奇妙な絵

  • 早川書房
4.15
  • (7)
  • (9)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 138
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152102799

作品紹介・あらすじ

優しくて内気な少年テディ。その面倒を見るベビーシッターのマロリーはある日、テディが奇妙な絵を描いていることに気がつく。森の中で、女の死体を引きずっている男の絵だ。テディが何かに取り憑かれたように描き続ける、不気味な絵に隠された真相とは――?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 超★5 五歳児テディが描く可愛らしい絵に不気味な女性が… 極上エンタメなホラーミステリ #奇妙な絵

    ■あらすじ
    薬物依存症の治療をうけ回復中の主人公マロリーは、裕福な家のベビーシッターとして雇われることに。その家に住む夫婦は意識が高く、テディは優しく無邪気で、お絵かきが大好きな子どもであった。ある日マロリーは、テディがスケッチブックに奇妙な絵を描いていることに気づく。そこには不気味な女性が描かれており…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    面白い!★5

    本作は物語が進むにしたがって、五歳児テディがスケッチブックにしたためる絵が挟まれる。昨今は本に興味を持ってもらえないご時世のためか、こういった変わった仕掛けがよく見られる気がしますね。個人的にですが、こういった作品はどうも面白味を誤魔化される気がして、小説として邪道っぽく感じちゃうこともあるんです。

    でも本作は違いました。単に世界観を作り上げるだけの効果ではなくて、しっかりと物語に組み込まれて意味を成し、小説としてのエンタメ要素を倍増させてくれているんです。いやー上手でした。

    表紙とあらすじから、ホラーっぽいお話ですよね~と思って読み始めます。幽霊ものかしら?とあたりはつけるのですが、なかなかどうして一筋縄ではいきません。想像した以上にいろんな要素が仕込まれていて、しかもプロットが抜群にうまいホラーミステリーに仕上がってます。

    薬物依存症から復帰したマロリーをはじめ、両親や子供、その他様々な登場人物がでてきますが、まぁ魅力たっぷりに描かれてます。夫婦は鼻につくけどテディは可愛いし、隣人は怪しすぎるし、そしてなんといっても絵に描かれている人物ですよ。こえーよ、マジ怖い。

    ぷるぷる震えながら物語を読み進めると、単なるホラーでないことがわかってきます。描かれる絵の内容、それぞれの背景や過去が見え始めると…もうミステリーファンとしてはたまらない展開に!

    中盤からは一気読みだし、終盤なんてマジかよオイって感じで最高。読み終わった後も納得感もあり心地イイ。詳しくは言えないのでぜひ読んで楽しんでください。

    ちなみに私がお気に入りの絵は、エイドリアンが芝刈り機を運転している一枚(69ページ)です。可愛すぎだろうと…

    最後に、読む前にパラパラと本をめくらないようにご注意を。

    ■ぜっさん推しポイント
    私は大学を途中退学しています。当時アルバイトに精をだし、中途半端に手に入れたお小遣いで夜な夜な友人たちと遊んでばかりいたためです。その後、後悔とともに社会復帰のため苦労を重ねるのですが、今になって思えばよい経験でしたね。子供たちが社会に出て手を離れたら、もう一度大学に入って、世界中の文学を学んでみたいなーと夢みたいなことを思ってたりしてます。

    そんな未来の可能性を感じたり、やり直す勇気をもらえるような素敵な物語でした。

  • バランスが絶妙!
    怖さと面白さ、人の善性と醜悪さ、ホラーとハートウォーミングさ、どれもとてもいい具合。
    ラストは、グッと来て泣いてしまった。
    でも下手に盛り上げすぎていなくて、そこも絶妙。

  • 「変な絵」と似た構造ではあるけどもっとホラーテイストが強く、スティーヴン・キングが帯を書いているのが納得。最後の絵で特に心を揺さぶられた。

  • 2024年初の1冊。
    ジャケ買いに近い感じで購入。

    薬物中毒を克服中の主人公が
    とある家庭のベビーシッターとして雇われる。
    5歳になるテディとはとても親しくなれて
    社会復帰への第1歩を踏み出す主人公だが
    テディが描く絵に違和感を覚える。

    作中に沢山の絵が出てくるのだが
    ドキッとするような絵が多く、
    不意をつかれて心臓バクバクになる。

    ホラーとして読み進めていくが
    ミステリとホラーが融合されたような、そんな感じ。
    ラストは賛否両論ありそうだが
    私は最後まで楽しんで読むことが出来た。

    年明けから気が沈むような事が沢山あり
    とにかく思いっ切り本の世界へと入り込みたいと思って手に取ったのだが
    先が気になり一気に読めて、とても満足。

  • ホラー的に進行して、ミステリ的に解決。途中、主人公にイラつく点あり。

  • 「こういう本を読んでる理由を言ったら、わたしのこといかれてると思うにきまってる」
    「面白い話ってのは、きまってそういう警告からはじまるんだ。なにもかも聞かせて」


    本を書こうなんて思わなくていい、ノートパソコンに向かって話を語ればいい、一文ずつ、コーヒーを飲みながら友達と話すときみたいにって。J・K・ローリングみたいに書けなくて大丈夫、フィラデルフィア出身のマロリー・クインらしく書けばいいって。

  • タイトルから、中野京子さんみたいな内容かと思っていたら、しっかりミステリ小説。
    おまけにホラー、サスペンス要素もたっぷりで、何よりページをめくると出てくる絵が怖い。先が気になって、一気読みだった。

    小さな違和感を積み重ねていけば、真相にたどり着けたはず。気づけそうで気づかなかった、くやしさのさじ加減がちょうどいい。

    エンディングは、思わず涙が出そうになる展開。目を引く猟奇的なシーンだけではなく、しっかり主人公やテディの苦悩も描けている点が素晴らしい。

  • 5歳の男の子テディのベビーシッターとして離れに住み込み始めたマロリー
    テディが奇妙な絵を描くようになり過去に離れで起きた事件と結びつける
    テディの両親がマロリーの話を信じないのは分かるな、って思ってたら意外な真相が‥

    絵は救ってほしいというメッセージだったんだな
    訴える手段は絵しかないと思ってたら‥

    ラストホロリとした
    覚えてたんだな

全10件中 1 - 10件を表示

中谷友紀子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
夕木 春央
道尾 秀介
雨穴
ピエール ルメー...
小川 哲
恩田 陸
呉 勝浩
エルヴェ ル・テ...
夕木 春央
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×