契約〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ケ 6-3)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151788536

感想・レビュー・書評

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  • 面白すぎる

  • あまりあらすじにはそそられないけど、シリーズの2作目だから読んだ。だけど、面白い。下巻へ

  • 「ラーシュ・ケプレル」の長篇ミステリー(サスペンス?)作品『契約(原題:Paganinikontraktet)』を読みました。

    「ラーシュ・ケプレル」作品は、5月に読んだ『催眠』以来です。
    相変わらずスウェーデンのミステリ作家に夢中です。

    -----story-------------
    〈上〉
    ストックホルム沖を漂流するクルーザーから若い女の死体が発見された。
    着衣は乾いていたにもかかわらず、何故か死因は水死。
    同じ頃、武器輸出を監督する政府長官「パルムクローナ」が不可解な自殺を遂げる。
    無関係に思えた2つの事件は、かの天才音楽家「パガニーニ」にからむ、国際規模の陰謀で結ばれていた! 
    「ラッセ・ハルストレム監督」による映画化が決定した大ヒット作『催眠』に続く、スケール&疾走感倍増のシリーズ第2弾

    〈下〉
    期せずして陰謀の証拠を手にしていた平和活動家「ペネロペ」は、暗殺者に狙われ決死の逃亡を図る。
    一方「リンナ警部」は、多くの関係者の死に、国際関係を揺るがす「パガニーニ契約」が関わっていることを突き止める。
    「その人物にとって最悪の悪夢」を担保に最高の報酬を約束するこの契約は、今や「パルムクローナ長官」の後任者を巻き込もうとしていた―。
    スリルと美麗な描写が融合した、スウェーデン小説の常識を破るサスペンス。
    -----------------------

    デビュー作の『催眠』が面白かったので、、、

    2010年に発表された「ラーシュ・ケプレル」(「アレクサンデル・アンドリル」と「アレクサンドラ・コエーリョ・アンドリル」夫妻の共有筆名)の「ヨーナ・リンナ」シリーズ第2作にあたる本書を買ってしまいました。

    相変わらず、独特の臨場感やスピード感があり、ハリウッド映画を観ているような感じ、、、

    謎が解けたら、また次の謎が提示されて… という予測不可能な展開で、ずっと緊張感を保ちながら読めましたね。

    上下巻で約900ページという長篇作品ですが、クライマックスの海上(豪華クルーザー)での銃撃シーンまで、飽きずに物語に引き込まれっぱなしの展開でした。

    これまた相変わらずの、残虐な殺害シーンだけは慣れることができませんが… 殺害シーンは、想像力を封印して読んでいます。


    平和活動家の「ペネロペ・フェルナンデス」は、ボーイフレンドの「ビヨルン・アルムスコーグ」と二人で週末のクルージングを楽しむ予定だったが、クルージングに「ペネロペ」の妹「ビオラ」が急遽参加することになり、三人でストックホルム沖に… 「ペネロペ」と「ビヨルン」がカストシュール島に上陸している間にクルーザーで眠っていた「ビオラ」が何者かに殺され、「ペネロペ」と「ビヨルン」も追われることに、、、

    ○「ビオラ」は着衣は乾いていたにも関わらず水死の状態でベッドに…

    ○クルーザーにはエンジンが爆発する仕掛けが… 「ビオラ」を事故による水死と見せかけるためのトリック?

    ○狙われていたのは「ペネロペ」と「ビヨルン」で「ビオラ」は「ペネロペ」と間違えられた!?

    ○戦略製品査察庁長官「カール・パルムクローナ」が首つり自殺!

    ○17歳の少年「ステファン・ベリクヴィスト」がプレハブ小屋で放火により殺される!

    ○「ペネロペ」の部屋を捜査しようとしていた「ヨーナ」が部屋に潜んでいた何者かに襲われる!

    ○「ペネロペ」の部屋の居間のガラス戸に貼ってあったはずの1枚の写真が事件のきっかけに?

    ○「ビヨルン」が、その写真のことで「パルムクローナ」を脅迫?

    ○写真には4人の人物(「パルムクローナ」と軍需品製造会社の社長「ポントゥス・サルマン」、武器商人「ラファエル・グイディ」、スーダン大統領の軍事顧問「アガテ・アル=ハジ」)が?4人の会合が意味するものは?
     
