呼び出されます。
元ドイツスパイのホウゲナウアが国際指名手配中のLの正体を明かすと情報部に接触してきたので、その真偽を確かめる為にこの元ドイツスパイの老人の屋敷へ潜入をしろとの事なのです。
潜入した屋敷でケンは老人の死体を発見します。
さらにケンはほぼ同じ状況下でもう1体の死体も発見します。
全編、ケンが次から次へと大変な目にあっていてドタバタしていますが、そのケンの奮闘が笑えてしまうのです。
最後のオチまでも笑えました。
本書は題名の「パンチとジュディ」のままにドタバタしています。 -
H・M卿もの。H・Mに突然呼ばれたケンは、結婚式を明日に控えていた。ケンはH・Mに渋々従い、ある老人の家に忍び込む任務を与えられる。しかし、老人は死体として発見されケンは手違いから警察に追われるはめに……奇怪な事件を解決しケンは結婚式をあげられるのか。スパイチックな冒険ものなのに、裏に巧妙な謎が隠されていて展開がすごいなあと思いました。ケンの冒険潭もドキドキする場面も多かったですね。犯人もなかなかな人物で面白かったです。ただ、なんかいまいちしっくりこないのは何故かなあ……いまいちあの謎装置が理解できなかったせいかな……。
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ええー?あんたが犯人?
釈然としない何かが。
国籍・性別・名前不明で超天才の
重大機密ブローカー“L”は、死んでいた……!?? -
異色のスパイもの。
もちろんご多分に漏れず
狂気めいた雰囲気つき。
せっかくの爽快感も
狂気に押しつぶされて
なんかさびしいものがあります。
というか、爽快感は歴史ミステリ以外
カーには求めてはいけない…
ただし犯人は思わぬところから
出てきますよ。
ヒントは出てくるけど、
たぶん情報に惑わされて
見えなくなっているかと。
ちなみにこの作品は
ある意味完全な解決を見ません。 -
「これまで、わしは数多くの変わった事件を手がけてきた。わしはパンチとジュディの芝居に出てくる道化のようなものだ。階段の上から頭を出すたびに、誰かに棒で叩かれる。そして、観客はどっと笑うのさ。だが、いいかね、パンチとジュディの芝居で最後まで生き残るのは道化だけだ。誰にも褒めてはもらえない。ふん」
2023/6/11読了
カーの作品で、特に〈H・M〉ものはドタバタ喜劇的な要素が強いのだが、本作はタイトルからしてドタバタ全面展開。しかし、明日結婚式だっていう部下を事件に引っ張り込むとか、パワハラにも程があるだろう、H・M! -
2020/06/11読了