実業美術館

  • 文藝春秋
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163694801

感想・レビュー・書評

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  • やっぱり日本美術応援団の本はおもしろい!

    ここ数年、工芸や手芸、技術などの、あまり純粋美術にカテゴライズされないモノへの興味がありすぎって、この本を読んでみました。

    実用の美は観念の美にも負けない。赤瀬川さんと山下先生の社会科見学を通じて学べました。

    網走刑務所の章で「生きていくための暇つぶしに勝る純粋さってないよね」と赤瀬川さんがおっしゃっていました。
    いい言葉だなあ。呪文の様に唱えたくなります。

    私は大学4年生の、ゼミと卒論しかない、暇を持て余していた時代に、美術に興味を持つようになりました。日本美術応援団のいくつかの本にはとてもお世話になりました。

    アートはなぜ高尚な存在に押し上げられしまったのかな(そこには区別意識が介在していると思う)

    久しぶりにまた日本美術応援団の本を読んでみようと思います。

  • 写真がいい。

  • あとがきの山下さんの言葉「美術に実業を、実業に美術を」というのを読んで、美術と実業に対する目が変わった。
    頭デッカチや機械化を嫌うこのお二方のように、モノを見ることができたら楽しいだろう。目指したい。
    「美術」はそんなに構えなくたっていいんだ、そして「実業」をもっと注意深く見てみるべきなんだと気付かされる。
    写真もたくさんで楽しいです。

  • 実業系施設・博物館を日本美術応援団ノリで見学。

    個人的キーワードは熱意、手業、伝承。熱意は大和ミュージアム開館に向けての奔走ぶりとか。大和模型作製に賭ける情熱ぶりとか。手業はコシナのカメラやオリエントの機械式時計、交通博物館の展示品である御料車の装飾や鉄道デザイン、マツダのロータリーエンジンなど。お札の印刷工場で話に出た、お札デザイン等を担当する工芸官も手業だな。顔部分なんてものすごく細かい線ですよね。あれ。伝承は海上自衛隊の護衛艦と潜水艦。それぞれ25年・16年で引退〜交替に至るのだけど、理由のひとつに製造技術の伝承があるとか。この本読んでると、どれだけ時代が進んでも手にしか出来ないことって残っていくし残し伝えていくのだなと。あと、人の気持や熱意ともの作りの関係性とか。

    見学先の端々で出てくる豆知識が面白かった。網走刑務所で唯一脱獄に成功した人の話とか。鉄格子に毎日少しずつ味噌汁をかけ、ねじを錆びさせて外したそうです。吉村昭「破獄」のモデルになったらしい。今度読んでみよう。あと網走に刑務所を作ったのは、囚人達に道路を作らせるため。らしい。なんか実は知ってて当たり前なのかも…

    大阪市と広島市のごみ処理工場対決も面白かった。大阪市はフンデルトヴァッサー設計。広島市は谷口吉生設計。フンデルトヴァッサーはいつものフンデルトヴァッサー。谷口吉生はこれまた入口の作りがまんま東博の法隆寺宝物館だったりして、全体的にいつもの作風で独自の作風。どちらも見学したい。

    トヨタは応挙というたとえ、言いえてると思います。マツダが光悦っていうのは微妙な感じ。マツダにピッタリ来る人物ってちょっと思い浮かばない。

  • 行ってみたいとこが、たくさん出来てしまいました。
    いちばんは、呉の戦艦大和のミュージアム。
    2008年度中には行きたい。

    美術館や博物館は大好きです。

  • 実業界にこそ匠の技と日本の美が息づいている。クルマもお金もごみ処理場
    も、自衛隊だって芸術だ。職人仕事のたくまざる美と奇想を求めて、トヨタ、
    マツダから網走刑務所まで、日本美術応援団が東奔西走。

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著者プロフィール

赤瀬川原平(あかせがわ・げんぺい)
1937年横浜生まれ。画家。作家。路上観察学会会員。武蔵野美術学校中退。前衛芸術家、千円札事件被告、イラストレーターなどを経て、1981年『父が消えた』(尾辻(★正字)克彦の筆名で発表)で第84回芥川賞を受賞。著書に『自分の謎(★正字)』『四角形の歴史』『新解さんの謎(★謎)』『超芸術トマソン』『ゼロ発信』『老人力』『赤瀬川原平の日本美術観察隊』『名画読本〈日本画編〉どう味わうか』。また、山下裕二氏との共著に『日本美術応援団』『日本美術観光団』『京都、オトナの修学旅行』などがある。2014年逝去。

「2022年 『ふしぎなお金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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