ピュア

著者 :
  • 早川書房
3.56
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本棚登録 : 395
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152099358

作品紹介・あらすじ

ユミは学園星ユングに暮らす普通の女の子。女性はこの時代、国を守るために子供を産むことを使命づけられている。ただし妊娠には、地球に暮らしている男たちを文字通り「食べる」ことが求められていた――早川書房noteで閲覧数1位の衝撃作、ついに書籍化

感想・レビュー・書評

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  • 「ピュア」「バースデー」「To the Moon」「幻胎」「エイジ」
    そのままするりとSFとして読むもよし、イニュエンドゥなところを自分で解釈して楽しむもよし。
    「ピュア」カテゴリー的にはヴァンパイアものにはいるような感じだが、ポストアポカリプス(終末もの)。遺伝子操作で女性だけ強くなり、繁殖には性交後に対象男性を捕食することにより妊娠するという性質になっているという設定。出生率が非常に低く、子孫を残すために、性交は”狩り”と呼ばれ、義務化している。ただ、そんな世の中なのに口調や悩み事は現代の女子高生的で違和感はある。設定がSFで面白いながら、普通の恋愛小説。「エイジ」はそのスピンオフ。
    LGBT「バースデー」性虐待をうけていた女児の幼馴染がエイリアンになった「to the moon」近親相姦「幻胎」と、かなりセンセーショナルな内容と表現が多いが、全て薄皮一枚隔てたような隔離感があって、生々しさが少ない。よって、妙な読みやすさはあるかと思う。

  • 女性が狩をする。狩の獲物は、「人間の男性」。その方法はカマキリと同じだ。赤子を宿すためには男が必要なものの、必要さえ満たされれば、あとは用無し。
    怖い?酷い?仕方がない?
    食われる方はたまったもんじゃない。
    でも、そうなってしまったなら、それを受け入れる他に、ない。
    いやいや、待て待て、主人公はそうしなかった。
    男と、男の子供を大事にしたいと思っていた。
    どんなに腹が減っても、どんなに欲望があふれそうになっても、我慢した。
    「愛」を知った。
    そんな生き方しかできなくても、我慢しきれなかったとしても、守りたいと思った気持ちは偽りない。

    実は本作、描き下ろしの最終話と話がつながっている。
    エイジの過去を知ると、彼がどうやって生きてきたかわかる。

    「純粋」、それは残酷でもあり、希望でもある。
    神は残酷で慈悲深い。そんな相反する二つを持った「女性」の生きる世界を描いたSFだ。

  • ▪︎ピュア

    生物としてのオスメスを考えるSF
    例えが良い。
    ロマンチストの代償からの脱却や現実の残酷さに気付きながら、連綿と連なる命の連鎖に向き合うテーマ。
    葛藤の解決が、友達との取合いに制する形で、単純に正義の対立ではなくて混沌とした同様の立場の中で優劣を付けただけだったという都合がいい展開ではあった。
    ただし、人生こんなものなのかもしれない。
    自分で選ぶのは嫌だが本能的なものに従って成り行きで同化していき、同化しないところもある。
    同じなようで同じでない差異がどこかにあれば、選択や解釈なんてものは些細な事なのかもしれない。
    それが生物であると感じた。

  • 性別が形を変え絡むSF短編集。生々しいグロテスク、だからこそ輝くロマンチックさが強烈な1冊でした。
    中でも表題作は強烈。恐竜のように進化した女性が男性を食べ妊娠する世界。私が知ってる世界より直接的な世界だからこその重なる思いと、抗いが強烈です。

  • 今までに読んだことがないタイプの小説。

  • あんまり専門的な説明がないSF設定なので、感覚的に読みやすかった。余韻があって、この後どうなったのか、とか、描写されていない部分を想像してしてしまうのが、短編集のいいところかな。

  • 交尾が本体の生死に直結したり、食ったり食われたりするのは、多様な生物の世界では珍しいことではないと思うけど、人間にあてはめると急にあまりにも非現実なことに感じる。ここまで思考を飛ばした話を世に提示した小野さんに脱帽してしまう。

  • 進化した女が性交が終わると男を食べるように進化した近未来の話の表題作を含む短編集。幼なじみの性転換手術、自分の卵子を提供して発見された昔の人間のDNAと受精させて未知の生命体を作ろうとする科学者、ある日突然変異し月人となってしまう症状、表題作での男側からの物語、とどれも異色の作品。

    読み始めはこの不思議な世界観にびっくり、ちょっと村田沙耶香の「生命式」を思い出すような発想だなと思う。読んでいくうちに、どの話も少し発想元
    がわかるような気がして、「生命式」のぶっとんでる感覚とは少し違うかな?と。

    そこまでは入り込めなかったかな、私には少し若かったかも。

  • 男を食らって妊娠する進化した女という生命体SF、近親相姦に性同一性障害の百合
    アブノーマル極まれり、だけどこんな形のピュア―も存在するのかも、しれない

  • 気持ち悪い印象が残ってる。
    表紙からしておっぱいだし。
    会話が若い人ので、違和感を感じる。でも後十年後とかは、このような会話の小説が主流になるのだろうかと思ったり。
    あれ、でも作者85年生まれだと、それなりの年齢か。
    セックス描写も気持ち悪くて、勃たないし。

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著者プロフィール

●小野美由紀(おの みゆき)
 文筆家。1985年生まれ。創作文章ワークショップ「身体を使って書くクリエイティブ・ライティング講座」主宰。著書に『路地裏のウォンビン』(U-NEXT)、『傷口から人生。〜メンヘラが就活して失敗したら生きるのがおもしろくなった』(幻冬舎)、『人生に疲れたらスペイン巡礼~飲み、食べ、歩く800キロの旅~』(光文社)、『ひかりのりゅう』(絵本塾出版)、『メゾン刻の湯』(ポプラ社)、『ピュア』(早川書房)ほか。

「2021年 『雨は五分後にやんで 異人と同人Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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