開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド)

著者 :
  • 早川書房
3.95
  • (219)
  • (275)
  • (186)
  • (22)
  • (9)
本棚登録 : 1735
感想 : 330
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152092274

作品紹介・あらすじ

18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室から、あるはずのない屍体が発見された。四肢を切断された少年と顔を潰された男性。増える屍体に戸惑うダニエルと弟子たちに、治安判事は捜査協力を要請する。だが背後には、詩人志望の少年の辿った稀覯本をめぐる恐るべき運命が…解剖学が先端科学であると同時に偏見にも晒された時代。そんな時代の落とし子たちがときに可笑しくも哀しい不可能犯罪に挑む。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 私には最初から最後まで何一つ理解できなくてつまらなかった。

  • 事件前と発見後が交互に進むことでどうなっていくのかが気になってページを捲る手が止まらなかった。
    作り込まれた物語は説得力があり、最後にネイサンが実は生きていたとひっくり返されるのも面白かった。
    時代背景も含めて、全てが最後に上手く繋がる完全犯罪だと思う。
    物語の終わり方が余韻を残し、すっきりとはせず心に靄がかかったまま終わる。
    エドとナイジェルの二人がこれからどう生きていくのかが気になる。

  • 初めて読む作者。18世紀のイギリスを舞台にしたミステリ。エンターテイメント。同時に当時の風俗も窺い知ることができる。また登場人物の性格やイマドキの若者のような軽妙な会話のやり取りに親しみやすさを感じ、そのギャップが面白い。
    事件前と後のエピソードが交互に語られるため、核心に迫りそうになるたび、話が切り替わり、著者の意図するところとは分かってはいても焦ったく感じた。
    おすすめされていた理由がわかる!プロフィールを読んで驚きました。1930年生まれ。お書きになった時は?え??しかもこちらは三部作の一作目とのこと。今も作家活動されてるようでさらにびっくりです。残りの二作品も読んでみたい。

  • はじめの方は、複雑な文章に慣れる事が大変だった。しかし、ダニエルと5人の弟子の解剖へ対する考え方や姿勢が素敵だった。

    18世紀のイギリスの最悪な裁判の仕組み、治安の悪さ、ダニエルと5人の弟子と治安判事の信頼性など、様々な人間模様が描写されていて引き込まれた。人を無条件に愛せるのか、塾考した。普段は社会福祉に関わっているので。

  • 初めての作家さん、タイトル借り。口コミ評価が高いのも納得の面白さ…!
    18世紀のロンドンが舞台。行政や裁判所は買収が当たり前で治安は悪く、外科医の地位が低い・解剖学が厭われていた時代。私的解剖教室で外科医とその弟子たちがお墓から死体を掘り起こして解剖に励んでいたが、警察がきてとっさに秘密のスペースに隠す。隠した死体を取り出そうとしたら、なぜかそこには見知らぬ死体が2体。引き返してきた警察に合計3体の死体があるとばれたが、なぜだか誰もわからない…。というのがあらすじ。

    前半は説明が多くあんまり気分が乗らないけど、中盤からはぐいぐい引き込まれた。毎日家に帰って続きを読むのが楽しみな本だった。何となく展開がわかってきたかと思いきや、どんでん返しで着地。頭がよすぎる…(でもよく考えれば伏線はある)

    ミステリとして面白いだけじゃなく、ラストがめちゃくちゃ切なくて、人生とは…と思わざるを得ない。キャラの人格が深く描かれているのは、皆言っているとおり作者が80歳で書いたものだからかも。

    あと、この物語の主人公が誰かを、私は読み終わって「三部作」だと知ったときに気づいた。そんなことある?って自分でも思うけど、何も知らずに読んだらそうなるはず。主人公を理解した上でお話を反芻したときに「人生とは…」と思ったんだった。大事なものは何か、憎むべきものは何か、そのために何ができるか。心根が戦闘民族だからか共感したな…。
    次も厚そうだから、ちょっと休憩したら読みたい。

  • 題名がわたし好みすぎて、楽しみに読みました。途中まで名前がややこしかったけど、それぞれの特徴もあってだんだんと登場人物達に愛着がわいてきました。グロいシーンや残酷な描写もあったけど、ダニエルと弟子達の存在にホッとさせられた。

  • ロンドンに浸れた。

  • 盲目の判事の存在が巧みだなと思った。犯人の表情で確認できないだけに、聴覚と触覚を駆使し言葉の裏を読むという経験を読み手もなぞっていく。そして助手の言葉による現場の説明を、私も一緒になって聞き頭の中で状況を整理していった。
    最後までどうなるか分からない展開に引き込まれ、すべてが怪しく見えてきて楽しみながら読んだ。登場人物の名前や時代背景が頭に入りだしてからはあっという間だった。
    死のにおいを漂わせながら、賢く美しい青年たちの思惑通りにすべてが進んでいたのが良かった。

  • 最後の最後まで分からないストーリーは面白かった。文体のせいか読み進めるのに時間がかかった。会話があまりに淡々としているせいか。時代設定や人物はとても好み。

  • コンセプトコーナー2012年 7月「主人公はお医者さん~医者として、人として、医療と向き合う人々~」の選書です。

全330件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。

「2023年 『天涯図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

皆川博子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×