作品紹介・あらすじ
吉良上野介非運の日、赤穂の討手をのがれ身をひそめた炭部屋での一刻。これぞ井上戯曲の真骨頂、奇想あふれる忠臣蔵秘話。こまつ座絶讃上演。
感想・レビュー・書評
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本所回向院裏の吉良屋敷、時は七ツ時分(午前四時頃)。赤穂の討手を逃れんと身をひそめた味噌くさい物置。狭い部屋には御隠居様の他、将軍からの下されものの、おイヌさま。切迫した空気の中、そこに盗人が忍び込み……?!
"昔から廃らぬものは人の誉れ" とする御女中頭・お三さま、差し向かう吉良上野介付行火・お吟さまは、"いま、生きているということが何より大切" 。日本の仇討には討つ方も、討たれる方にもきまりごとやパターンがある。此度の仇討は、そうではない仇討。おもしろかった。美談。
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“吉良上野介”視点の忠臣蔵。
史実かどうかは別にして“歴史という物語”を感じる。
格好いい。
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著者プロフィール
(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。
「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」
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