終わりなき道 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 24-7)

  • 早川書房
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151767074

感想・レビュー・書評

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  • ジョン・ハート『終わりなき道 上』ハヤカワ文庫。

    なかなかハードな内容の警察小説。上巻を読み終えたが、結末は全く予想出来ない。少しずつ明らかになる真実……いずれも驚愕の真実ばかりで、読んでいて無意識のうちに眉間に皺が寄っているのが分かる。予想も出来ない展開は非常に面白いのだが、主人公を始めとする登場人物の境遇が余りにも悲惨で、陰鬱な気持ちになっていく。

    少女監禁犯に18発もの銃弾を浴びせ、拷問の挙げ句に殺害した女性刑事のエリザベス・フランシス・ブラックは激しい批判にさらされ、四面楚歌の状態にあった。同じ頃、エリザベスが尊敬していた元警察官のエイドリアン・ウォールが13年間の収監を経て仮釈放される。エイドリアンの犯した罪は殺人だった……

  • 「キングの死」と同じ作者だったので。

    女性殺害の罪で服役していた男性元警察官が
    仮出所すると、再び女性が殺害される。
    元同僚の女性警察官は彼の無実を信じようとするが、
    自分も少女監禁犯を射殺したことを問題視されていた。
    監禁された少女、殺害された女性の息子の
    二人の被害者も彼女を信じようとしてた…。

    今までの男性の主人公は、
    問題と向き合わないことにいらいらするぐらいだったのに、
    女性が主人公だと前向き過ぎて、
    はらはらするのはどういうことなのか。
    過酷な過去に心が痛むのもあって、
    最初ちょっと読み進め難かった。

    (下巻へ)

  • >父になんとかしてほしかったし、わたしはなにも悪くないと言ってほしかった。要するに、ハリソンに自分のした罪を償わせてほしかったのよ
    >わたしは正義を望んだのに、父が望んだのは大いなる救いだったの

  • 図書館で借りた本。
    美しき刑事エリザベスは、少女が監禁されている現場を発見したが、単独で乗り込む。その後、監禁犯らしき男二人の射殺死体とともに、エリザベスと一人の少女が救出された。
    正当防衛でやむなく射殺したとエリザベスは語るが、それにしても状況がおかしい。拷問後に射殺を疑われたエリザベス。時を同じくして、13年前に女性を殺害したとして服役していたエイドリアンが出所してきたその直後、エイドリアンの過去の事件と同じ状況、同じ場所で女性の死体が見つかる。

  • 女性刑事が車でさまようところから始まる。
    同じころ、犯罪被害者の少年が釈放された犯人への復讐を計画。その犯人は、元刑事で、刑務所で所長や刑務官から攻め抜かれる。

    荒んでいく町を背景に、何かに捕らわれた者たちの執念が描かれる。

    舞台は出来上がった。下巻での展開を期待する。

  • 刑事のエリザベスは、少女監禁犯を拷問の上で射殺したとして、激しい批判にさらされていた。州警察が内部調査に乗り出すが、彼女には真実を明かせない理由があった。同じ頃、元警官のエイドリアンが刑務所から仮釈放された。ある女を殺した罪をみずから認め、服役していたのだ。しかし同僚だったエリザベスは尊敬する彼の潔白を信じていた。エイドリアンは嘘の証言をしたのか?刑務所の外には、彼を待ち受ける銃口が…。

    誰もが不幸になっていく救いのない展開。下巻に続く。

  • まだ上巻なので、事件の全貌は見えてこない。
    主人公のエリザベスは、少女を監禁してレイプしていた犯人を撃ち殺したことで住民から激しい批判を浴びている。
    正当防衛というよりむごい、過剰防衛ということもあるが、エリザベスが白人で、犯人たちが黒人だからという、選挙を控えた町では政治的な意味あいも強い。

    しかし内部調査をする州の特別捜査官たちに、とことん非協力的なエリザベス。
    停職中だというのに、上司がとめても現場には行く、関係者には会う、呼び出しには応じない。
    この辺の頑なさは、アメリカの捜査機関で働く人には当たり前なのだろうか。
    ケイ・スカーペッタもこの間読んだ本で似たようなことをしていたな。

    エリザベスが尊敬する先輩、エイドリアンは仮釈放をされた。
    街の英雄であった腕利きの刑事から、全ての人から忌み嫌われる殺人者として扱われるエイドリアンを、エリザベスは信じていた。
    不思議なのは、それまで仲間だった警察の人たちが、揃いも揃ってエイドリアンを唾棄すべき犯罪者のように扱っていること。
    「彼はそんな人間じゃない」と言ってくれる人がエリザベスしかいない。

    母をエイドリアンに殺されたと恨んでいる少年ギデオン。
    ギデオンの母の死体発見者であり、彼の保護者代わりに振る舞うエリザベス。

    この辺の関係も複雑。
    エリザベスは監禁事件の被害少女であるチャニングに対しても、ギデオンに対しても、世間を敵に回して保護をする。
    これがわからない。
    彼女はただの刑事だ。
    けれど、自分の人生をかけて、弱いもの、虐げられた者を守ろうとする。
    そして全てから頑なに孤立していくエリザベス。
    ひとりでは、世界を相手に戦えない。なのに戦うことを止めないエリザベス。
    痛々しいが、イライラもする。

    そしてその原因は、どうも父親との不仲に関係があるらしいということが徐々にわかってくる。
    やっぱりジョン・ハート。
    家族の話だったか。

    というところで、下巻に続く。

  • ちょっと好みに合わなかった感じ。

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著者プロフィール

1965年、ノース・カロライナ州生まれ。ミステリ界の「新帝王」と呼ばれる。2006年に北米最高のミステリ賞であるアメリカ探偵作家クラブ(エドガー)賞最優秀新人賞候補作『キングの死』で華々しくデビュー。その後、2007年発表の第二長篇『川は静かに流れ』で、同賞の最優秀長篇賞に輝いた。2009年の第三長篇『ラスト・チャイルド』は、エドガー賞最優秀長篇賞および英国推理作家協会(CWA)賞最優秀スリラー賞をダブル受賞。エドガー賞最優秀長篇賞を二年連続で受賞した唯一の作家となる
『終わりなき道 下 ハヤカワ・ミステリ文庫』より

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