草の花―俳風三麗花

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163805306

作品紹介・あらすじ

満洲国皇帝の御前で句会が開かれた!?新進の科学者と結婚するも流産し、失意の日々を送るちゑ。女子医専を卒業し大連の病院へ赴任する壽子。六代目尾上菊五郎の妾となった浅草芸者の松太郎。三人の人生が満州国皇帝・溥儀、川島芳子、甘粕正彦、永井荷風らと交錯する。戦争という激流のなかを、凛々しく生きる三人の女たち。

感想・レビュー・書評

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  • 文庫化を待っていたら何となく読み漏らしていました。
    『俳風三麗花』の続編。
    前作は確か三浦しをんの書評でちょっと興味を惹かれて、読んでみたら大当たりだったんです。
    今回は満州を主な舞台に、激動の時代を生きる“三麗花”の姿が描かれます。
    川島芳子、甘粕正彦、高浜虚子、永井荷風など実在の人物も登場して、前作よりも物語世界は大きく広がりますが、その分、俳句の数は少なめ。
    まぁ、俳句をのんびり詠んでいられる時代じゃなかったということでしょうけど。
    それだけに、最後が句会の場面で締めくくられるのは、平和な時代が戻ってきたということを象徴しているように思われます。

  • 前作「俳風三麗花」と同じく日本語の美しさを再確認出来た良作だったが、今作は俳句の数は少なめ
    しかし、ストーリが大胆に展開していくのが面白く、一気に読み終えてしまった

  • 俳風三麗花の続編。
    前作が戦争に向かってどんどん暗くなって行く世相を背景に、三人の女性を主人公にした句会小説だったが、本作は、二二六事件から終戦、満州からの引き上げと激動の歴史の中で翻弄される三人の姿を描いている。
    ちょっとスケールが大きすぎる気もするが、俳句の推敲過程がよくわかるのは前作と同じ。

  • 残念ながら1よりも面白くなかった。
    時代に重々しさが出ていないし、俳句小説の楽しさもない。
    中途半端な印象だった。
    川島芳子がでてきたあたり、前半は楽しめたのだけど、だんだん荒唐無稽大判風呂敷になって、へ?と思ううちに終了。残念です。
    とくに、甘粕と寿子のくだりは必要ないと思う。
    なんだか空虚な作品だった。

  • 俳風三麗花の続編。昭和10年から戦後まで。舞台は大連へと広がり、川島芳子、甘粕正彦、高浜虚子、永井荷風といった歴史に名を残す人たちも登場する。大きな歴史のうねりの中の三人の娘たち。
    席題の季語に、知らない日本語のなんと多いことかと思った。「草の花」って秋の季語なのね。

  • 満洲国皇帝の御前で句会が開かれた!?新進の科学者と結婚するも流産し、失意の日々を送るちゑ。女子医専を卒業し大連の病院へ赴任する壽子。六代目尾上菊五郎の妾となった浅草芸者の松太郎。三人の人生が満州国皇帝・溥儀、川島芳子、甘粕正彦、永井荷風らと交錯する。戦争という激流のなかを、凛々しく生きる三人の女たち(「BOOK」データベースより)

    直木賞候補になった『俳風三麗花』の続編。
    暮愁先生の元で美しい句を読んでいた三人の女性たち。
    暮らしぶりも変わり、それぞれの生活に馴染んできた頃、壽子が満洲へ旅立ち、それに伴い彼女たちの運命も激変してゆく・・・。

    今回は激動の満州を巡って、かなり物語は大きく広がっていきます。
    後半やや急ぎ過ぎな部分もありますが、鏑木中尉や歌姫みすゞちゃん、川島芳子、甘粕正彦、といった史実の登場人物たちが、もがき、あがきながらも鮮やかに生きようとする姿に魅了されてしまいました。
    この後の続編は・・・、もうないかもしれませんね。
    でもこの3人の花たちは、ずっとずっと心に浮かぶ想いを句に託しながら、たくましく生きていくような気がします。

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著者プロフィール

1956年埼玉県生まれ、小説家。慶應義塾大学文学部卒業。NHKに勤務、ディレクター、プロデューサーとして主に歌謡番組を担当。退職後、テレビ番組、音楽プロデュース等に携わる。2000年、「櫻川イワンの恋」で第80回オール讀物新人賞を受賞。『俳風三麗花』で第137回直木三十五賞候補。

「2018年 『鵺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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