バークレー白熱教室講義録 文系のためのエネルギー入門

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152094285

作品紹介・あらすじ

「太陽光ってどうなの?」「原発が止まったら、どのエネルギー源に頼ればいい?」バークレー校の教授が、エネルギー問題について知っておくべきことすべてを伝授する。NHK人気番組の書籍化。

感想・レビュー・書評

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  • 今世界で最も重要な問題のひとつがエネルギー問題だということに異議を唱える人はいないだろう。本書はカリフォルニア大学バークレー校の物理学教授リチャード・ムラーの講義に基づいて書かれたもので、現在使われているエネルギーと次世代に期待されているエネルギーについて、その実用性や問題点などを詳しく検証し、なぜ、エネルギーについて学ぶ事が大切なのかを述べている。 エネルギー問題には文系も理系も無いが、「文系のための」とあるのは、この講義を理解するためには物理学や化学の難解な理論や計算式などの知識は必要としないという事だろう。
     石油、石炭、天然ガス、原子力などの現在主に使われているエネルギーの問題点や、次世代に期待される太陽光、風力、バイオ燃料、水素、地熱などの実用性について検証すると、エネルギー問題には「エネルギーの安定供給」と「地球温暖化」という対立する2つの課題があることがわかる。そして二酸化炭素削減で今後最も期待できるアイデアは、二酸化炭素排出量の少ない発電方法への移行ではなく、ロスのない送電網システムの整備や更に燃費の良いエンジンの開発などによる省エネルギーだ。
     地球温暖化対策は先進国だけではなく、中国やインドなどの新興国でも取り組める方法を取らないと意味が無いという主張には納得できる。地球温暖化で最も良くないのは、地球環境が変化することで各国の生産性が変化し、それが原因で戦争が起こるだろうという事だとは斬新な意見だ。
     エネルギー問題には政治的信条が持ち込まれることが多いが、先ず自分で科学的に正しく問題を理解し、数値を確かめ、よく考えて判断を下すことが大切であり、政治的信条はその後で持ち込むものだというのがこの講義のポイントだ。
    これからますます重要になるエネルギー問題について、正しい理解と判断ができるように、正しい知識を身につけて欲しい。

  • UCバークレーの教授によるエネルギーについての講義録だった。再生可能エネルギーや化石燃料などの説明がとてもわかりやすくまとめられていて、政策の観点からも考えられていてとても参考になった。

  • 今、世界で起きている争いの原因の一つとして、原油・天然ガス等のエネルギー資源が挙げられるのは疑いようがない。本書では、理系の知識がなくとも、石炭・火力・原子力の既存のエネルギーや、太陽光発電・水素発電などの代替エネルギーのメリットやデメリット、関連して地球温暖化について分かりやすく説明している。エネルギー問題は一般市民にとっても生活に直結する話でもあり、ある程度の素養と知識を身に着けておく必要がある。

  • PHYSICS FOR GOVERNMENT DECISION MAKER
    Everything There Is To Know About Energy
    http://www.hayakawa-online.co.jp/

  • 世界が抱えるエネルギー問題について判りやすく書かれている本です。日本でも東日本大震災以降、原子力発電の安全性を疑問視する世論の強い後押しや地球温暖化の対策としての二酸化炭素排出削減の為の太陽光や風力等の自然エネルギー活用に向けた動きが活発化しましたので、当書籍を読む事でこれらの問題についてもっと身近に感じられると思います。

  • いい本だと思うけど特に新しいことはなし。

  • 【選書者コメント】文系・理系問わず重要なエネルギーについての議論が分かりやすく解説されている。
    [請求記号]5000:1113

  • 大学図書館より借りる。
    「世界の未来を担うリーダーたちが適切な決断を下すためには、どうしてもエルネギーの基本的な知識が必要だ(p11)」とのこと。文系人間として2つの関心から読み進めた。①世界のエネルギー問題の今について ②バークレーではどのように①を教えているのか?
     ①については「私たちが消費するエネルギーの4分の3は無駄使い(p46)」や「原発を止めた日本はどうすればいい?(p87)」、「地球温暖化の真実(p91)」など学べた。②については「エレベーター・スピーチ」でオバマ大統領を想定してエネルギー政策を提案させるなど、なるほどなぁだった。

  •  『今この世界を生きているあなたのためのサイエンス』で、エネルギーや原子力をわかりやすく解説した著者が、バークレーの学生に対して行ったエネルギー問題に関する5回の講義を収録した本。前作同様、わかっているようで実はよく理解していないエネルギー問題について、冷静な目でわかりやすく解説してくれている。
     東日本震災後の日本のエネルギー事情や、放射能に関する意識、スーパークールビズなどにも言及されている。

     比較的クリーンと言われる天然ガスの大量採掘はアメリカのエネルギー構造を変え、価格減は脱原発に向かう日本にとっても朗報と説明するが、一方で化学物質注入による環境汚染や、二酸化炭素以上の温室効果というデメリットにも警鐘を鳴らしている。

     本講義で議論されているのは単なるエネルギー源の選択だけでなく、温暖化問題や放射能に対する正しい理解、さらには事実を追究する科学者の姿勢だ。なかでも、科学者や科学的事実が、政治的思惑や個人の信条に左右されることを危惧している。著者のメッセージはリベラルで力強く、科学者を目指す学生だけでなく、我々一般市民にも科学の尊さが伝わってくる。

  • レベルとしては、中高生レベルですが、エネルギー問題を科学的かつ政治的に軸をもって論じており、大変勉強になりました。特に、エネルギーの単位感はとても参考になりました。
    キーポイント
    ・天然ガス革命、日本では??
    ・1%の漏れで天然ガスは温暖化大。
    ・温暖化傾向と二酸化炭素濃度は連動している。
    ・異常気象と温暖化は連動している?
    ・太陽光の普及は中国の生産革命もある。
    ・日本の発電40gアメリカ500g中国のパネル2g。
    ・送電損失7%、アメリカの場合。
    ・cop15は新興国いれないと全くむだ。

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著者プロフィール

カリフォルニア大学バークレー校の物理学教授。マッカーサー・フェロー賞(別名「天才賞」)の受賞者。政府の執筆顧問を長年務める。米国国会が全米科学アカデミーに要請して行われた地球温暖化の証拠の見直し作業においては、見直しを第三者として審査する審査官を務めた。米国PBS(公共放送サービス)や英国BBC放送の多くの特別番組やドキュメンタリーに専門家として出演している。
本書は、著者が文化系学生を対象に行なっている有名な抗議(学生の投票によって決まる「バークレー校のベスト抗議」に選ばれた)をベースにしたもの。この講義を基にした書籍は英語圏で2冊出版されており、そのうちの1冊は『今この世界を生きているあなたのためのサイエンス入門 I・II』として既に邦訳が刊行されている(既刊『今この世界?』は時事問題を軸として構成された簡略版であり、本書『サイエンス入門 I・II』はよりオーソドックスな教科書的スタイルで書かれた詳細版という違いがある)。なお、著者の講義の様子は大学によってWEBで無料公開され、YouTubeなどで誰でも視聴できる。世界中の人々がこれを見て、著者のもとにはこれまでに87ヵ国にも及ぶ国の人々からの反響が寄せられているという。

「2012年 『サイエンス入門 Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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