とっておき映画の話 蜥蜴の尻っぽ

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163697505

感想・レビュー・書評

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  • 黒澤明監督の制作スタッフだった著者の黒澤作品(生きる、蜘蛛の巣城、どん底、天国と地獄、赤ひげ…)の制作裏話が楽しいし、黒澤やスタッフたちの人間模様が面白い。著者の野上はそこで結婚・離婚も経験しているが、それ以外にも多くの恋愛?。伊丹十三のことも詳しい。三船敏郎が黒澤から別れ、「暴走機関車」の映画監督を務めたが、失敗に終わったとは知らなかった。黒澤が三船の「赤ひげ」の演技への不満から離れていったが、結局その後はすれ違いに終わったという実話がドラマのようだった。なお、この著者の母が映画「母べえ」のモデルとのことで、随分苦労した女性のようだ。戦前戦後の混乱期で共産主義が貧しい人々の心をつかんでいた時代に、映画・演劇の世界もまた、その風が強く、一方でレッド・パージがあったということが、今は昔の感がある。

  • 映画『母べえ』をチケットをいただいたので観に行き。(ブログの方にちょっと感想も書いていたが)原作者の野上照代さんに興味が出て、やっと、この本を図書館で借りて、イッキに読む。黒澤監督の制作現場で長年にわたり、記録係として、現場を支えてきたとのことで、そのエピソードは興味深い。映画にまつわる様々な話題と人の運命、出会い、などが、もりこまれている。『母べえ』の裏話で、あれ?と思ったこともあったが、それは、また別の意味で、山田洋次監督の映画作りのマジックのようなものなのだろう。

  • 最近、「母べえ」が映画化されたことをきっかけに、自身の昭和史を聞き書き形式で振り返った一冊。前半のインタビューもさることながら(例えば「天国と地獄」のロケ中の有名なエピソードの真実)、「天気待ち」の英訳版に付けられた「赤ひげ」後のクロサワとミフネ の章が興味深かったです。

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著者プロフィール

野上 照代(のがみ・てるよ)
1927年、東京生まれ。黒澤明監督映画のスクリプター、のちに制作助手。戦後、出版社勤務ののち、伊丹万作監督の遺児(後の伊丹十三)の世話を頼まれ、京都へ。1949年、大映京都撮影所に記録見習いとして就職。1950年、黒澤明監督『羅生門』に初参加する。以後、東宝に移り、『生きる』以降の黒澤作品すべてに参加(他監督作品も多数)。またエッセイストとしても有名で、1984年、「父へのレクイエム」で第5回読売・女性ヒューマン・ドキュメンタリー大賞優秀賞を受賞。同作は2008年に山田洋次監督『母べえ』として映画化された。著書に、『完本 天気待ち』(草思社文庫)、『母べえ』(中央公論新社)、『黒澤明 樹海の迷宮―映画「デルス・ウザーラ」全記録1971-1975』(共著・小学館)、ほか多数の黒澤関係の出版物に編者としてかかわっている。現在、黒澤映画の「語り部」として様々なメディアで活躍中。

「2021年 『文庫 蜥蜴の尻っぽ とっておき映画の話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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