うそをつく子 ―助けを求められなかった少女の物語

  • 早川書房
4.03
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152100405

作品紹介・あらすじ

ジェシーは笑顔のかわいい九歳の少女。だが日常的にうそをつき、思いどおりにならないと暴力をふるう。両親に見放されて里親のもとを転々とするジェシーに降りた診断は、「愛着障害」だった。心理学者のトリイが彼女を担当するが……。感動のノンフィクション

感想・レビュー・書評

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  • 【書評】嘘を受け止め、背後にある心の叫びを探る~『うそをつく子ー助けを求められなかった少女の物語』|教養|婦人公論.jp
    https://fujinkoron.jp/articles/-/4920?display=full

    うそをつく子──助けを求められなかった少女の物語 | 種類,単行本 | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/smartphone/detail.html?id=000000014886

  • 途中、読むのを挫折しそうになった。
    内容が読んでて辛いとかでなく、何も進展しなさすぎたため。
    それを何とか乗り越え読み切れた。

    簡単に言うと児童虐待の話
    いつも嘘をついて自分に注目してもらいたい、暴力を振るったり放火したり、実の親に育児を放棄された9歳の愛着障害と診断された女の子。
    愛着障害って初めて聞いた言葉。
    その子に忍耐強く関わり問題を解決しようと必死だったトリィ。
    ちょっと困らせてやろうと嘘をついたことで、とんでもない目に合わされた職員(性的なことをされたと嘘をつく)
    日常的に嘘をつくから、ほとんど信用されず
    でも、今度は嘘をついてないかもしれないと助けを求めてるかもとか考えたり。

    子供の時に性的被害をうけていたがまさかの姉から。

    最後、プロのダンサーになった彼女からの手紙があって
    どうなったか気になってたのでよかった。

  • 最初は「何て胸糞悪い子なんだろう」と嫌な気分で読み進めていった。

    トリイとのやりとりで時折涙を流すのを読んで、マウントを取ろうと嘘をついてるのか、それとも本当に苦しんでるのか、どっちなんだろうと一緒に悩んだ。

    後半、トリイがジェシーのことを大好きと書いてあるところにちょっとグッと来た。
    トリイの振り回されないところ、この子の愛すべきところをちゃんと見つけてるところがすごい。

    ジェシーが自己破壊してしまうところもせつなかった。わからないことが怖かったんだ。

    読んでいくにしたがってせつない気持ちがわいてきた。ジェシーは幼い頃から寂しい、悲しい思いを嫌というほど味わってきた。何てかわいそうな子なんだろう。

    最後、トリイに届いたジェシーからの手紙に思わずウルッと来た。
    プロのダンサーになってたなんて!ジェシー素敵!親戚のおばさん気分だった。ジェシーがずっとずっと素晴らしい人生を送れますように。

  • 衝撃のノンフィクション。最初からノンフィクションだと知っていなければおもしろい(と書くと語弊があるが)小説だと思ってしまったかもしれない。施設に収容された9歳の少女。日常的にあらゆることに嘘をつく彼女と、週1回ボランティアで訪ねる作者とのやりとりの記録だ。少女に下された病名は“反応性愛着障害”だった。何が真実なのかわからない状況で手探りのやりとりを続けるうちに、ついに明らかになる驚愕の事実とは……。

  • 高校の頃から好きな作家さんで、久しぶりの新刊をワクワクしながら読みました。
    色んな家庭環境がある中、あってはならない環境に身を置いている人は想像するよりもずっと多いです。そんな環境から身を守るためにこじれた子どもがトリィや周りのスタッフに支えられながら、新しい自分の居場所を見つけていくところが好きです。その子の本当の気持ちや、恐怖心はどこから来るものなのか、推理しながら読んでいます。

  • 全作品読んできた大好きなトリイ・ヘイデン16年ぶりの新刊。
    初めて読んだ「シーラという子」から変わらないトリイが読めたことに心が震える。
    暗闇の中1人で苦しみと戦わざるを得なかった子供が、トリイと出会い光溢れる世界の入り口を見つけた瞬間の笑顔の描写は何度読んでも感動してしまう。
    解説が信田さんという所もまた素晴らしい。
    訳者あとがきに書かれていた新作の出版が楽しみ。

  • ノンフィクションが好きな人におすすめ。
    ある人に対して表面だけをみて決めるのではなく、深いところまで知ることが大切です。

  • トリイがウェールズで暮らしていて(今も暮らしてる?),ボランティアとして接したジェシーという10歳の女の子(11歳かも)の物語.

    ジェシーは高齢出産で生まれた4人目の娘.上の二人の娘(双子)は既に成人して家を出て,3人目の姉はジェシーの8歳上で同居してるのかな.母親は産後鬱からしばらく子育てに参加できず,3人目の姉ジェンナがジェシーの面倒を見ていた.ジェンナはストレスからジェシーに性的いたずらをするようになり,これがジェシーの問題行動の根幹.この件については,物語の最後の方でトリイに心を開いたタイミングでジェシーが語った.

    ジェシーは他者や場を支配するために嘘をついたり攻撃的になったりする.両親が育てることを拒否して里親制度を利用するも,問題行動から受け入れ拒否をされグループホームみたいな所で暮らすことになった.

    ウェールズではビザの関係で作家として働くことしかできないトリイは,ボランティアとして何かしらの問題を抱える子どもたちと接するようになる.そこで出会ったのがジェシー.週に1回ジェシーと会うわけだが,トリイが大活躍していた70年代,80年代のアメリカとは異なるジレンマを抱えながらジェシーと接するトリイ.

    ジェシーの嘘がきっかけでホームの産業医?みたいな人が性的虐待の疑惑をかけられる.最終的に疑惑は晴れるものの,該当の男性は引っ越すことになる.

    ジェシーはリバプールにある寮タイプのグループホームみたいな所に移ることになり,そこで連絡が途絶えてしまう.それから数年後,ジェシーから元気にやっていると手紙が届いて物語は終わり.

  • トリイがウェールズに移り、ボランティアとして1人の女の子を相手にセラピーをする話。
    ジェシーは日常的に嘘をつき、周りの人々をあらゆる手段を使って困らせてしまう。ジェシー自身の心の苦しみが伝わってきて、やりきれない気持ちになってしまうことがあった。
    そんなジェシーに対して献身的に、愛情深く接するトリイ。ボランティアという形でなければ、もっと色々なことがトリイならできたのではないかとも思った。でも、少しずつジェシーにとって良い方向に事が運び良かったと思った。
    そして現在、ジェシーが幸せで精神的にも楽になっているといいなと思う。

  • 信頼できる大人にいうのが正しいのよ。
    ものごとは決してよくならないという気になるときがあることは分かってるわ。でもね、たった一つでも本当のことから始めれば、そこから取り組んでいけるのよ。
    本当のことをいうことが、あなたにとって安全な選択とは感じられないのは気の毒だわ。
    本当のことをいう努力をしていきましょう。
    誰もが幸せになりたい。誰もが愛とつながりにあふれた充実した人生を送りたいと思っている。不幸になることを選ぶ人などどこにもいない。もし自分がやっていることのせいで誰かが不幸せだとしても、それは最初から意図した結果ではない。どんな理由があるにせよ、自分がやっていることが気分をよくすることに役立つと思っていたのだ。
    自分を不幸にするためにわざとそんなことをしたわけではない。ただそのときにそれ以上のことができなかっただけなのだ。
    状況を変えるためには、非難するのではなく支援するほうに焦点を変えなければならないのだ。

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