鳩のなかの猫 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房
3.44
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本棚登録 : 572
感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151300288

作品紹介・あらすじ

中東の王国で起きた革命騒ぎのさなか、莫大な価値をもつ宝石が消え失せた。一方、ロンドン郊外の名門女子校、メドウバンクにも事件の影が忍び寄る。新任の体育教師が何者かに射殺されたのだ。ふたつの謎めいた事件の関連は?女子学生の懇願を受けて、ついに名探偵エルキュール・ポアロが事件解決に乗り出した。

感想・レビュー・書評

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  • これまでの作品の中で、トップクラスに犯人の目星がつかず、思考を巡らされた作品だった。
    怪しいと思われる人が殺されたり、白と思われている人が実は怪しい人のうちの1人だったりと、面白い論理の展開だった。

  • ポアロシリーズだということを忘れてしまうくらいポアロが出てこない。
    名門女子校で起こる殺人事件と中東の王国での革命騒ぎ。
    この2つの出来事が徐々に繋がっていき、全容が見えてくるという構成が面白い。
    個人的に、物語の舞台が屋敷とか豪邸ではなく“学校”であることに新鮮さを感じた。
    メインキャラのほとんどが女であり、彼女達の思惑が交錯するストーリーも良かった。

  • 物語は壮大に二つのパートにわかれている。
     一つは革命が起きた中東の地ラマット。国王であるアリは信頼出来る友人のボブと国からの脱出を目論見ながら、王家に伝わる宝石をボブに託す。ボブは人知れず宝石を国外に持ち出す算段をつけて行動する。その後、革命に巻き込まれて彼らは命を落とすが、肝心の宝石は行方知れずのまま。
     一つはロンドン郊外にある名門女子校メドウバンク校。バルストロードは一代でメドウバンク校を立ち上げたやり手の校長。学校は倍率も高く王族等も通う。特徴的な教員が在籍しており、優秀な人達が多い。
     今作はこの二つの側面が合わさって、サスペンスミステリーの様相を持つ。謎解きの中心はメドウバンク校での事件であり、ラマット国の革命はバックボーン的なイメージだが、彼の国から持ち出された宝石がとある理由からメドウバンク校に持ち込まれていると考えられる事が事件が発展する要因になる。
     警部のケルシーやスパイのアダムも魅力的ではあるが、最大に貢献したのはジュリアという女学生であり、彼女が「マギンティ夫人は死んだ」に出てくるサマーヘイズ夫人の姪っ子でポアロの噂を聞いており、学校を抜け出して彼に相談にきた事、更には今までの事件からとある事実を推測し確信に触れている部分は優秀で、彼女がポアロに相談しなければ間違い無く事件は解決しなかっただろう。
     人物として、校長であるオノリア・バロストロードはとても優秀な人物で、考え方や人の導き方、生き方がとても立派で、外国人として対面してきたポアロにも偏見などを持たずに相対している。また、元諜報部員のサットクリフ婦人も個性があり、彼女を捕まえれば事件は難なく解決だった訳だが、旅をしており終盤まで警察も協力要請出来なかった。メドウバンクはこの後とても難しい試練を進むが、バロストロード校長をはじめ困難に立ち向かう人物が魅力的に描写されていてきっと上手く立ち直るだろうと予測できる。
     事件を整理した上で犯人は学校に潜入しており、必ず誰かに化けているはずで、ポアロは捜査として先生方の親まで調べ上げ捜査をする。ポアロ自体登場は終盤になるが必要な部分を効果的に調査し事件を真相へと導く。また、犯人判明した後もとある理由で読者は驚かさるわけだが、流石はクリスティ、一筋縄ではいかない仕掛けだ。物語の結び方も好きで、そういう結末もいいなあと感じた。国王が海外に持ち出そうと策略した巨額な宝石を巡るサスペンスミステリーだ。

  • ポアロさんやっと出てきたー!って感じ
    ポアロシリーズでは結構好き

  • イギリスの名門校で教師が殺害される。その少し前に起こった中東での革命で、莫大な価値を持つ宝石が消え失せた。この二つの事件の関連は?
    ここに誘拐事件なんかも絡んできて、事件だらけ。ポアロも中々出てこない!!

  • 名門女子校で女性教師が殺害される。いかにもサスペンス、ミステリーに向いた設定。タイトル「鳩のなかの猫」とは言い得て妙。肝心の名探偵ポアロは中盤まで中々出てこないが、終盤の謎解きはあっぱれ。

  • またもやBSドラマ観てたが犯人を思い出す前に読み終えた。名門女子校での連続殺人と某国での革命事件が絡み合う。解説者も言うようにサスペンス小説に近い。ポアロの登場は少しだけ。今回シスターフッドの要素が多いことに気づき新鮮。

  • アガサ・クリスティの小説の中でも異質な女学校が舞台となった作品です。さらに謀略のにおいが冒頭からしています。職員も含めて女しかいない学校、しかもそこで次々と起こる殺人事件の背後には、どうやら某中東国の財宝がからんでいるのではないか、ということで、この設定だけで十分読むのにそそられました。本書は登場人物もなかなか個性的でいいです。先生陣、生徒たち、そして母親と基本的に女性しか登場しませんが(ポワロもかなり後半での登場)、それぞれが全然違う個性を持っているので、頭の中で整理しやすかったです。あいかわらず難しい犯人探しやその動機など、アガサ・クリスティの切れ味鋭い筋書き作りは健在です。連続殺人事件が起こるにもかかわらず、かわいらしい女学生の活躍や謀略サスペンス的な要素が、本書をなんだか爽やかな物語にも仕立て上げています。凄惨で陰鬱な推理小説に飽きた方、そういうのが嫌いな方はぜひ本書を読んでみてください。

  • ポアロシリーズはあと6冊。革命で身の危険を感じた中東ラマット王子は家宝の宝石を友人に託したが、飛行機事故で友人とともに死亡。宝石の行方は?そして話は一変する。イギリスの名門女子高メドウバンク校で、新任教師が何者かに殺害される。さらに、中東の王女が誘拐事件、第二の殺人まで起きる。1人の女子学生が宝石を発見し、ポアロに助けを求め一時避難する。殺人と宝石、登場人物の教師たちが癖ある人物で犯人を絞れない・・・色々調査したポアロが最後にはすべて解決した。ただ、この表紙絵は何だったんだ?今回も犯人予想、完敗。⑤

    • アールグレイさん
      ポプラさん(--;) ウ~
      文章が~どしたの?編集したら?
      ポプラさん(--;) ウ~
      文章が~どしたの?編集したら?
      2023/04/14
    • ポプラ並木さん
      アールグレイさん、こんにちは。絵文字1文字(宝石マーク)入れたらそれ以降は消えていました。。。びっくり。教えていただきありがとう!
      アールグレイさん、こんにちは。絵文字1文字(宝石マーク)入れたらそれ以降は消えていました。。。びっくり。教えていただきありがとう!
      2023/04/14
  • 国外に持ち出された宝石と、メドウバンク校の殺人事件。
    どの事象が宝石に関係するのか?
    誰がどう絡んでるのか?
    ポアロはいつ来るのか?
    と言う部分を気にしながら読んでました。

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