チョーク! (ハヤカワ・ノヴェルズ)

  • 早川書房
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本棚登録 : 119
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152085498

感想・レビュー・書評

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  • 本作はいかにもパラニュークらしく、同じ時代感覚を共有する読者に向けて刺激的なメッセージを発信する作品、らしいです…

    パズルのピースを豪快に広げ、あちこちのページに散らばったピースを拾い集めて少しずつ完成図を見せていくような作風を楽しんでもらいたい作品、らしいです…

    ごめんなさい!m(_ _;)m

    今回はチャック・パラニュークの世界に浸れなかったです…

    ちなみに、本作は型破りで切ない、愛と友情とセックスと親子の物語です

  • チャック・パラニュークの著作はいつも、現実がまるで悪夢のようなグロテスクな形で表されている。いつだって僕も貴方もみんな狂ってるんだよ、という

    主人公はセックス中毒、カウンセリング通っているけど周りの誘惑に負けちゃうし、母はもう頭が狂ってるしで医療費もかかるし、どうしたら良いのかわからんし、そのうち主人公はある演技で金を稼ぐことを思い出して、、ということは本のカバーにも書かれてる。

    これを読む前に映画のファイトクラブを見たけど、これは時間の無駄なんだよ、こんなんで時間潰してどうするの?という、ポルノ見てどうするの?虚しくない?みたいな著者のメッセージが響く。そんな無駄な時間を過ごす私って、、でも面白い。
    本の時間軸も巧妙に崩されていて、いつのまにか最後には騙されてる。薬にはならない、毒ばかりの物語だけど、グロテスクの中にある美しさってあるかも、いや無いか。

  • セックスより気持ちいいことなんてこの世にあるかい?

    ダヴィンチの本紹介で見た上記の一文に惹かれて手にしてみた一冊。
    セックス中毒の主人公はカウンセリング集会に通ってる。
    カウンセリング集会には同じようなセックス中毒者が集まってるから
    当然、主人公はそこで不特定多数の女とやる。
    主人公の母親はあたまがいっちゃって精神病院。
    月に3000ドルの費用がかかるので
    主人公はレストランでわざと食事を喉に詰まらせては
    誰かに助けてもらい誕生日(嘘の日付)に小切手を受け取る。
    主人公の友達は自慰中毒だけど
    そこから復帰するために
    何かを積み重ねたいと願い
    毎日毎日、ひたすら石を集める。
    そんな病的な人々がおりなす物語。
    みんな病的だけど、特殊じゃない。
    少なくとも僕はこの本の登場人物に
    共感を感じる部分が多々あった。
    自分が誰かのか知りたいし
    人から必要とされたい。
    と同時に普通にしていては生きている実感を味わえない。
    セックスしてる時は生きてる実感がある。
    不器用で悲しいところがすごくよい。
    頭がいっちゃってる母親が話してる内容がすごくて
    核心を突くような鋭いセリフを連発してるんだけど
    普通の人から見るとそういう人たちの言動がいかに浮いてるか
    そういうのもすごく分かって面白い。
    言葉によって僕たちは現実の世界でなくシンボルの世界に生きてるとか
    残されたフロンティアは実体のない思想・物語・音楽芸術の世界だけだとか
    人はいつか死ぬだとか
    そういう一つ一つの言葉が僕にはすごく共感できた。
    物語の進め方もうまい。
    時系列をバラバラに並べてあって
    最初は断片だけなので「?」って感じなんだけど
    読み進めるうちにそれらが組み合わさって全体像が見えてくる。
    しかも、話にフックがあって二転三転するから飽きない。
    読んでいて吐きそうな気分になったり泣きそうな気分になったり
    最近この感じをどこかで味わったなぁと思ってたら
    ちょっと前に読んだ
    「僕のなかの壊れていない部分  白石一文:著」
    と近いような気がしたんだね。
    現代的な自己喪失と自己探索の物語。
    かなりお薦めです。
    表紙がエロいので電車で読むと
    回りからじろじろ見られるので要注意です(笑)。
    作者プロフィールを見て分かったんだけど
    ファイト・クラブの原作者らしいので
    ファイト・クラブも見てみたいなと思いました。

  •  早川書房のセールでチャック・パラニューク作品も安くなっていたので読んだ。前から読みたかったけどプレ値で読めなかったところ、いつのまにか電子書籍化されていて大変ありがたい…それはさておき本作もめっちゃチャック・パラニュークな作品でオモシロかった。読み進めるの大変なところもありつつ彼ならではの現代への考察が含まれていて興味深い。元は2001年のリリースだけども今でも十分通じるような風刺が多く含まれていた。
     主人公が医学部中退でSEX中毒というなんとも言えない退廃的な設定。彼のアイデンティティの揺らぎを中心に話がひたすら進んでいく。主にはバイト先の話、入院している母親とその病院の話。時系列としては子どもの頃と現在をチャプターごとに交互に語っていくようなスタイルなので最初は混乱しやすい。タイトルにもなっている「チョーク」の設定がとにかくオモシロかった。レストランで食べ物をわざと自分で喉に詰めて周りの客に助けさせる。その客は一躍ヒーローとなり世間から脚光を浴びることになり、承認欲求が満たされたパトロンとして彼に定期的に連絡を取り小切手を送ってくる…この手口をそこかしこで繰り返して金を稼ぐ。こんないじわるなことをよく思いつくなと思う一方で、そのありがた迷惑を含む善意で満たす承認欲求というのは今のSNSにそのまま当てはまる話でもあり、彼の先見の明に脱帽するばかり。(人間が進歩していないのか) 他にもウオッと思ったラインを以下引用。

    *私たちは自分が理解できないものとは共存していかれない。何かを説明できなければ、その何かをただ否定する*

    *私の世代は、私たちはいろんな物事を笑いものにしたけれど、そのことで世界がよりよい方向に動き出してはいない」母は言う。「他の人々が創り出したものを批判するのに忙しくて、私たち自身はごくごくわずかなものしか創り出してこなかった」*

    *僕らはすべてのものにラベルを貼り、説明をつけ、解剖せずにはいられない。それが絶対に説明不可能なものだとしてもだ。たとえ神でもだ。〝無害化された〟はふさわしい言葉ではないが、頭に浮かぶ一つめの言葉だ。*

     代表作のファイト・クラブは資本主義や消費社会に対して挑んだ小説だけど、本著はアイデンティティにフォーカスして、その自己認識はどうなんだ?と繰り返し問う内容だと感じた。チャック・パラニュークは読むのしんどいけど、読後感は彼だからこそというものがあるのでセールで買ったもう一冊も楽しみ。

  • 相変らず壊れっぷりが小気味良い文章。

  • セックス中毒の主人公と病気の厄介な母親。

  • 僕はバスを降りない。セックス中毒者の僕にとって「発射」の瞬間を延ばす以外に考えられることは何もない。

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