退廃姉妹

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163241708

感想・レビュー・書評

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  • 素晴らしくよく書けている小説。読みやすいし内容もあるし読後感も良い。登場人物の心理描写も分かりやすくてすんなり入り込める。プロだなー。

  • 戦争に負け、それでも生きていく女性たちが、悲惨な状況も嘆かず現実的に捉えて逞しく生きていく話。基調に流れる死。戦後を経て「傷物」になった女性たちには明るい未来は開けなかった。その中で4人が戦後を乗り越え、それぞれに幸せを掴んでいく様にエールを送りたくなる。

  • 戦争を生きのびて帰ってきたのに時代に迎え入れられない男たち、
    体を差し出すことによって心を支配しようとする女たちの矛盾。
    戦争中の死と隣り合わせの恐怖や貧しさの苦しみを訴えるものは多いが、
    敗戦国としての惨めさを描いた戦後の話は珍しいと思った。
    でも、カジュアルに書かれていてとても読みやすい。

  • 上手い
    軽妙

  • 女学校に通う、そこそこ良家育ちだった有希子と久美子の姉妹。しかし戦争が終わって世界は一変。父親は借金を残したまま戦犯の疑いで逮捕され、姉妹は食べていくために自宅である商売を始めた…。
    読む前は何も感じなかったが、読んでから“何て絶妙なタイトル!”と気に入ってしまった。<退廃=風俗・気風がくずれ不健全になること>(大辞林)ですよ!戦後の退廃した空気に身を任せながらもどこか明るく逞しい彼女たち。そして作品自体もなんとなくユーモラス。メッセージ性もあるようなのに。こういう戦後小説(そんなジャンルあるのか?)って必要かもなぁ。

  • 知人のオススメで購入。
    思っていたより読みやすかったかな。
    女性目線の戦後。
    私がここに居たらどちら側だったのだろうと考えた。

  • 戦中戦後をたくましく生き抜いた美しい姉妹の大河小説。
    姉は特攻帰りの恋人に尽くし、妹は米兵の性の相手をして、戦後の糊口を凌いでいく。
    日本が復興していく様を、姉妹のひたむきでしなやかな生き方に託して描かれている。
    天皇の描き方には同意できないが、どん底にある庶民がいかにして生き残っていくのかがしっかり描かれていて、2005年の作品だが、今こそ時代にそぐった物語だと思う。
    売春の描かれ方に関しては女性としてあまりいい思いがしないが、作品自体は面白かった。
    物語の男達はみんな早死にしてしまうが、女達はみな長生きで、次の時代を担っていくのも二代三代の娘達で、やはり女は強いと、島田氏は思っているのだろうか。
    デビュー作を読んで以来、島田氏の作品はまったく読んだことがなかった。完膚なき純文学者だと思いこんでいたが、こういう大衆小説も書くのかといまさらながら発見。
    さすがに島田雅彦で、文章はうまいし、プロットはよくできているし、時代考証も行き届いていて、ひさびさに読み応えがある読書体験ができた。
    青山真治監督が海外資本で映画化する予定があるとのこと。楽しみだ。ぜひ観てみたい。

  • 姉妹。家。慰安所。戦中、戦後のストーリー。
    「今度は私たちがアメリカ人の心を支配する番です」

  • おばぁちゃんも、お母さんも、みんな女です。

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著者プロフィール

作家

「2018年 『現代作家アーカイヴ3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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