- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152099389
感想・レビュー・書評
-
仄暗い場所から光のほうへ踏み出す勇気をくれる作品。元気のないときに読み返したい。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「三つ編み」を読んだ後にこちらの作品を読みました。「三つ編み」と似たようにこの作品では過去と現在が繋がっている作品で、楽しく読めました。ブランシュのやったことがソレーヌの代までずっと続いていて、その意思もそのまま受け継いでいた物語だったので、読んでて胸が熱くなりました。
読もうか迷っている方は「三つ編み」も一緒に読んでみて下さい。 -
前作「三つ編み」とテーマは同じ。
こちらは2つの時代に生きた2人の女性の物語。
100年前、自分の全てを出し切って貧困や差別にあえぐ女性たちのために生きた高潔なブランシュ・ペイロンの存在には驚かされました。
直向きに、ただ直向きに「助けたい」という信念を貫き通した人生には頭が下がります。
そして100年継がれた思いを確と受けとめたソレーヌ。
彼女は心に大きな傷を負っていましたが、女性保護施設で出会った個性豊かな女性達とのふれあいの中で、徐々に前を向き、立ち上がり、進んでいく気持ちを取り戻していく様が心を打ちました。 -
大好きです!
前作も素晴らしかったけど、今作はそれを軽々と越えています。もがきながら毎日を過ごす人、男女問わずお勧めします。私にできることは何だろうと、ふと立ち止まって考えるような作品。
途中のズンバの場面で号泣しました。 -
物語には2人の女性が2つの時代を生きる様が描かれている。1人は現代のソレーヌ、もう1人は1920年代のブランシュ。
彼女たちの共通点は「多様多種な困難に苦しむ女性たちを救うこと」。
『女性会館』パレ(宮殿)とも呼ぶべきその施設を創建し、運営していく上で2人の願いは等しい。
「誰もとりこばさない」。全ての女性たちを幸福にする事は不可能だとしても自分には居場所があると実感するだけでも支えになる。
貧困にあえぐその女性に「声をかける」「会話をする」相手が同じ人間であると互いに理解する。簡単なようで立ち位置の差異から来る歪みを変えていくのは並大抵の努力では出来ないだろう。
愛の欠如、それは文化や習慣の違いにも置き換えられるのではないだろうか。「知る」は寄り添うことでもあると教えてくれた。
-
『三つ編み』のレティシア・コロンバニによる新刊。大きな挫折のあと、保護施設『女性会館』で代書人のボランティアをはじめた弁護士のソレーヌの現代パリターンと、100年前の救世軍のブランシュの過去パリターンが交互に進む物語。さまざまな地域に根付く「女性」に関する問題を提起した作品、救世軍に関してはあまり詳しくなかったのだが、本作を読んでいるうちに興味が出たので、あとで詳しく調べてみようと思った。
-
レティシア・コロンバニの小説二作目
今回の舞台はパリ。女性の保護施設で100年前と現代とが交差していく。過酷な状況に置かれた女性が懸命に生きていく姿が印象に残る。彼女の小説を読んでいると、女性としての生きづらさと言う現実を思い知らされると同時に、力強く前へ進んでいく生き様に勇気と希望を与えられる。
読了後がなんとも清々しい気持ちになるのです。
この施設はパリに実在し、創設者も実在の人物だそうです。
パリの新しい一面を知ることができました -
翻弄される女性を救う場所、それを作った女性とそこで再生する女性のリンクが見事すぎて、読み終わってもしばらく本から手が離せませんでした。ソレーヌ、よかったね、と肩を叩きたくなりました。上の立場にいたと思っていた彼女が、会館で生きる女性たちに近づいていく様には、旨がしめつけられます。これが、共感の姿です。そして、素晴らしいエンジンを積んで目標に向けてひたすら突っ走ったプランシュの生き様には、拍手せずにはいられません。アルバンも、本当に素敵です
-
パリ、女性会館という場所で現代と100年前が行き交う。女性が安心して眠れる場所に生涯を捧げた女性と、100年後のその場所で人生に再び意味を取り戻す女性。
書くこと、報われること、この場所から始まっていくこと。読みやすい文章の中に情熱の灯り、時を越えた女性たちへのエール。
物語の中にパリの貧困の現状、女性を取り巻く窮状が頑とした意志で書かれていたのがよかった。同じ女性であっても境遇が違えば見えないものはこんなにあって、いつ立場がひっくり返るかもわからない。
女性が女性に「気づく」物語でもあり、境遇の差を越えた連帯と友情、人生賛歌でもある。
とても好き。