    ○「ビヨルン」は逃げきれず謎の男に殺される!

    ○「ペネロペ」はヘリコプターで救出されたと思われたが、ヘリの操縦士が狙撃されヘリが墜落!

    ○「ステファン・ベリクヴィスト」は「パルムクローナ」の息子だったことが判明!

    ○写真のバックに写っていた演奏家と演奏していた曲から撮影された場所と日時が判明!

    ○写真は武器密輸に関する世界的な謀略事件を暴く可能性のある証拠だった!

    ○「ペネロペ」は「ヨーナ」たちに保護されるが、暗殺者は「ペネロペ」を狙撃しようとする!

    ○何とか狙撃を防いだが、暗殺者を捕らえることができず… 暗殺者はドイツ大使館へ逃亡!

    ○ドイツ大使館では、銃撃戦となり手榴弾等での爆破により大使館は火災に見舞われる!

    ○その隙に乗じて暗殺者は逃亡するが、「ペネロペ」がそれに気付き、単独で暗殺者を追う!

    ○「ペネロペ」は暗殺者を殺害しようとするが、反抗に遭い…

    ○軍需品製造会社の社長「ポントゥス・サルマン」は自殺を計画するが断念… その後、妻と姉と伴に殺害!

    ○「パルムクローナ」の後任「アクセル・リーセン」が武器商人「ラファエル・グイディ」により誘拐!

    ○「アクセル」を救出すべく、「ラファエル」の豪華クルーザーに乗り込んだ「ヨーナ」の運命は!?

    と怒涛の展開を愉しめましたね。


    全く別々と思われる事件の関係性が、地味な刑事たちの地道な捜査の中で徐々に明らかになる… そして、それらの事件が世界的謀略へつながり、謎の連鎖と派手なアクションで飽きさせずに一気に読ませる展開は、映画化を意識しているような感じがしますね。

    それもハリウッド映画を意識したような派手なアクションだよなぁ。


    プロの殺し屋の活躍も凄い… 『レオン』みたいな活躍ぶりでしたね。


    前作ではスウェーデンでの「ポケモン」人気に驚かされましたが、、、

    今回は「ハローキティ」が登場したり、自宅で寿司を握るシーンが出てきたり、自宅でWiiを楽しんでいるシーンが出てきたり… と前作以上にMade In Japanが数々登場… 驚きました。


