月曜日ラビは旅立った (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-5)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150711054

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  • 傑作シリーズの第4冊目。アメリカに住むユダヤのラビを探偵役としたシリーズである。

    今まで彼が住む小さな街を舞台に展開していたけれど、今回はエルサレムが舞台になる。ただ舞台が変わったわけではなく、アラブとイスラエルの対立といったスパイ小説もどきの背景が加わり、前半戦はちょっとしたサスペンスドラマの雰囲気さえある。

    それでもシリーズの基本であるラビの魅力は相変わらずで、不器用なほどまっすぐな彼の生き方に、ちょっとイライラしながらも応援をしてしまう自分がいる。

    毎回物語のバックボーンにある、世俗的な理事会と原則を曲げないラビの対立は、今回長期休暇を取ったラビをどうするか、という問題になっていく。旅行中に殺人事件を解決するラビの話と平行して、ラビ不在の中ラビと理事会の対決は進んでいくのだけど、こっちの再度ストーリーもなかなかハラハラさせられておもしろかった。

    殺人事件が起きてその犯人を捜す、というミステリのまっすぐな流れからすれば、よっと脇道が多いけれど、その脇道も十分楽しめたから、それほど不満もなく読み進めていけた。解決を、すっきりとして鮮やかと感じるか、単発的でもうひとつ物足りないと感じるかは好みだと思うけど、僕は前者が強い。いかにもケメルマンらしい、すかっとした論理だった。

  • ここまで来るとミステリは忘れましょう。純粋に小説として楽しんだ方が いいです。もしくはユダヤ人の考えの根本を知るのにはいいかも。 作者がその時代の若者の考え方をどのように捉えてていたかを 知るのもよし。 ピルプル論法は少しだけ出てきますが、事件はまたもあっさり 終わってしまいます。 今回は、一番最後が結構、良い場面かもしれない。 「われわれにはいつも、来たところに戻らない危険がつきまとっているん ですよ」 この文章、全然意味が通じないが、解説を読むと言いたいことは分かる 気がする。原文を見た方が良いかも知れない。題名の曜日は今回は内容と違う。 ラビが旅立ったのは木曜日。この"月曜日〜"のあとは"火曜日ラビは激怒した"、"水曜日ラビはずぶ濡れだった"、"木曜日ラビは外出した"が早川ポケットミステリで翻訳されていたが絶版みたい。(私は古本屋で手に入れたけど。)もう一つ"ラビとの対話"というどちらかというとユダヤ教メインのお話。この後は翻訳されてない。"SOMEDAY THE RABBI WILL LEAVE"は手に入れたけど、読むのを挫折。

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