- Amazon.co.jp ・本 (534ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152087232
作品紹介・あらすじ
現在、全人類のうち10億人が飢餓・疫病・地理的な孤立のために「貧困の罠」から抜け出せず、1日1ドル未満で生活することを強いられている。そのうち、生きる闘いに破れ、死に追いやられる人は毎日二万人もいる。しかし、人的資源の確保とインフラの整備さえ行なわれれば、自然と促される経済活動によって貧困を過去のものとすることができるのだ。そして、そのために必要な援助額は先進各国のGNPのたかだが1パーセントに満たない。私たちは、人類史上初めて「貧困問題を解決できる可能性を手にした世代」なのである。東欧革命中のポーランド、解体直後のロシアなど、世界各国の歴史的局面で経済政策の顧問を務め、トップの政治家たちに助言を与えてきた国際開発の第一人者が、その豊かな経験を振り返りながら、貧困をなくすための方策を明らかにする力強い希望の書。
感想・レビュー・書評
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著者であるサックスは、途上国の経済成長が遅々としている原因の多様性を示し、先進国ドナーによる従来の援助の量的・質的な不十分さを喝破したうえで、各ドナーが資金援助を増やし「開発の梯子のいちばん下」に足をかける手助けができれば、2025年までに極度の貧困は根絶できると訴える。
本人の回顧録も含まれていたり、経済学的な計算が簡略化されていたりと学術色は薄いが、貧困削減における大きな論争を巻き起こした著書として一読の意義はある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
使命感に駆られる本。実際に政府と経済を動かしてきた人だけに説得力あり。同時にそう簡単に政府に助言できない自分は何をすべきかと途方に暮れもする。
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著者の豊富な経験と経済学の知識が絡み合った開発問題の指南書。貧困問題にかける情熱がひしひしと伝わってくる。先進国は途上国の債務を放棄すべきなど、過激な発言も多い。しかし経済発展のはしごに足をかけさせることが援助の役割であり、そのために先進国は協調してもっと援助額を増やすべきだという意見には納得させられる。
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SDGs|目標1 貧困をなくそう|
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/42849 -
アフリカにもっと支援をして貧困をなくせ、という主張
被支援者一人あたりの支援金額が少ない、というが、被支援者の人口増加率が高い場合、そういう数字の取り方は説得力がないように思う。 -
国際開発分野で働くきっかけとなった本
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世界の経済顧問、ジェフリーサックス教授が贈る、貧困の解決具体策集。中国、インドを含む発展途上国の経済顧問として担当してきた国を経済成長に導いてきた実績と経験から発する具体策はどれも、地に足のついたものだ。それだけに、既得権者は採用しにくいだろうと思われる。
以下注目点
・パナマ運河は、蚊の繁殖地を一掃したことで、工事を完了することができた。
・貧困を決定するのは食料の生産性。家族が増えることで、食い扶持が減るのも同じこと。
・ハイパーインフレはある日突然終わる。ドイツで実例あり。
・ボリビアの再ハイパーインフレを終わらせた外貨備蓄放出に、IMFは文句を付けた。うまくいった作戦に文句を付けるとは、IMFとはどういうところなのか?
・IMFの政策は、民間銀行の思惑次第。
・コカを断ち切るには、コカ栽培の代替の仕事を準備しなければならない。
・人を動かすには、金を見せること。経済の損失、どういう利益が得られるか。
・マラリアとエイズの解決も貧困の解決には必要。
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図書館
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2004年頃に書かれた本で、今年はちょうど道程の半分に当たるということに興味を持ち、手に取った。時間がなく少し駆け足で読んだのと、データは10年前のものなので、せっかくふんだんに引用されている数字はちゃんと吟味しなかったが、説得力のある(少なくとも持たせようと努力している)本だと思う。警告一辺倒でも楽観論でもなく、状況は変えられるという希望を具体的な事例や提案で裏打ちしようという姿勢に共感、。実際に何か行動したい気持ちになった。だが、ミレニアム目標のサイトを見ると、ゴールを来年に控え達成度は低い。現実は厳しい…