    「ニコロ・パガニーニ」のバイオリン演奏を聴いて(観て)みたくなりましたね。



    以下、主な登場人物です。


    「ペネロペ・フェルナンデス」
     平和活動家

    「ビオラ」
     ペネロペの妹

    「クラウディア」
     ペネロペの母親

    「ビヨルン・アルムスコーグ」
     ペネロペのボーイフレンド

    「ポントゥス・サルマン」
     軍需品製造会社の社長

    「カール・パルムクローナ」
     戦略製品査察庁の長官

    「アクセル・リーセン」
     国連軍縮局の特別顧問

    「ロベルト」
     アクセルの弟。バイオリン職人、演奏家

    「ビヴァリー・アンデション」
     アクセル宅に下宿する少女

    「ステファン・ベリクヴェスト」
     高校生

    「ヨン・ベングトソン」
     スウェーデン国家警察の巡査

    「カルロス・エリアソン」
     スウェーデン国家警察の長官

    「ペッテル・ネースルンド」
     スウェーデン国家警察の主任警部

    「トミー・クフード」
     殺人捜査特別班メンバー。鑑識担当

    「ナータン・ポロック」
     殺人捜査特別班メンバー

    「エリック・エリクソン」
     殺人捜査特別班メンバー

    「ニルス・オレン(ノーレン)」
     法医学局の主任法医学者

    「サーガ・パウエル」
     公安警察の警部

    「ラファエル・グイディ」
     イタリア人の武器商人

    「アガテ・アル=ハジ」
     スーダン大統領の軍事顧問

    「ヨーナ・リンナ」
     スウェーデン国家警察の警部

  •  スウェーデン国家警察ヨーナ・リンナ警部ものの2作目。武器輸出をめぐる汚職事件にからんで、一枚の証拠写真をめぐってプロの殺し屋との暗闘が繰り広げられる。プロットは現代的で息詰まる逃避行とか、派手な銃撃戦とかアクションシーンもたっぷりなのだが、個々のエピソードが織りなされているだけで、どこか一本幹になるべき本線がいまひとつ見えてこない。それこそがヨーナ・リンナの存在であるべきなのだが、これが前作同様、ひょうひょうとして線が細いというか影が薄いんだな。物語を牽引する強烈な存在感というものに欠ける。人間的に魅力がないわけではなくいい人なんだけど、型破りで人間臭く強硬でありながら弱みも見せるという、他のアウトロー警部ものに比べると、お上品にみえてしまう。それが彼の個性というものであり、逆に固定観念化されてしまっているこちらの頭の固さが問題なのだといえばそれまでなのだが。

  • なんだかなあ…。
    確かに描写は美しい。音楽をめぐる小技などみごと。
    けど、求めてるのはそれじゃない感が。

    相変わらず無駄にエログロだし(特にエロ。2時間ドラマに必ず1回挟まれるやつみたい。必然性ゼロだし、透けて見える作者のノルマ感が古くてダサい)。
    主人公はロボットみたいでかわいげないし。まだ2作めでろくな語りもないのに、何やらご大層なトラウマの匂わせだけやられても(刑事ファビアン・リスクのシリーズを思い出した。あれもひどかった)。
    脇キャラも無能、マッチョ、男尊女卑とろくでなしばかりだし(そもそも、2010年代のスウェーデン・ミステリとしてはありえないくらい女性の顕職者が少ない。「それが現実」なのかもしれないけど、フィクションでまでそんなの見たくない)。
    下手すりゃ日本語版2ページで終わる超細切れの章立て、そこにいちいち付けられた章題(てか小見出し)もなんだか素人くさい。
    うーん…次はどうするかなー。

    2022/2/5読了

  • 2015 10 1

  • スウェーデン国家警察ヨーナ・リンナ警部シリーズ第二弾。平和活動家の女性がクルージング中に命を狙われ、一緒に船に乗っていた妹が間違われて殺される。同じ頃別の場所で武器輸出担当の政府の長官の死体が発見される。二つの事件は繋がっていることが明らかになっていく。一枚の写真が鍵となりヨーナ警部が解明していく様子はお見事である。公安警察と国家警察が協力して捜査を進め、ヨーナ警部が認められていく様子もよかった。しかし、パガニーニにからむ音楽的要素を強く推しているが、全然なくてもいいし関係づける必要もなかったのではないかと思った。

  •  二作目も面白い!
     前作よりも規模が大きくなった。
     そしてやっぱりヨーナが魅力的。

  • かゆいところに手が届かない。
    だからそこじゃないってば!と言いたくなる感じ。

    前作よりはましだとしても、
    主人公の内面や過去や経歴が描かれていないところや、
    プロの暗殺者がただひたすら神出鬼没なだけで、
    そのプロフィールも視点も一切出てこないところ、
    国家警察特別作戦班の新人の登場と退場が中途半端なところと、まあ、いろいろ。

    まあ、誰が主人公か悩まされる前作に較べれば、
    だいぶ面白いが。

    (下巻に続く)

  • もう!彼氏お金持ちなの?貧乏なの?ハッキリしてよ!!と言いたくなりますが、やっぱりテンポがいいです。なんだなんだ~?と訳のわからないうちにあれよあれよと事件が起こり、ヨーナ登場。結構厚めの上下巻でしたが、むしろどんとこい!と思えるほど好みの話でした。

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著者プロフィール

ラーシュ・ケプレル
アレクサンドラ・コエーリョ・アンドリルとアレクサンデル・アンドリルの作家夫婦が共作するときのペンネーム。国際的なベストセラーとなったヨーナ・リンナシリーズは、40以上の言語に翻訳され、1500万部以上も売れている。アンドリル夫妻は、ラーシュ・ケプレルのペンネームで執筆する以前も、それぞれが単独で書いた作品が出版され高い評価を受けている。3人の娘とスウェーデンのストックホルムに在住。

〈扶桑社ミステリーのラーシュ・ケプレル作品〉
『砂男』上下
『つけ狙う者』上下
『ウサギ狩り人』上下
『墓から蘇った男』上下

「2023年 『鏡の男 (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ラーシュ・ケプレルの作品

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