ミステリオーソ: PlaysTheloniousMonk 映画とジャズと小説と
- 早川書房 (1995年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152079282
感想・レビュー・書評
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寡作のハードボイルド作家の原尞が、映画、ジャズ、小説などについて、自分の若い頃の人生を絡めて、自由に語っている。俳優ではハンフリー・ボガード、ジャン・ギャバン、アラン・ドロンなどについて、ジャズは自分がフリージャズプレーヤーだった頃の話にパド・パウエル、セロニアス・モンク、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーンなどの話、小説についてはドストエフスキー、ニーチェ、山本周五郎などについてや自分の小説の流儀など、多岐に渡って述べている。いろいろ難しいことも語っているけど、気楽に読ませてもらった。レイモンド・チャンドラーの「大いなる眠り」の中で、探偵マーロウが「背が高いのね」と横柄な態度で声を掛けられた場面を取り上げ、現実だとにやにやするか腹を立てるかぐらいだが、そんなふうに書くとハードボイルド小説では失格で、小説では「僕のせいじゃない」という洒落た切り返しだったという。これを読んで、なるほどハードボイルドとはそういうものなんだと合点した。
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#3355ー178
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原尞 「ミステリオーソ 」
著者が偏愛するものを語ったエッセイ。沢崎探偵シリーズのスピンオフ短編小説(元相棒の渡辺が主人公)のおまけ付き。
この本の語り口は ヤサグレ感と賢さがあって、沢崎が話している気がする。
著者の偏愛したもののうち、聴きたい、見たい、読みたいもの
*ジャズ「マネージャングル」「ラウンドアバウトミッドナイト」
*モーツァルト「アイネクライネナハトムジーク」
*黒澤明「用心棒」ハンフリーボガード「カサブランカ」
*レイモンドチャンドラー「長いお別れ」 山本周五郎「短編」
*結城昌治「暗い落日」
「ハードボイルド探偵小説こそ 自分が書きたい小説」
*ハードボイルドの理想は チャンドラー
*ハードボイルドは 小娘の言葉、警察の圧力、女性の情熱、自分の孤独 いずれにも 同じように最上の対応をする
*一人称一視点によるストーリー展開〜推理小説の面白さは 作中人物と一緒に事件を解決する過程にある
「読書は〜読んだことを忘れている本に 案外 影響を受けている」
「老いてみなければ見えてこないものが、ものごとの表面の下にあるはず」
「言いたいことが解っているなら、この言論の時代〜口頭で述べたらいい〜書くことによって初めて自分が何を書きたいか解るような〜そういうものを見出すために文章を書く」 -
ジャズピアニストから直木賞作家になるなんて、かっこよすぎる。超寡作なところも、なんともハードボイルド。
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筆者の読書量に脱帽。ジャズがらみの話はなかなか。映画関係はちょっと専門過ぎる。