それをお金で買いますか――市場主義の限界

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152092847

感想・レビュー・書評

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  • ある種の権利をお金で買うのは善か。行列、医者の予約、二人目の子供、CO2・・・。経済として、道徳として、法として善か

  • 「民主主義には完璧な平等が必要なわけではないが、市民が共通の生を分かち合うことが必要である。大事なのは、出自や社会的な立場のことなる人が日常生活を送りながら、出会い、ぶつかり会うことだ」に同感。

  •  「ハーバード白熱教室」のサンデル教授が、今度は何でもお金で動く市場経済について問いかける。

     遊園地の割り込み権や勉強した生徒にお金を出すなど、びっくりするものがお金で買える様になっている実例を挙げて、市場経済が侵すべきでない領域があることを説いていく。そこには裕福でない人が不利になるというだけでなく、お金で価値を考えることがそのものの価値を貶めることになるからだ。
     刺激的で面白い本だが、この本の内容は日本の東大で行われテレビでも放送された特別授業と同じ内容であり、生徒との対話からなるそちらの方が面白い。
     
     やはりサンデル教授は授業として体感したい。

  • 2012年度ナンバーワンの一冊です。

  • hontoで購入

  • いつものように「善」「道徳」を語っています。すべてを市場化してはならず、何を市場化し何を市場化しないのか熟議を持って解決しなければならないとしています。

    本書のテーマは市場化ですが、市場化してはならない領域まで市場化することを経済学者のせいにしています。しかし本書が示す市場化の例は、経済学者が市場化を提案したというよりも、民間企業な一般市民が率先して行っており、経済学者はそれを認めているにすぎません。市場化の批判は分かりますが経済学者が市場化を進めているわけではありません。

    サンデルの批判は別として、アメリカにおいて、どこ領域にまで市場化が進んでいるかが分かる本として役立ちます。学校にまで広告や商業主義が浸透していることは他の本でも指摘されていますが、人の健康や生命を対象としたギャンブルの例などは、まさに道徳的問題として重要だと思います。

    日本がアメリカほど市場化されていないので、本書を読んで日本の状況を考えることは出来ませんが、「道徳的に」悪い例として読めるかと思います。

  • アメリカの今が日本の未来だとすると恐ろしい…。市場主義の行き着く先には、人間の尊厳がないのではと思った。

  • 『これからの「正義」の話をしよう』の著者であるマイケル・サンデルの著。市場で売り買いされる対象が多様化し信じられないようなものまでが売買される世の中についての議論。正義の話と共通するところがある。

  • * 医者と保険会社はインセンティブを与えて患者に薬をのませる
    - フィラデルフィアでは抗凝固薬のワルファリンを処方された患者が薬を飲むと10ドルから100ドル報奨金が出る
    - UKのNHSは太りすぎの人が体重を減らして2年間維持すれば最高で425ポンド(約612ドル)を払う用意があった
    * 中国の一人っ子政策
    - 都市部で2人目をもつと2万元(約3万1000ドル)の罰金.しかし裕福な起業家,スポーツ選手,芸能人にとってはそれほどでもない.
    * 地球温暖化の解決は適切なインセンティブ構造を設計して各国に署名させるという単純な問題と想定する.だが,その考え方は大切なポイントを捉え損ねている.規範が重要なのだ.
    * ThePerfectToast.comでは結婚式の祝辞を代筆してくれる有名ウェブサイト.InstantWeddingToasts.comというのもある
    * 特許が認められた電子的再贈答システム.贈り物を発送する前に,受け取るか,取り替えるか,他のヒトに贈るかを選べるシステム
    * 腎臓は売買されるべきだろうか.ノーという人は眩しい人を食い物にするという公正の議論と人間を物質資する見方を助長する腐敗の議論の2つを含む
    * 弁護士に割引料金で貧しい人の退職相談にのってくれと頼むと断られたが,無料でならOKだった.
    * CEOや経営幹部に生命保険をかけるのは一般的.会社にはCEOに関して法で認められた被保険利益がある.
    - 一般社員までかけるのは比較的最近で,用務員保険と呼ばれる.
    - COLI(会社所有型生命保険)とも呼ばれる
    * バイアティカル.生命保険買い取り産業
    - 余命の短い人の生命保険を買い取るもの.余命が本当に短ければ投資家の利益に.
    * ライフセトルメント産業
    - 健康な高齢者の保険を買い取るもの.
    * 死亡債
    - ゴールド万サックスはライフセトルメントの売買可能なインデックスを開発した.
    - 白血病,肺ガン,心臓疾患,乳がん,糖尿病,アルツハイマー病といった病気のポートフォリオによって分けられた債権をひとまとめにする.どれかひとつの病気の治療法が発見されても債券価格が暴落する心配がないから
    * 命名権
    - ダイヤモンドバックスのアナウンサーはホームランを打つとバンクワンブラスト!と言う
    - 投手の交代をブルペンへのAT&Tコールと呼ぶ
    - ホームに滑り込むと,セーフです.安全と安心,ニューヨークライフと言う
    - 大学の巣他事会うのスカイボックス(VIP席)は80%が寄付金ということで控除される

  • お金で買うという行為が、どういうことを意味するのかを、再考させられました。
    善悪の指標ではなくて、買う(=罰金を払うこともその一種)事によって何をもたらすのか。
    ちょっと哲学的でもあり、経済学的でもあり、なかなか考えさせられる本でした。

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著者プロフィール

1953年、アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス生まれ。アメリカ合衆国の哲学者、政治学者、倫理学者。ハーバード大学教授。

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