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- Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163206905
作品紹介・あらすじ
重畳する飛騨山脈を縫いつつ富山湾に注ぐ庄川は、木材運送の大動脈として、日本の林業を支えていた。その大動脈を分断するダム計画が昭和の初めに持ち上がる。ダムができてしまえば林業およびその周辺の産業の死滅は必至。しかし、太平洋戦争につきすすむ日本の電力事情を背景に、電力側は金にあかせて周辺住民から土地を買上げ、ダム工事を強行する。木材側は行政訴訟、民事訴訟などありとあらゆる手を使い、電力側と闘う。その激しい闘争の最中に征一郎と由紀江は出会った。半世紀に及ぶ二人の愛の行方は?庄川を頼りとして生きた杣夫たちの運命は?自然と進歩の調和を問う一大叙事詩。
感想・レビュー・書評
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日本初のダム撤去運動であろうと思われる、庄川流木事件を丹念に調査し、その綿密な取材をもとに書かれたルポ・ドキュメント・・・ならぬ恋愛小説。主人公は、木材生産者の見習いから、中国での新聞記者、高圧電線作業員を経て最終的に新聞記者となる。戦争と富国強兵の時代背景を色濃く感じることができる。ダム黎明期と戦争色が漂う時代、ひと世代で消えていった「脈々と受け継がれていた持続可能な社会」を、翻弄される主人公の目線から切り取った面白さがある。主だった登場人物や会社は実在のモデルが存在している。約80年の時の流れと、フィクションという形を借りることでアクセスすることができた膨大な資料が綴る、限りなくノンフィクションに近いフィクション。
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