- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163271804
作品紹介・あらすじ
高校の同級生だった女性から手紙が届き、四十年ぶりに再会して登った浅間山での一日。青春の輝きに満ちていた彼女だったが…。文芸時評で絶賛された表題作をはじめ、稜線を渡る風が身の内を吹きぬける、山歩き短篇集。
感想・レビュー・書評
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ネガティブな感情にしがみついたまま放さないのが後悔.
出来事を知的に分析して将来に備えるのが反省.
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なるほどね… .
登山の話を読むと 登山が好きな人はこんな気持ちで登っているんだなぁ…と.
まぁ私は絶対登らないけど.
でも…登りたくなる日がくる事もあるのかもしれない. -
特筆すべき点はありませんでした。
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著者の「山行記」を読んで以来,行ってみたかった浅間山に夏休みに登ってきた.(思ったよりずっと大変だった).
戻ってきて「山行記」を再読.さらにルートの中で印象的な急斜面「草すべり」をタイトルにもつこの短編集を読む.
「草すべり」高校時代の女性の同級生と浅間山に登る.
「旧盆」旧盆に廃墟となった実家の庭で隣人とバーベキューをする.
「バカ尾根」浅間山が目の前に見える近所の丘で花見酒を飲む.(実にうまそうだ).
「穂高山」涸沢で穂高岳を見ながら偶然隣り合わせた高校教師の話をきく.
こう書いて見ると,改めてなにも起こらない小説たち.「わたし」はこれらの出来事を通して,過去を回想し,現在の自分を確認する作業をしている.著者はこれを書いたときまだ50代半ばだったが,病後ということもあってか,諦念というか,悟りというか,そのような気持ちがにじみ出て,とても静かな老境小説となっている.
私は著者よりも若いにもかかわらず,自然に感情移入ができてしまう小説たちであった.
蛇足だが,この本,字が大きくて老眼のすすみつつある私にもとてもやさしい. -
草すべり
旧盆
バカ尾根
穂高山 -
医療の現場にあり、パニック障害を抱えながら小説を書いている著者。
山に登ることを中心に現在の心境を丹念に綴る。
小学校時代の同級生と登山の記録が心に残った。
気にかかって新刊が出ると読む作家の1人。 -
作家の感性をもって山に登るとこんな愉しみ方ができるのか・・・。山が好きなのでときどき山岳小説も読んでみるのだが、フィクション/ノンフィクションを問わず、「上へ上へ!」「前へ前へ!」という努力&根性ものが多くて、自分の感覚とは合わないでいた。
『草すべり』は、山岳小説というよりは、山を舞台にした人間ドラマだ。ザイルもアイゼンもピッケルも出てこない。主人公(著者)は心を病んでから山に登り始めた老年に近い医師で、山の高さや難しさや数には強い関心がなく、ただ自然の中で、自然のエネルギーを感じながら、自分のペースで歩くことを好む。ぜんぜんがんばらない。文章全体に漂う諦観の念が、なぜか山の空気のように清々しく感じられる。読んだことはないけれど、『アルプ』的な空気感を想像させた。10年後くらいにまた読んでみたいと思った。 -
年配者の山登りが実感できる内容だ.いつまでも若くないのだ.
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10/08/16 「穂高山」がよかった。もちろん「草すべり」も。登り たい。