カルトの子: 心を盗まれた家族

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163563701

感想・レビュー・書評

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  • 金銭トラブルはまだまだ表面的なものであり、
    本当のカルトの被害とはどういうことかがよくわかります。
    安倍晋三を射殺した山上容疑者がメール等で接触していた米本和広さんの本です。
    ただ、米本和広さんは現在、世界日報等に記事を書くあちら側寄りのジャーナリストになっているようです。
    それがさらにカルトの恐ろしさを感じさせます。

  • とっても大切な一冊。胸が張り裂ける。友人がカルトに傾倒したときに読みました。友人は無事こちらの世界に戻りました。

  • 子供をこんな酷い目にあわせるなんて親じゃないね
    ホントに頭にくる


  • 統一教会に人生を狂わされ安倍を銃撃。そんなカルト2世がどんな環境に置かれたのか実態調査レポート。
    親がカルトに入信して自動的に信者になった子供たち。
    オウム真理教、エホバの証人、統一教会、ヤマギシ会。
    親の愛情を受けず、栄養も足りず、教育も受けず。成長ホルモンの分泌が少なく低身長、暴力で支配され自分で考えられない、社会の仕組みを知らない。
    抜けてからも、トラウマで異常行動、対人恐怖、等々。親と和解も出来ず。

  • p56 かみつき 愛着障害の一つ

    p87 神奈川県海老名市 ものみの塔聖書冊子協会の本部あり

    p284 abuseには、身体的虐待、ネグレクト、心理的虐待、性的虐待の4つがある

    p307 child abuse 児童虐待と訳されたのは多くの臨床家が不満をもっている
    直訳なら児童乱用、意訳をすれば子供に対する度を超えた支配権の行使

  • 衝撃的!

  • 自分が虐待してないとは言い切られへんなと思わされたな。こわい。

  •  この折檻事件は、エホバの証人の中では特異なケースである。私が恐ろしいと思ったのは、事件そのものよりもそのあとの会衆の空気である。同じ周回に属していた当時はまだ信者だった人が語ったところによれば、一人の子どもが死んだというのに、自分を含め会衆の誰一人としてムチによる懲らしめを反省せず、「組織と教えは正しいが、あの人が個人的にやりすぎたんだ」と仲間うちではなしただけで終わった。事件をきっかけに組織を離れた人は一人もいなかった。祇園会衆の長老も「不幸な事件が起きた。今後Aさんの家に近づかないように」と報告しただけだった。不幸な事件ゆえにAさん一家を支えるのが宗教の役割だと思うのだが、Aと仲の良かった信者が拘置所に面会に行くと、長老が自宅にやってきて、「なぜ指示を守らないのか。Aさんには会ってはなりません」と叱責した。(p.114)

     親子の情愛よりも集団の論理のほうを優先するのは、この教団だけではなくカルトや原理主義的な宗教、イデオロギー組織の特色の一つである。親の鹿とは、親が子どもにエネルギーを向けなくなるのと同義であり、子どもは親の愛を喪失したと感じる。孤独に耐えきれずに、組織に戻る二世は少なくない。戻れば、よく復帰したと親ともども会衆のメンバーに祝福され、再び優しさに包まれた人間関係が復活する。それは一斉でも同じである。
     孤独か祝福か。自由か束縛された生活か。アリサは悩んだが結局戻らなかった。先の彼女の表現を借りれば、「エホバの証人という囲いの中」から飛び出したわけだ。(p.121)

     短大に進学するときも母親は何も口を挟まなかった。短大に入ると名古屋の繁華街にあるスナックでアルバイトを始めた。一日4時間働けば月に20万円以上の収入になった。それでもSMAPの追っかけを続けた。毎晩遅くに帰ってくるというのに、咎められることはなかった。
     短大2年生になって、スナックのママに説教されてからようやくSMAPの追っかけをやめた。私がアリサにあったのはちょうどその頃だった。アリサは自分のことを冷静に見ていた。「依存するものがエホバの証人からSMAPにかわっただけです。二世だった子で組織を離れるとタレントの熱狂的なファンになる人は少なくありません。私も同じだったことはわかっていますが、SMAPを止めて次に何にはまるのか不安です。このまま何かに頼っていく生き方しかできないのか、何とか自立をしないといけないのですが」(p.124)

     トラウマ(心的外傷)が流行語のように使われるが、親に捨てられ親代わりだという係から暴力を受けてきたヤマギシの子の心の傷はとてつもなく深い。
     虐待の場から解放されたといっても心的外傷が癒えるわけではない。「虐待されているときはその辛さを防御するため、虐待環境に自分の諸感覚を適応させるのいん精一杯」(埼玉県立小児医療センターの奥山眞紀子)で、むしろ解放されると、逆に抑圧されていたものが様々な形となって現れるからだ。現れ方やその程度は学園に入った時期とその子の個性によって異なるが、とりわけ感受性の強い子、幼くして学園に入れられた子どもは深刻である。(pp.240-241)

    「いよいよ来年高校卒業です。もう一つうれしいことがあるんですよ。赤ちゃんができたんです。いまは妊娠8ヶ月です。それから請われて仕事先も変えました。仕事の時間が短くなり、給料も上がりました。それをきっかけにアパートも広いところに移りました。お母さんが出てきても大丈夫です」
    「カルトの子」を取材して気分が明るくなったのは後にも先にもこのときだけである。(p.257)

  • 再読。「教団X」を読んだながれでまた読んだ。何度読んでも衝撃的というか、子どもたちが気の毒でならない。あのほんまでっかに出てる澤口先生が注釈で取り上げられてるのは今まで気づかなかったな。こういう研究もしてたんだなぁ。ほんと、こういう人たちは今どうしているんだろう。みんなちゃんと生きてるんだろうか。ヤマギシ会の子が最近子ども時代のことを漫画にして出版したのが話題だけど、読んでみたいなぁ。図書館入らないかな。でもこれだけの人数がヤマギシで育ってきたはずなのに、全然話題にならないよな。みんな病んでいるんだろうか。

  • オレ身近にここに載っとる一通りのカルトおったけど、ここまでひどいと思わなかった。。。
    満たされん人がカルトにはまると思うてるんやけど、そのしわ寄せは見事に子どもに行くんやな。。。

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著者プロフィール

米本和広(よねもと・かずひろ) 1950年、島根県生まれ。ルポライター。横浜市立大学卒業。「繊研新聞」記者を経て、フリーに。著書に『新装版 洗脳の楽園』、『我らの不快な隣人』(以上、情報センター出版局)、『教祖逮捕』(宝島社)など多数。

「2021年 『カルトの子 心を盗まれた家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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