冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ミステリ文庫 テ 14-2)

  • 早川書房
3.79
  • (8)
  • (18)
  • (10)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 124
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (591ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151797026

作品紹介・あらすじ

エーランド島の岬の古い屋敷に移り住んだ一家を不幸が襲う。そして、屋敷にも異変が起きて……三冠に輝いた北欧ミステリの傑作!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 面白い。でも、600ページ近い作品は初老には読了に時間がかかりすぎて。もっと早く読めたら、さらに面白さは増幅したのかもしれません。ただ、やっぱり私は海外ミステリーは苦手かもしれません。

  • いいんだが長い

  • なんとも、地っ味ぃ~な話(笑)
    もちろん誉め言葉。それも最大限!

    北欧ミステリーは前に何冊か読んだけど、どれもイマイチで。
    読んでる時はそこそこ面白いんだけど、読み終わった途端「あぁー、つまんなかった」と、なぜか口から出ちゃう昨今のハリウッド映画みたいだなーと、すっかり敬遠していたのだが、これは逆転満塁ホームランだった。
    とにかく地っ味ぃ~に、少しずつ少しずつ話が進んでいくところがよかったんだろうなぁー。
    最期の「なんだよ、それ?」的な明後日の方から飛んでくるような変化球が全然気にならないくらい、というより世の中の事件なんてまぁそんなもんだよなぁーと思えるのは、やっぱり地味なストーリーの一つ一つが少しずつ少しずつ積み重なった展開なればこそなんだろう。

    話の舞台であるウナギ岬の屋敷を買ったヨアキム、コソ泥のヘンリク、警察官のティルダと大叔父のイェルロフと、もはや誰が主人公だかわからない3つのパートがゆっくりゆっくり進みつつ、間にウナギ岬で起こった過去の話が語られていく。
    ヨアキムの奥さんの死体が見つかることで物語が動くかと思いきや、それでもペースは変わらない。
    たぶん、2/3くらいが進んだ辺りだったか?
    ティルダがヨアキムに昔のウナギ岬を知るイェルロフを紹介し、ヘンリクとコソ泥仲間の関係が不穏さを見せた辺りから、話は少しずつ加速していく(むしろ、そこから先の方が長く感じるのは面白いところw)。
    「過雪」という暴風雪がやってくる気配漂う中、ティルダはヘンリクたちコソ泥の手がかりをつかみ、イェルロフはヨアキムの奥さんの死の真相を推理、ヘンリクとコソ泥仲間は決裂。
    一方、ウナギ岬の家で不可思議なことを体験していたヨアキムは、そこである物とあることを見つけたことで、かつて起こった姉の死に疑問を抱くようになる。
    ついにやってきた「過雪」。3つのパートがウナギ岬に集まって……
    大体こんな感じか?
    書ききれなかったが、それぞれのパートに大なり小なり怪談めいた出来事が絡んでくるのが面白いところ。
    その怪談めいた出来事が話を展開させ、登場人物に真相を気づかせていく、その辺りのさじ加減は絶妙。
    でもって、その怪談の怪談っぽさのさじ加減がまたいいんだよなぁー。
    どこぞの国のミステリー小説に出てくる「怪談」、または「実話怪談」と称する作り話のような、オドロオドロ話じゃないところが。
    怖がらせるための作為がないから、ソレはさり気ないんだけど、そのさり気なさゆえソレの冷たさが伝わってくる…、みたいなところがある。

    難を言えば、その「過雪」の極寒っぷりがイマイチ伝わってこなかったかなぁ…。
    登場人物たちがそれほど防寒着を着ている風でもないのに、何だかずいぶん長い時間外にいたように感じた。
    あと、「ウナギ岬」と「過雪」は、現地の通称にした方がよかった気がする。日本語にしたことで、逆にイメージしずらい(違うイメージになっちゃう?)気がした。

