かわいそうだね?

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163809502

感想・レビュー・書評

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  • 『かわいそうだね?』読了。
    「インストール」「蹴りたい背中」をぶっ飛ばして初めて綿矢りさ作品を読みました。表紙が花で溢れていてきれいだったからどんなに美しい内容なのかと想像したら…これはまた不器用な女性の物語であったのだ…よ。
    表題作と「亜美ちゃんは美人」に出てくる女性たちはどこか正当な考えがありつつもそれを妥協したりすることが難しいのか貫こうとする姿はカッコよくもあり不器用な感じでよかった。多分、人はそれが当たり前なのかなと思えるような内容でした。

    2016.4.15(1回目)

  • 「かわいそうだね?」
    やれやれ…って頭かかえたくなる。
    そうだよね、小説の地の文のような考え方する女の子ってかわいげないですよね。あっぱらぴい。
    樹理絵がわからない設定で わかって書かれている英会話部分(樹里絵の直訳=誤訳つき)と、上記の"かわいげない小説女子の思考"の中に現代メール文面そのままぶちこんでいるのはおもしろかった。

    「亜美ちゃんは美人」
    "春に咲くすべての花は、亜美ちゃんの形容詞だ。"
    さかきちゃんももはやそのひとつとなったということかしら。
    なんというか、ものすごく古典的な話。

  • 東日本大震災をはさんで、「週刊文春」に連載された
    『かわいそうだね?』…と、『文学界』に発表された小品、
    『亜美ちゃんは美人』の2編。どちらも軽く読める作品…
    でも…さすが綿矢りさタンだなァ~ ツボを押さえてる!

    ま、どちらも痴話ごと…なんだけど、そんなこと云ったら、
    小説なんて、どれもありふれたつまんないものに
    なっちゃうだろう…要は、そうした話に、何が盛り込んで
    あるかが肝心…まずは…地震のエピソードからはじまる…

    幼い頃に阪神淡路大震災を経験したときのことを、
    東京にいて思い出してる…そして、こんなふうに語る。

    ―困っている人はいても、かわいそうな人なんて
     一人もいない。

    このフレーズは重い。小説の話をはなれ、あれこれと
    思いを馳せさせられた…著者のことを、ボクは、
    田辺聖子さんにつながるたいへんな才能だと思ってる。
    今これを読み、次の一節は、心に刻んでおきたいと思った。

    ―私たち日本人が重んじる“和”は、実は深い親切心の
     もとで成り立っているのではない。人でなしとは思われない
     程度の親切と、身内以外の人に迷惑をかけるくらいなら
     切腹できるくらいの遠慮をもってして、かろうじて機能している
     繊細な絆だ。言わずに察する文化で支えあっている私たちは、
     そのルールを無視する人間に接すると、著しく憤慨して
     疎外する。憤慨は動揺の裏返し、疎外は怯えの裏返しだ。

    このあと物語は…主人公がアメリカ人とディスカッションし、
    行動する女へと変容する。まさに、徹底した議論、行動は、
    カタルシスにつながる…とでも云っているようだ。どちらも、
    おめでたくはないけれど、ストンと腑に落ちる話だった。

  • 相変わらず、恋愛小説の振りをして人間のえぐい部分を見事に書き出すそのいじわるさに、またもやられました。
    文体の切れ味も相変わらず良い!

  • 表題作の「かわいそうだね?」はインストールを思わせるスカッと感がたまらないです。

    内容はドロドロなのに、主人公の自虐的なコメントがコミカル描かれていて全然暗くならない!
    綿矢りさの魅力がつまっている作品だと思います。読みやすいので読書が苦手な人にもおすすめです!

    「亜美ちゃんは美人」は、親友に嫉妬心をずっと抱きつつも愛しい気持ちだったり憧れだったり、主人公の複雑な気持ちに、私も一緒に悩みながら読んでいました。
    作品の中にどっぷり入れます!

  • 【読了】綿矢りさ「かわいそうだね?」 8月14冊目

    綿矢りさの5冊目の本。2011年10月初版。それまでに出た4冊の本は全て読了済み。最初に読んだのがデビュー作の「インストール」。そこから刊行順に読み進めている。本作は表題作の「かわいそうだね?」の他に、「亜美ちゃんは美人」という作品も収録されている。

    綿矢りさの作品で好きなところは、彼女の独特な世界の捉え方、視点の持ち方。そしてそれを独創かつ流麗な比喩表現で彩っていくところである。ストーリー的には一本道だし、伏線なども特になく、最後にオチもないような形態にもかかわらず魅了されてしまうのは、文字の羅列そのものに魅力があるからだろうと思う。どちらかといえば、小説というよりは、やたらと長い詩とかに近いんだと感じている。

    「かわいそうだね?」は、私の彼は元カノと同棲中・・・という話なのだけれども、読み進めていて綿矢ワールドは存分に楽しめるけれども、ちょっと淡々としていて物足りないかなと思っていら、終盤に大爆発。人間のどうしようもない部分を描く良作。

    「亜美ちゃんは美人」は二人の女子の友情物語。いや、友情じゃないかもしれないけれども、まぁ友情だと思う。いや、間違いなく友情。こちらは伏線も効いていて、かなり良い短編。傑作。読後感も良く、話の展開のわりに意味の分からない壮快な感動があったりする。レビューなどを追いかけると、「亜美ちゃん」の方が好きという人が結構いるようだ。

    今までの綿矢作品の面白さというのは、地の文にあったと思っているのだけれども、今回の2作に関しては、とにかく会話文が秀逸で面白い。綿矢りさがこの会話文を考えるのかと思うだけで、2重に笑えてきてしまう。最後に大爆笑した一文を引用して締めたいと思う。

    "「ジャンルにはこだわらない。バンド名は『五次元』。バンドの目標は、音のクオリティを極限まで追求して、光の次元に移行することだ」”

  • 男と言う生き物は本能的に「弱い女」を選ぶものと思っているし、大体にしてその通りだとおもう。

    有難いことに主人公はそんな思いを代弁してくれたし、スカッとさせてくれた。

    ほんと、「しゃーない」

  • 「かわいそう」の言葉は他人に向けたものだけども、実は自分に対するものでもあったりするのかなと。

  • 狂気的ともいえる感情の爆発を、コミカルな表現を挟んで説明しているので、深刻な状況であるにも関わらず、どうしてもクスッと笑わざるを得ない。。 最後の展開には、痛快さと笑いが入り混じった感情が湧いてきて、ページを捲る手が止まらなかったです。



  • 綿谷さん、感度高いよなー笑
    生きてていろんなことを人一倍経験し、感じているんだろうなー。


    女、猫かぶって生きてる。
    自分をよりよく見せて生きてる。
    その方が普段は生きやすいから。
    けど、「ねこがいなくなった」ときとの差がはげしく恐ろしいと言われる。ギャップになる。嫌われる。


    だからといって日常で闇の部分見せると引かれる。周り、離れる。


    なにこれ。
    生きにく。





    主人公はとっても日本人らしく、ザ日本人の思考がほろほろとでている。


    文中で客観的に「日本人のならではの思考」として「和をもって貴しとなす」「本音と建前」「内弁慶」の言葉を挙げていたが、まさに彼女こそこれの塊。



    女をよくわかってるな〜と思いました。

    逆に「亜美ちゃんは美人」は綺麗事では?と感じた。
    さかきちゃん、いい子すぎないか?
    私なら嫉妬でもっとこの子のこと突き放してしまうかも。

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

綿矢りさの作品

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