- Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152020598
作品紹介・あらすじ
2008年、国際天文学連合の特別会報「太陽内反応についての若干の覚え書」が、地球上のすべての政府に手渡された。故意に地味な表題を付されたその会報の内容は恐るべきものであった。今から千年後には、太陽が爆発し、地球はもちろんのこと太陽系の壊滅は避けられないというのだ。この発見は、地球人たちを恒性間宇宙船の開発に駆りたてた。そのうちの1隻、2751年に発進した自動播種船は、3109年に表面のほとんどが海に覆われ、陸地としては三つの島があるだけの惑星サラッサに到着した。ここで誕生し、ロボットに育てられた人々は、700年の歳月をかけて、平和で理想的な社会を築きあげた。巨匠クラークが30年近くの構想の末、人類の未来と理想を高らかに謳いあげる最新長篇。
感想・レビュー・書評
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同じ題名の短編を読んでいた。最初肉付けされた飛来した宇宙船やその乗組員、サラッサの様子など、長編になった面白さを感じたが、読み進むと冗長な感じがして飛ばし読みしてしまった。短編の方が残された植民星サラッサの余韻が残った。最後に地球と惑星サラッサの年表がついていて物語を理解するのに役だった。
新星爆発によるニュートリノを地下で捉える、という所が出てきて、ああ、これは小柴博士のカミオカンデか、と思い、偶然にも読んでる最中の12日に小柴博士の訃報を聞いた。短編発表は1958年。小柴氏は1987年にカミオカンデで史上初の太陽系外で発生したニュートリノ発見。2002年その業績でノーベル賞。それで、その弟子が今話題の学術会議会長の梶田隆章氏。梶田氏はニュートリノ振動の観測で2015年ノーベル賞。
短編は「天の向こう側」1958発行に所収
1986発表
1982.3.15初版 1982.4.15再版 図書館詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
良かった。「宇宙のランデヴー」というこってりスープを読んだ後だったので、あっさりとゼイ肉をそぎ落としたこの作品はとても良かった。
もちろん、それぞれのイベントは軽いものであり、人物もさらっと描かれているし、ねちねちした愛だのなんだのは無い。もと宇宙空間的な乾燥した感じのストーリーだ。多少なりともねちねちした感じがするのは、得意の宗教に関する下りだけ。
燃え尽きた地球を後にした最後の人類が、新しい地球を探して宇宙空間を飛ぶ。その途中で立ち寄る星にはすでに人類がいて、地球の歴史を繰り返そうとしている(ちょっと誤解しそうな要約だな)ってな感じだが、とにかくさらっと進む。星での知的生命体の存在もいい味で、うん、クラークの色だなぁ。三回ほど書き直しただけ有るわ。ま、ストーリーとしては面白いとは思えないのだが、時間と人類というテーマが(まさに表題が)語られる最後の数ページが感動的。