    (日本人からみて)不思議だったのは、ヨアキム夫妻とミカエル夫妻が親しい友人であること。
    スウェーデン=超福祉国家くらいで、経済事情とか市民の暮らしとかはよくわからない。
    でも、夫妻とも教師であるヨアキム一家と別荘とモータークルーザーを所有するミカエル夫妻って、日本でいえば地方公務員(学校の先生)とそれなりの会社経営者となると思うのだが、その二つが家族ぐるみで親しく付きあっているって、日本だと普通ないけどなぁ…。
    それが、いわゆる北欧の高福祉高税金で成り立つのなら、日本人もいろいろ考えた方がいいと思うんだけど…。
    ただまぁ日本は税金ガッポリ取ったら、取っただけガッポリ使っちゃう(ていうか、ぽっぽしちゃう?w)国だから、まずそこを変えないと無理だろうな(爆)

  • 文庫落ちにて再読。
    何回も読めそうなくらい好みの描写。

  • ・あらすじ
    エーランド島シリーズ2作目。
    エーランド島東北部、ウナギ岬にある19世紀に建てられた灯台守の屋敷が舞台。
    屋敷に越してきたヴェスティン一家に起こった事件とそこで暮らしてきた人々の歴史、幽霊話と追悼と思い出話が本筋。
    そこに空き巣三人組とエーランド島に赴任してきた新人女性警官の3組のエピソードが交錯し後半で収束していく。

    ・感想
    ミステリー要素はメインではなく、厳しい環境の中人々の営みを支え続けてきた屋敷とその土地で過去生きていた人々、そして現在生きている人々の苦悩や自然への畏怖が描かれてた。
    屋敷に刻まれた悲しみの記憶とそこに生きていた人々に想いを馳せ、そして連綿と続き交差してきた様々なものの途中に自分はいっときぽつんと立っているんだな、とふと考える。

    基本的には諸行無常盛者必衰の精神で生きてるけど、だからといって人々の歴史、大切にしてきたものを軽んじることは違うし、その塩梅やせめぎあいってどこでも難しいねと思った。

  • スウェーデン、エーランド島にある双子の灯台を望む古い屋敷に越してきた家族に訪れた悲劇。前作「黄昏に眠る秋」同様、ゆっくりと人間関係が剥がされてゆく。過去と現在を往復しながら、ブリザードの雪や暗い海に世界に引き摺り込まれるような錯覚を覚える。
    前作に続き、老人イェロホフも登場し、ほっとさせられる。

  • とにかく暑いこの夏に吹き荒ぶ雪嵐(作中では渦雪)の読書体験は贅沢でした。今この本選んで正解。

    というのはさて置き。語り口はあくまでもゆっったりしている(なにしろ探偵イェルロフは81歳のリウマチのおじいさんなので)ものの、視点は頻繁に入れ替わることで被害者である家族の歴史、そして犯罪現場であるウナギ岬の歴史が幾重にも積み重ねられていく様は、まさに練達の技です。マンケル、シューヴァル・ヴァールー等と共に北欧ミステリの1つの到達点といえるのではないでしょうか。本シリーズがあと2冊しか読めないなんて、なんと残念なことか。

  •  秋編に続く第二作。舞台は同じエーランド島。北欧の暗く厳しい冬、岬に立つ一軒家に古くから住みなした人々が命を落とした悲しい物語。それら死者の魂がクリスマスの夕べにもどってくる。そこに移住した若夫婦を襲う現代の悲劇。なんていうかまさに北欧的な陰鬱な物語だ。次々に起こる怪奇現象はミステリというよりホラー映画を見ているよう。前作のメインキャラクターである施設に住むイェルロフ老が関係者のひとりとして登場して、過去を説き起こし、現代の謎を解く。犯人の意外性はともかく動機や方法にかなり無理があり、ミステリとしては不満が残るが、そもそもこの一連のエーランドサーガはひとつひとつの事件よりも大きな北欧風土や歴史のなかの人々の営みを描き出すことの方が主眼なのだろう。

  • ストックホルムから島に移住してきた一家。
    越して間もない頃、妻が海で溺れて発見される。
    殺されたのか?事故なのか?

    同じ頃、島に来た警察官。警察官の大叔父がその謎を解く。

    #幽霊現象

全10件中 1 - 10件を表示

ヨハン・テオリンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×