- Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150707347
作品紹介・あらすじ
彼を殺したことを告白します…枕元にいた映画監督のトマスを神父と誤り、死の間際、老人はそう囁いた。意識が混濁した老人のうわ言だったのか?時を同じくして、26年前の競馬界で起きた変死事件を題材に新作を撮影中のトマスは、何者かからロケを中止しろと脅迫を受ける。老人の告白と脅迫には関係が?トマスは不屈の意志でロケを続けるが、遂に凶刃が彼を襲った!映画界を舞台に放つ、シリーズ屈指のサスペンス。
感想・レビュー・書評
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見舞いに通っていた老人が最後に告白した言葉の意味は…?
新進の映画監督トマスが主人公。
まわりに睨みをきかせるには若く見えて、気持ちも優しいが、才能溢れる若者なのです。
白馬を走らせて幻想的なシーンを撮ろうとする工夫や、競馬界を舞台にした映画の撮影が面白い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
物語が始まってしばらくの間は、作品の方向性がよく分からず楽しめなかった。主人公が映画監督というのは面白いし、彼が撮影している映画が昔の事件を題材としていて、その映画化が過去になったはずの事件を再起動させてしまうという趣向は、なかなか良くできていると思う。
ただ、全体としてごちゃごちゃしてしまっているし、過去の事件そのものが後味があまり良くない出来事なので、なんか読んでいてスッキリしないのだ。主人公が過去の事件に首を突っ込んでいくあたりも、なんとなく動機が曖昧で、探求型としても巻き込まれ型としてもピンとこない。そのために、「良い映画=売れる映画を作る」ためにあれこれ動いているだけのようで、主人公にもう一つ魅力が感じられないような気がする。
映画づくりの話題は、個人的にも興味があって面白かった。さまざまな能力や、思い入れを持つ人たちが、監督やオーナーのもとで、ちょっとギスギスしながらも協力して作品作りに挑む人間模様は悪くない。まあ、ちょっとマニアックになってしまっている感じで、読者を選ぶかもしれない。